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手を取り合えば、きっとうまくいくと思った。
「もう、いい」
振り解かれそうになる手を一層きつく握りしめる。
「もういいよ、置いて行って」
懇願するような声を搾り出す少女を振り返る。
少女を励ませるような言葉を探して探しきれず、少年はただ無言で前を向く。黄昏の色に染まる路地の先を睨み据える。
背後に追跡者の足音を聞いて、ふたりは握りしめた互いの手に力を籠めた。どちらからともなく駆け出す。
「もうすぐだ」
少年が低く囁く。
「噂を聞いたんだ」
「噂?」
手を引かれて駆ける少女を振り返る。その背に純白の翼を、――今は隠している美しい翼を見た気がして、少年は少女から目を背けた。少女と同じに今は隠している己の背にある翼を思う。己の翼は、少女とは真逆の立ち位置にあるべきとされる漆黒の蝙蝠翼。天上に於いて過去に幾度となく相争い、血を流し合った互いに『憎むべき』相手。
「元『機関』の女がこの街の何処かに潜んでいて、」
切れる息を呑み込み、続ける。
「匿ってくれるって」
噂に言う。その女はこの島から異界者を駆逐しようとしている『機関』の内にあって、悪魔のみを標的としたと。
――やっぱりそりがあわねえ
ある日、女は軽やかに笑い、『機関』から姿を眩ませたのだと。
追われる身となった女は、けれど島に様々のコネクションを持つ女は、未だこの島の何処かで天使を匿いのんびり暮らしているのだと。
お伽噺のようだと思う。
それでも、今はそのお伽噺に縋るより他に方法を思いつけない。
「此処だ」
幾つもの路地を駆け抜けて後、行き着いたのは大通りを一本外れただけの雑居ビル。地下と上階、それぞれに伸びる狭い階段とその脇のエレベータの壁に記された夥しい看板の中のひとつを確かめ、少年は焦りのあまり震える指でエレベータのボタンを叩いた。
煙草の臭いが染み付いた古びたエレベータの函に乗り込み、うっかりへたりこみそうになる足を堪える。
「ミニシアターの店主をやりながら、裏では天使を匿ったり逃がしたりしてるらしい」
「待って、……じゃあ、悪魔は?」
聡明な天使の少女の言葉に、悪魔の少年は口を閉ざす。何かを察した少女に再度手を振り解かれそうになって、離すものかと強く掴む。
チン、と軽快な音立ててエレベータが目的の階に到着した。
扉が開く。
「『エクソシスト』、……ッ?!」
元『機関』の女の二つ名を口にした刹那、少年は口を噤んで立ち尽くす。
鼻先に、銃口があった。
凶暴な黄金色に輝く十字のかたちしたショットガンを埋める、おそらくはラテン語で彫り込まれた神の御言葉を目にする。読めぬまでも本能的に恐れを感ずる文字を辿った先には、華奢な腕を包む絵具塗れの白衣。『機関』から持ち出したアーティファクト『聖なるショットガン』を無造作に構え、此方を見据えて揺らがぬ海色の瞳。
うなじを覆うほどの艶やかな黒髪を僅かに揺らし、女は咥えていた煙草を片手に挟んだ。紫煙を吐き出し、少年の頭に突き付けた銃口をそのままに、エレベータから現れた少年少女を見つめる。
「お願い、助けて!」
張り詰めた沈黙を破ったのは、少年の背後の少女だった。
少年の手を引き、背後に庇う。慌てる少年を押し隠すように、少女の背に純白の翼が広がる。
一瞬にして目前に広がった天井までも届く翼に目もくれず、女は少女を見据える。しばらく視線を交わして後、ふたりに向けていた銃口を下ろす。
「……あの、」
「邪魔だ。翼は仕舞え」
天使の少女の呼びかけに、女は面倒くさそうな眼差しひとつだけを向けてから、くるりと踵を返した。
長身痩躯の女が向かうのは、薄明るい照明に照らし出された防音扉脇の受付用カウンター。
ちんまりとしたカウンターの内に入り、女はカウンターにコーヒーカップをふたつ並べた。元より口にしていたらしい己のカップを傾け、舐めるようにコーヒーを飲みつつ、二人分のコーヒーをハンドドリップで淹れ始める。
カウンターに置かれたラジオから僅かなノイズを交えたクラシックが流れている。
壁に貼られた古びたポスターは、上映中の映画なのだろうか。
「……羽が生えてようがなんだろうが、足があるんなら自分の意思で賭けをやらなきゃ話にならねえ」
低く、けれどよく通る声で女は口を開いた。
匿いはするがその先の保証はしない、その旨を女の言葉から読み取り、天使と悪魔は互いの手を取り合ったまま神妙に頷く。
騒めく心が落ち着くようなコーヒーの香りを胸に納めながら、少年は目前に寂寞として佇みコーヒーを淹れる元『機関』の女について、おそらくは様々な闘いの果てにここに行き着いた彼女について、ふと、思う。
(辿り着いたここで、未来を夢見たりしているのかな)
そう思わせるほどに、女は若かった。怠惰な雰囲気を醸し出しながらも、希望を失っていないように見えた。
言えば不穏な瞳を向けられる気がして、少年は出されたコーヒーに口をつける。
「ありがとう、頂きます」
傍らの天使の少女に朗らかな笑顔を向けられたが為か、女の口角が僅かに持ち上がった。
「逃げたいか」
端的に問われ、天使と悪魔は顔を見合わせる。
「逃げるならコネを整えてやる。残りたいなら残れるようになんとかしてやる」
カウンター内の椅子に腰を下ろし、女は然程手間も掛からぬとでも言いたげな口調でそう言った。大分短くなった煙草の火を灰皿に揉み消し、コーヒーを啜る。
ふたりの言葉を待つともなし、女は長い息を吐くように言葉を紡いだ。
「私は悪魔だけをぶっ潰してきた」
ふたりの肩が強張るのを横目に、女は続ける。
「だから『機関』がどんな理屈でどういう未来を作っていきてえのか知らねえ」
が、と海色の瞳が不快げに細くなる。
「どうもその先にあるのは目に見えない大いなる存在を崇め奉る神秘主義か、神とそれに付随するものすべてを否定する無神論にしか思えねえ」
くすり、口元が笑みじみて歪んだ。
「そんなのは夢がねえからな」
手を取り合って逃げようとしているふたりを見やる。
「私はそんなのはごめんだ」
女の視線が自分たちの背後、微かな駆動音をたてるエレベータに向かっていることに気付いて、天使と悪魔は小さく息を呑んだ。
確かめずとも、気配があった。
例えば地の底から這い上って来る得体の知れない魔物のような、おぞましい気配。
女が瞳に剣呑な光を灯して立ち上がる。その手にはカウンターの影に立てかけていた『聖なるショットガン』。
チン、とエレベータの到着が知らされると同時、女がナニカを察して鋭く舌打ちした。
「行け」
女が示すはシアターに続く防音扉。
「奥に非常扉がある」
「あなたも」
天使の悲鳴に、女はひどく儚く、美しく微笑んだ。
「私は
鳳翔 皐月
」
末期を見定めた者の如く、名乗る。
「――私みたいなどっちつかずの中庸主義者たちのことを忘れないでやってくれ」
バイバイだ、と白い手をひらり翻す。惑うふたりに痺れを切らし、少年の背を乱暴に蹴りつけてシアターへ押し込む。
「勇気ある秘匿主義に乾杯」
扉を閉ざしつつ、女はおどけた仕草で『聖なるショットガン』を掲げた。
「Remember us.」
祈るように囁く女の姿が重い扉の向こうに、消える。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年10月18日
参加申し込みの期限
2016年10月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年10月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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