嫉妬再暴走！　REDCのＶＤはまだ終わっていない！｜リアクション

嫉妬再暴走！　REDCのＶＤはまだ終わっていない！

●元恋人でもリア充だ！

　シーサイドタウンを適当にぶらついていた北里雅樹は、元カノで今は腐れ縁友達の椎井莉鳥と遭遇した。
「これからデートか？」
「違うわ。ぶらついているだけよ。そういう雅樹こそ彼女とデートじゃないの？」
「俺もぶらついているだけ」
　ひとりじゃつまらないから一緒にぶらつこう、と雅樹が誘う。
「まあ、暇だから付き合ってあげるわ」
　暇つぶしにはいいかもね、と莉鳥は誘いに応じた。

（これはデートじゃない。ばったり出会ったから、そのままの流れで適当に町中をぶらついているだけ）
　雅樹の適当な駄弁りを適当に聞き流しつつ、デートだと思われたくない莉鳥は周囲を見ながら歩く。
　寄り添って歩くカップルを見て、以前は私達もあんなカンジで仲が良かったのよね、と昔のことを思い出す。
「俺達、昔は家が近所同士ということもあったから、時間を決めておけば家の前で合流可能だったよな」
「そういえば、そうだったわね」
　幼い頃のことを思い出したのか、雅樹がそう言い出した。
　しんみりした雰囲気だったが「一緒に歩いているとデートしているみたいだな」という雅樹の一言、その後のおバカ発言が空気を変えた。
「ただ一緒に歩いているだけでしょう？　デートじゃないわ」
　相変わらずアホなこと言うわね、と容赦ない非情な肘鉄ツッコミ。
「痛い……」
　腹部を突っ込まれた雅樹は蹲って悶絶。相当痛かったようで……。
　莉鳥はデートじゃないと言うが、傍から見れば、陽気でおバカ犬系な彼氏と無表情でデレ無しツン猫系彼女が並んで歩いているデートに見える。
　恋人だと思われていないわよね？　と思ったその時。
　素顔を隠している「どう見ても変態です。本当にありがとうございました」な連中が突撃してきた。

「リア充爆発しろ！」

　突進して、いきなりそう喚き散らすか！　と２人同時に突っ込んだ。
「俺たちはただの友達だ！」
　と雅樹は言うが、男女が歩いている段階でＲＥＤＣにとっては恋人同士であり、リア充なのである。
「同時に突っ込んだ時点でリア充だ！」
　リア充＝スレイヤー（日野舞斗）が２人をビシッ！　と指差し突っ込む。
「とにかくだ、今は本当にただの友達なんだってば！」
　去年のバレンタインデーは、チョコどころか、椎井の初めてをいただいた……と思い出すが、莉鳥が雅樹をチラ見。
「ゲフンゲフン！」
　また強烈なツッコミをくらうのは勘弁、と回想をやめた。
「椎井、早く逃げ……」
　こいつらマジでヤバいと直感した雅樹が「早く逃げろ」と言う前に「雅樹──逃げるよ」と莉鳥は恥も外聞もなく、無表情に逃走を開始。
　後を必死に追う雅樹だが、陸上部の莉鳥の健脚に追いつけずあっという間に引き離された。
（あいつはあれでなかなかしぶとい男だから、多分無事でしょう）
　と思っているので心配はしていない。
　逃げ切れた、と一安心した莉鳥だったが、爆発に燃えるリア充＝スレイヤーに追いつかれた。
「俺から逃げられると思うな！　リア充爆発しろ！」
　リア充＝スレイヤーのろっこんにより、莉鳥は容赦なく爆発された。

　やっとで追いついた雅樹が見たものは……爆発されて服がズタボロになり、露出部分からスレンダーな肢体をエロティックに見え隠れさせた莉鳥の有様だった。
　羞恥に俯いていた莉鳥だったが、顔を上げると無表情ながら静かにこう言った。
「街中で女の服をボロボロにするからには……それ相応の覚悟はできてるのよね？」
「やべぇ……椎井、本気で殺る気満々だ……！」
　静かにキレて、目を閉じて指先に気を集中させる。
　莉鳥のろっこんで、ＲＥＤＣはひとり残らず制裁された。爆発した本人含めて。
「こ、怖い……！」
　恐怖の光景を雅樹はドン引き。

「この２人は少し脈ありだったのですよ！　惜しかったのですよ！」
　こっそり様子を見ていたfine crackle（北玄）は、もう少しで吊り橋理論で恋人達をよりラブラブにさせようという計画が成功したのにと残念がった。