嫉妬再暴走！　REDCのＶＤはまだ終わっていない！｜リアクション

嫉妬再暴走！　REDCのＶＤはまだ終わっていない！

●ＲＥＤＣと共感したい

　共感のコツを架神十字に尋ねると、臨床現場で使われている動機付け面接法で重要な共感の考え方を教えてくれた。
　そのことを思い出しながら、森蓮はＲＥＤＣに話しかける。
　蓮に恋人がいないと知り、共感を抱いたＲＥＤＣは彼がどのような話をするのか聞くことに。
「あなた達がリア充を爆発しようとするのは、どうしてですか？」
　そう問われ、楽しそうなリア充を見ると惨めな気分になるからと答える者が。
「バーベキューやパーティーゲームで楽しそうにしている人を見ると、惨めに感じるようなものなんですね」
　相手の発言を繰り返し、傾聴していることを態度で示しながら話は続く。
　寝子島総合病院で十字から教わったコツはどんなものだっただろう、と思い出しながら。

　他人と上手く会話をするには、共感することだと思った蓮は、精神科医の十字にどうすれば良いか相談した。
　そうだね……と考え、十字は自分の体験談を話し始めた。これが一番、話しやすい例題だった。
「共感する時は来談者本人の境遇や立場を理解したり、受け入れたりする必要があると考えがちだけど、実はそうではないんだ」
　共感とは「それは私もわかります」と理解・受容することではなく、あなたがそう思っていることを私はわかりましたという態度のことだという。
「たとえば、息子が事故で死んでしまったのでとても辛いという相談を受けたとしよう。息子さんが亡くなって辛い気持ちは、とてもよくわかりますよ、と言ったらどうだろう」
　家族を失った辛さは、同じような経験をした人にしかわからない。
　蓮も家族を失ったのでその辛さはわかるが、体験したことがない人に言われると同情されていると思われるだろう。
「きっと、子供を亡くした経験のない人に自分の気持ちがわかるはずがない、と受け取られるじゃないかな」
「たしかにそうですね。では、どう答えればいいのでしょうか？」
「息子さんを亡くされて辛いんですね。あなたにとって、息子さんはかけがいのない存在だったんですね。と返すことはできるだろう」
　共感していることを態度で示し、積極的に相手に伝える。どんな返し方が共感的か迷った時は、相手の言葉をそのまま繰り返すだけでもいい。
　十字のたとえ話だと「息子さんを事故で亡くされたんですね。それ以来、とても辛い気持ちで過ごされているんですね」とか、である。
「ただ相手の言葉をなぞって繰り返し、辛い、悩んでいるであろう気持ちを推測するだけでも共感的な雰囲気を高めることができるんだ」
「勉強になりました。お忙しい中、ありがとうございました」

　相談してみるか、と思い立ったＲＥＤＣのひとりが「俺はどうしたらいい」と蓮に尋ねた。
「どうしたらいいでしょう」
「……それはこっちが聞きたい。おまえは、恋人がいなくて寂しくないのか？　俺は寂しいし、虚しい」
　その言葉に、蓮は教わったコツを重ね合わせて答えを考える。
「あなたは恋人がいなくて寂しいんですね。それを紛らわすために、爆発をするんですね。そのことに関して、あなたはどう思いますか」
　相談するＲＥＤＣメンバーが変わる話をするよう方向づけ、望ましい変化を語るよう質問する。
「爆発しても虚しいだけさ。こんなことしたって、俺はリア充になれない」
「それがわかっているのでしたら、自分を変えることができるはずです」
　私と一緒に、どうすれば変われるか考えましょうと相手に共感を持たせる。
「自分は変われるかもしれない、変われたらいいことがあるかもしれない、と考えてみましょう」

　共感のコツを掴むことに手ごたえを感じ一緒にどうすべきか考えようとした時、場の空気が突然変わった。