何でもありのカートレース。
豪華賞品をめざし無数の選手たちが今スタートラインに並んでいる。
さあ、諸行無常弱肉強食、やりたい放題なカオスレースのスタートだ!
ある日
水守 流はゲームに熱中していた。
ちょいと昔に発売されたレースゲームだ。
キャラクターはレーシングカートという一人乗り自動車に乗り込み、いち早くコースを走りきることを競うゲームである。
特徴はなんといってもそのハチャメチャさ。
キャラクターは爆弾をなげようが銃を乱射しようがバナナの皮をすてようが、何をしてもよいというルールなのだ。ちなみにみんな不死身である。
ただ早ければいいわけじゃない。あの手この手で加速したり、他の選手を攻撃して妨害したり、その妨害を防いだり。
そんなめまぐるしい疾走感がたまらない。
「ふう、今日はこんなもんでいいか……」
流はゲームの電源を切り、そろそろご飯の時間かなと時計へ振り返った――その瞬間。
唐突に見知らぬ場所にいた。自分はレーシングカートに乗り、天空に浮かんだシグナルがスタートがほど近いことをカウントダウンで知らせてくる。
「あー……わかったぞ、これ『ねこじまカート』の世界に入っちまったんだな。でも確かあのゲーム、優勝賞品が……」
「あっ、水守君。なあにここ、レースゲーム?」
ふと見ると、別のカートに
本居 陽毬が乗っていた。
周りを見回してみると他にもちらほら同じようにゲームに入ってしまった(そしてレースにエントリーされてしまった)人がいるようだ。
「そうみたいだ。本居はこのゲーム知らないのか?」
「うん。でもさっき説明書は見たよ。なんでもありのレースなんだってね」
説明書あるのか。親切だな。
さておき。
「でも早くゲームから出たいな。ご飯の時間だし」
「ああ、俺もそう思うが……できれば優勝してから出たい。なんたって優勝賞品は『好きな料理を食べ放題』だからな」
「……」
陽毬がキレーな顔のままで流を二度見した。
「この権利で、スイーツでも寿司でも、高級焼き肉食べ放題を所望することもできる」
「た、たべほうだい……!」
陽毬は今、かたく優勝を決意した。
さあ、フラッグが振られようとしている。
カートレースのスタートだ!
青空綿飴です。ごきげんよう!
皆さんはゲーム『ねこじまカート』の世界に入ってしまいました。
なんか既にエントリーして、今まさにスタートしようとしています。
コースの紹介
コースはコンクリート舗装されたサーキットをスタートして、下の四つのコースを抜けてゴールとなります。
夏のコース:熱い砂漠を駆け抜けます。砂にタイヤをとられないように注意! 砂からはたまにでっかいサソリモンスターが飛び出してくることがあります。
秋のコース:落ち葉の沢山つもった街中を走り抜けます。左右にはビルが沢山。
冬のコース:雪道を進みます。タイヤが滑りやすいので注意! 左右にはいろんな巨大雪像が並んでいます。
春のコース:桜並木に挟まれた最後の直線コースです。ゴールを目指してラストスパートです!
ルールの紹介
カートレースは『なんでもあり』ルールです。
ろっこん使用もOK。よっぽど極端なものでなければ、大体のものはカートのアイテムボックスから取り出せます。
ゲームキャラクターとなった皆さんは不死身なのでピストルで撃たれても痛いだけで済んだり、爆発してもケホッて黒い煙吐くだけでピンピンしていたりします。
けれど何かされれば速度が落ちたり立て直しに時間がかかったりと、順位が落ちていってしまうでしょう。
マナーを守って楽しく競い合いましょう。
(本当になんでもできると大変なので、たまに調整させて頂くこともあります)
優勝賞品
レース主催者が好きな料理を食べ放題にしてくれます。
普通に持ち帰れないので、堪能して帰りましょう。
※採用される確率が10%程度しかないので、食べ放題メニューのリクエストは一行だけ書いておくことをお勧めします。