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「猫を飼い始めたんだ」
リゾートホテルの厨房でのバイトを終えて更衣室で着替えている最中に、聞こえて来た声に、
来島 アカリ
は花の薄紅色した瞳を瞬かせた。
「どんな猫、って……そうだな、常に拗ねている。あと警戒されている」
くすり、声が笑う。
「ベッドが占拠された。俺は今ソファ寝」
厨房の制服を脱ぎつつ、ロッカーの影から顔を覗かせる。
「遅くなると不機嫌になるし、今日も行けないかな。ごめん」
更衣室の真ん中に置かれた長椅子に腰掛け、仲間からの飲み会の誘いを断りひらひらと手を振っているのは、厨房の先輩である
鴻上 彰尋
。
常に戦場であるホテルの厨房で、コックとしての確かな腕をふるい、時折美味しい賄いを分けてくれる優しい先輩の正体を、アカリは先日知らされた。
――己と、己の友の堕天と共に。
(色欲の罪)
元は白かった翼が黒く染まり行く時、脳裏に閃いた天啓を思い出す。思い出して、青みがかった黒く長い睫毛を伏せる。
神への敬愛以上に周りの人に愛されたいという願いは罪なのだろうか。
己の願いを心の奥から引きずり出させ己を堕天せしめた男の、元は天使であった彰尋の視線を感じて、アカリは顔をあげる。
「変わりはないかい?」
穏やかに掛けられた言葉が、悪魔となってからの生活を問うものであることに気付き、アカリは破顔する。
「生活は今までと変わってないよ」
父と呼ぶ男も、母と呼ぶ男も、己の正体は知らない。天使であったアカリのことも、悪魔と堕したアカリのことも。それでも、何者とも知れぬ己を拾い、我が子としてくれたあのふたりは己を愛してくれる。愛し続けてくれている。
「それは良かった」
心底から微笑む彰尋にアカリは明るく笑み返す。
(本当は)
あの時共に堕天した友人と一緒に暮らしてやりたかった。けれどそうするには学校がある、家族もいる。
(それに)
己一人の身だけならばともかく、友に何かあったとき、己一人では友を守り切れるとも限らない。
「猫を飼い始めたって話してたけど……」
だから、友の身はシーサイドタウンのアパートで独り暮らしをしている彰尋に委ねた。
――まだ一人で住まわせるのも危険な気がするし
保護しよう、と請け負ってくれた彰尋の言葉に友が見せた不満顔がちらりと瞼を過る。
(悠月のことだ)
状況を理性的に判断して大人しく従いはするものの、内心では面白くないと思っているに違いない。
更衣室に己と彰尋以外居ないことを確かめ、それでも彰尋の傍らに立ち腰を屈め声を潜める。
「あれ、悠月のことでしょ? 鴻上さん」
心配顔のアカリに問われ、彰尋は苦笑気味に頷いた。
「何となく、猫を家で飼うとこんな気持ちになるのかなぁって思ったんだ」
(……悠月、大丈夫かなぁ?)
話を聞いている限り、懐いているようには全く思えず、アカリはますます心配になる。
学校にバイトにと忙しく、なかなか時間が取れないけれど、
(たまには会いに行ってやらなきゃなぁ)
アカリの心の呟きを読んだかのように、彰尋は肩をすくめる。
「しかも家主よりも余所がいいらしい」
余所、のところで彰尋から肩を軽く叩かれ、アカリは俯く。彰尋には申し訳ないと思いつつ、本当はほんの少し、
(……かなり、かな)
友が自分を慕ってくれることが嬉しかった。
白い天井が苛立たしくて、手元にあった羽根枕を投げ上げる。天井にぶつかって落ちて来た枕が顔に当たり、
「……うー……」
獅子目 悠月
は柔らかい布地の下で呻いた。枕を抱きしめ、転がったベッドにうつ伏せる。
(つまらない)
以前からしつこく己を堕天させようとしていた男の思惑通りになってしまった気がする。それも、天上にいた頃からの友だったアカリと揃っての堕天。
(怠惰の罪)
堕天使や悪魔、罪深き者共を天使として滅する己が職務を放棄し、堕天した友を殺めなかったが為、己の翼は黒く染まった。
そのことに悔いはない。
これで自由にアカリとふたりで生きて行ける、そう思った。
そう思ったのに、
(これでは飼い猫だ)
己をこの家に押し込んだ彰尋は、外に出るのは危険だと言い、一人ではあまり外に出るなと言う。
飼い猫である悠月に今出来るのは、不満の腹いせに彼のベッドを占領したり、抵抗はしないまでもあからさまに不機嫌な態度をとる程度。
(面白くない)
堕天してからずっと、そんな言葉ばかりが頭をよぎる。
アカリと再び出会うまでは、父の呪縛を受け父の思うままに操られていた。彰尋に出会い、アカリと再び出会い、そうしてやっと、父の呪縛から解放された。
(アカリ)
枕に顔を押し付け、思うのは滅多に会えぬ友のことばかり。己を堕天せしめた男の家に居候せねばならぬ理不尽ばかり。
(上手く丸め込まれた気がする)
警戒するに越したことはないと結論づけ、枕を抱いたまま起き上がる。冷たい床に裸足の爪先をつけ、憂鬱な息をひとつ。
(……しかし本当につまらない)
アカリが居ない。
ここには己の歌を聞いて喜んでくれる相手もいない。
しばらく考えて後、悠月は立ち上がった。抱いていた枕をベッドに投げ捨て、琥珀色の瞳をもたげる。
(少し遊びに行くくらいは許されるだろうか)
いや、と唇を噛む。
(そもそも従う道理はない)
己を縛る力はもうない。神も父も、堕天使たる己にはもう関係ない。
(俺は今自由なんだ)
「アカリに会いに行こう」
口にした言葉が嬉しくて、悠月はひとり微笑んだ。
上着を羽織り、家を飛び出す。空を流れる黄昏の光を追い、向かうはアカリと再会した星ヶ丘のリゾートホテル。アカリはそこでバイトをしていると言っていた。彰尋も居るかもしれないが、構うものか。
ひんやりと頬を撫でて過ぎる冬の風が心地よかった。
山茶花の花びらが紅く散る路地を抜け、沈丁花がどこからか香る商店街を過ぎる。父の命ずるままに悪魔を狩っていた頃には、地上はただただ穢れの満ちる牢獄でしかなかった。
結い上げた赤銅の髪を揺らし、己の心のままに駆ける足が、ふと止まる。
白い息を幾度か吐き出し、乱れた息を整える。真っ直ぐに視線を伸ばし、睨み据えるは、人気のない路の先に立つ白翼広げた天使。
天使が手にした小剣に、纏う背広に、己の実家の紋章を見つけ、悠月は唇を引き結ぶ。言葉もなく襲い掛かって来る天使の剣の軌道を飛び退って避けると見せかけ、懐に踏み込む。踵を返しつつ背広の襟を掴み、背に負う格好で地に天使を投げ落とす。
地に這う天使を一瞥もせずに上げた瞳は、けれど不機嫌に歪んだ。
道の後先に、左右を挟む煉瓦塀に、家屋の屋根に、白翼を負うた人影が幾人となく、まるで白い死神の群れの如く立っている。
(……しくじった)
息を吐く。それでも、大人しく捕らえられるつもりは毛頭ない。
「俺は帰らない」
低く言い放つと同時、上着を脱ぎ捨てる。隠していた黒翼を背に現わせば、悠月を囲む天使たちに動揺が走った。
「父の言うままになど二度となるものか……!」
「よく言った」
応じたのは、天使たちではない。上空、黒翼を羽ばたかせて宙に立つ、
「鴻上……」
「一人じゃ無理そうだな」
「何をしに来た」
悠月の言葉に軽やかに笑う悪魔の周囲、幾本もの包丁が現れた。彰尋が手を翻した瞬間、銀色の軌跡を黄昏の光に弾き、刃が宙を奔る。悠月を囲む天使たちに襲い掛かる。
「だが二人なら……!」
悠月を囲む天使の輪が崩れる。その隙を突き、彰尋は悠月の傍らに強引に降り立った。
「お前が死にかけても守ってやる気はないからな」
「大丈夫、俺は死なない」
そっぽを向いて憎まれ口を叩く『猫』に、彰尋は不敵に唇を歪めた。
彰尋が自在に操る刃を味方に、悠月は身を低くして翼を窄め、飛燕の如く低く速く、翔けるように地を走る。父の命を受けて己を捕らえようとする天使たちの脚に鋭い蹴りを叩き込み、刃持つ手をすり抜け掴む。己に向けて振るわれた力さえ逆に利用し、宙に円を描くが如く天使を投げ地に叩きつける。
――数人が地に這い、数人が刃傷を負ったところで、天使たちは撤退した。
黄昏闇に消える父の使いを追うでもなく、悠月は眉を寄せる。何気ない足取りで隣に立つ彰尋が翼を隠すに倣って黒翼を消しながら、彰尋から顔を逸らす。
助けられた自覚はあった。けれど礼を言うのは気まずかった。
「どうして外に出た?」
「悪いことをしたわけではない」
吐き捨ててから、言葉に含ませた棘を後悔する。ちらりと伺い見れば、窮地を救ってくれた悪魔はただただ困った顔で此方を見ている。
「ただ、……会いたかったんだ」
悪魔の優しい眼差しに、思わず本音が零れた。
笑われると身構えて、けれど彰尋は笑わなかった。
「そうか」
一言そう呟いて寂しいような優しいような眼をする彰尋を、悠月は見つめる。
『猫』の怪訝な瞳に、彰尋は淡く笑み返した。
(俺は独りだったけど、この子には『もう一人』がいるから)
「二人で一緒に暮らせれば良いが、二人だけじゃまだ幼い」
「幼くなんて、ない」
唇を尖らせてむくれる悠月の背を、彰尋は宥めるように擦る。
「もう少し保護者の元で暮らした方が良いんじゃないかな。せめて、…成人するまでくらいかな?」
「成人っていつだ」
襟首を掴まんばかりに突っかかられ、彰尋はまあまあ、と手を振る。
「寂しいならアカリに家に来ないかって誘ってみようか」
「本当か」
「本当」
「本当に本当かっ」
「本当に本当だよ」
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年10月18日
参加申し込みの期限
2016年10月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年10月25日 11時00分
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