ねこじまカートレーシング！｜リアクション

ねこじまカートレーシング！

■夏は砂漠とサソリがこわい！
　トップを走る修。砂に対応したタイヤに履き替え、急に飛び出してくるサソリを紙一重に回避し続けていた。
　時には網を発射して動きをとめることもいとわない。
　速さで勝負のレースゲーム。しかしこの順位が急激に入れ替わるのがアイテム要素である。
「なんだこの、サンマ！　とにかく行け！」
　新田亮の投げたサンマがおかしなスピードで突っ走り、修のカートに体当たりをしかけた。このサンマがなんなのか詳しく触れるとなんか面倒くさいことになりそうなので伏せといていいですか。とりま観光大使さんとは別物とさせてもらってよろしいですか。はいっ、ではそういうカタチで、コンプライアンスにコミットするミッションでドゥーさせていただきす、はい！（携帯電話を耳に当てて頭を下げながら）
　なにはともあれ激しくスピンする修。
「くっ、妨害か……！」
「悪いけど先に行かせて貰うぞ。焼き肉食べ放題が待ってる！」
　修を追い抜いていく亮。
　そのタイミングを利用して後ろをついていくのは黒兎都と高峰一馬のコンビである。
　なぜ個人競技でコンビなんて言ってるのかといえば。
「一人で戦うより二人で協力したほうが堅実。のう一馬君」
「おう、お前がもってるレースゲームの腕を見込んで手を組んでるんだ。優勝賞品は山分けだぜ！」
　二人のカートをロープで繋ぎ、都が操作と加速を担当し、一馬が妨害と防御を担当するという作戦だ。この不思議空間で物理の話をしてもしょーがないと思うけど、二台のカートが前後にくっついて走ると本来うけるはずの風圧を前の車だけが受けることができるので、後ろの車は風の撒くに包まれたように軽々走ることが出来る……ってロードレースのアニメで言ってましたよ。
「というわけだ。くらえっ！」
　一馬はライフルを取り出し、サソリめがけて発砲。
「サソリ対策が本気だの」
「それだけじゃない！　こいつを見ろ！」
　一馬は水の入ったバケツをボックスから取り出し、砂へとまき散らした。
「砂を固めて他のカートへサソリを誘導する作戦だ」
「そううまくいくかの……む？」
　都たちの周囲にカートが並び始めた。
　砂で速度がでにくく、尚且つサソリをよけて走っているせいで差が縮まっているのだ。
「そこのけそこのけ、椿ちゃんが通るなのです！」
　椿美咲紀が取り出したるは水鉄砲。それもかなり勢いのあるやつだ。
　それを都めがけて乱射してくるではないか。
　水圧のせいで運転が乱れてぐねぐねしはじめる都たち。
「いかんな、どうにかせい一馬君」
「任せな黒兎！」
　一馬も負けじと水鉄砲を取り出して応戦。
　そんな二人の間を全速力で駆け抜ける椎井莉鳥。
　表情一つ変えず、身を低くして水流をくぐり抜けると、アイテムボックスから何か黒くてとげとげしたものを取り出した。
　左右にばらばらとまき散らしていく。
「なんですこれ……ってうわー！？」
　美咲紀のカートが黒いものを踏んづけた途端、タイヤがぱぱぱーんと破裂した。
「まきびしだと！？」
　同じくまきびしにタイヤをやられる都や一馬たち。
　莉鳥はふうと短く息をつくと、アクセルを踏んで加速をかけた。
「砂と落ち葉は、ものを隠すにはもってこいなのよ」

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