眠猫島夢奇譚　古代ネコ文明（接触編）｜リアクション

眠猫島夢奇譚　古代ネコ文明（接触編）

■Ａパート・４：ニャンカーメン
「おまえたち、見たことの無い人間だにゃ」
　綾花が花飾りを作って遊んでいると、ニャンカーメンがてくてくとやってきた。
　高い所に座っているだけかと思いきや、割とフレンドリーに歩き回るようだ。
　ここから治安の良さを見いだすほどスレた性格をしていない。綾花は素直に『王様はとっても身近なんだな』と思った。
「人間とお友達になってもう十周年にゃ。一緒にお祝いしてくれますかにゃ」
「もちろんです。おめでとうございます。よかったら……」
「おおっ」
　花飾りをかけてあげると、ニャンカーメンはほくほくと笑った。
　白の多く混じった茶虎のネコなのだが、顎の毛がが長いせいでなんだか白髭をたくわえたように見える。
　それに他のネコよりお腹がぽっこりしていて、さぞかし撫で心地のよさそうなお腹をしていた。
「えっと、もふもふしたりとか……い、いいですか？」
「ニンゲンはみなそういうにゃ。存分になでるといいにゃ」
「おことばにあまえてっ」
　ごろんと寝転んだ王様のお腹をおもうさまこねまくる綾花である。
　なんだろうこの絵は。
　今すぐイラストになったらいいのに。
「ニャンカーメンさま……！」
　実家のネコをこねまわすかのようなフレンドリーさに引き寄せられてか、まほろがぽてぽてと駆け寄ってきた。
「えっと、このぬいぐるみ……受け取ってください」
「ほ？　ぬいぐるみとな？　布の像かにゃ？」
　まほろからネコのぬいぐるみを受け取ると、両手で何度かもにもにともんで、軽く枕にして寝転がった。
「おどろきのやわらかさ」
「ほんとですかにゃ！？」
　どうやらこの国には綿というもんがないらしい。首領によって毛皮をなめす技術はあっても、羽毛や羊毛といった家畜産業がない証拠である。
　ぬいぐるみを囲んでやわこいやわこい言ってる間、碧南はなんだかネコたちと輪になってマイムマイムしていた。なんだか彼女の脳内スイッチが入ってテンションが跳ね上がってしまったようで、完全にできあがっていた。触れない方がいいやつだった。
　そんな中から、なぎさがこちらに気づいて駆け寄ってくる。
「ニャンカーメンさま、『王様はどこだゲーム』をしない？」
「どこだげーむとはなんですにゃ？」
「王様だってわからない格好をして紛れ込むの。見つけたひとが勝ちってルールだよ」
「それはスリルがありそうですにゃ。けどワシはこのお腹だし……」
　ぽんぽこのお腹を撫でるニャンカーメン。
　なぎさはにっこり笑って抱き上げた。
「大丈夫、任せて！」

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