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ひとの世界の黄昏は幻のようだと、彼は思う。
学校を囲う塀の上から身軽に飛び降り、甘えた声で足元に纏わりついてくる野良猫を抱き上げる。制服の胸に毛がつくのも構わず、優しく顎を撫でて地面に下ろす。
下ろされた猫はふわりと尻尾を振り、通学路を辿る別の学生たちの足元へと歩いて去った。気紛れな猫の背を見送り、気紛れに猫に構う人間たちを見遣り、
八神 修
は柔らかく瞳を笑ませる。
(人間と言う生き物は)
優しい笑みの下に思うは、人間に対する冷徹とも取れる評価。
(群れれば道具と組織力によって天使や悪魔よりも強く、大義名分があれば天使や悪魔よりも残酷になる種族だ)
その気になれば、悪魔である己が身に宿る力によって滅するはおそらく容易い。力を解放すれば、一定空間を異界放逐するも、小異界を創造するも破壊するも、自在に適う。
それでも、悪魔である彼は人間を侮ってはいない。
天の大穴より地上に堕ちてこの方、彼の望みは静かに暮らすこと。
であればこそ、表向きは優等生の善人を装っている。人間としての仮面は、『機関』にも天使にも、同族である悪魔にも剥がされたことはない。
つと手を伸ばし、うなじに触れる。飛翔時や大魔法使用時にのみ出現する漆黒の翼は、今は誰の目にも触れぬよう隠している。
(……久しぶりに本土へ狩りに行こうか)
髪と同じ亜麻色の睫毛を伏せる。前回の騒動で手下になる人間――彼が『羊』と呼ぶ人間が幾分減った。彼らから得る生命エネルギーは、身体の維持に必ずしも必須というわけではないが、魔法を使用するためには大量に消費する。
それに、ひとの命は悪魔である己にとって一番の甘露。
咲き乱れる花の色にも似た黄昏を背筋伸ばして見遣る。優等生の『八神修』として選んだ新聞部の活動も今日の分は終えている。帰路を辿り、本土へ狩りに向かうか、それとも。
猫のように気紛れに、修は元来た道を戻る。帰宅する同級生や通りがかりの教諭と挨拶を交わしつつ校内に戻り、窓からの夕陽で緋色に染まる廊下をのんびりと歩く。立ったのは図書室の扉の前。
ひとの書物は面白かった。己が本能的に操る悪魔の力でさえ、ひとは理論立て体系を組み上げ、学ぶことを諦めさえしなければ誰にでも理解できる文書として記していた。
例えば、物質や空間を破砕する魔法は核融合が原理となり、身体の透明化や変化や、果ては洗脳は催眠術が原理となる。
(もしかしたら)
過去に悪魔がひとを介して書かせたのかもしれない、そうも思い至って修は唇に小さな笑みを刻んだ。
司書教諭か図書委員に追い出されるまで読書に勤しもうと決め込んで、扉を開く。
カウンターで本を読む顔見知りの図書委員に会釈して、書架の並びに足を向ける。知らぬ知識が目の前にあるかもしれないと思うだけで、悪魔の心は弾んだ。
心の赴くままに数冊の本を選び、窓際の閲覧机の椅子に掛ける。学生鞄を足元に置き、一冊目の本を開こうとして、ふと。
「……ん」
窓の外、下校する学生の姿が目に留まった。
体育科の生徒だろうか、小柄でありながら筋肉質な身を制服に包んだ、どこか幼い顔つきの少年の後を追って、少年よりも背の低い少女が駆けて行く。あの制服は寝子島中学校のものだろうか。
後ろから少女に声を掛けられて、少年はゆっくりと振り返った。少女から何事か告げられ、首を横に振る。踵を返し、大股に歩み去ろうとする少年の後を、少女は再度追う。強引に隣に並び、困り顔する少年に朗らかに笑いかける。
黄昏の一場面を穏やかな視線で眺めつつ、修はほんの僅か、首を傾げた。
(人間の多様性だな)
それは種の保存にも繋がるのだろうと瞳を細め、悪魔は関心を示す。
先輩、と数度に渡り声を掛けられ、
新田 亮
は不愛想な眼差しを背後へ向けた。
黄昏の通学路に、後輩の少女が嬉しそうな笑みを隠しもせずに立っている。
「高校まで来ることないだろ」
不機嫌な声を装ってみても、後輩の少女は笑みを崩さなかった。主を慕う子犬のように無邪気に隣へ並び、また笑う。
帰りましょう、と後輩に言われるまま、捨てて行くわけにも行かず、並んで歩き始める。
寒いですねえ、寒くないですか、後輩が無邪気に話しかけてくる言葉に生返事を返して道を行くうち、道の先に不穏な気配を感じて、亮は視線をもたげた。
視線の先、背広に身を包んだ男がひとり、立っている。
亮と眼が合った瞬間、冴えない印象の男は唇を吊り上げ嗤った。その笑みひとつで、男の印象は酷く凶悪なものへと変わる。
「何の用だ」
反射的に少女を背に庇う亮に向け、男は柔い果物を握り潰そうとするかのように無造作に手を伸ばした。
「寄越せ」
男が低く囁いた瞬間、男の掌に黒い球体が渦巻き現れた。瞬きの間に男の手から放たれた球体は、避ける隙すら与えず亮の胸を打つ。
「……ッ?!」
掌よりも小さな球体に、けれど鉄球で殴られたような衝撃を受け、亮は息を詰まらせる。痛みに身体の自由を奪われそうになって怯む。膝をつきそうになって寸前で踏み堪える。詰まった息を取り戻せぬまま、それでも顔を上げて、
「離して!」
「可愛い声だ」
強引に手を掴まれ男の胸元に引き寄せられる後輩の姿が目に入った。
(……悪魔か)
この世界の理にあらぬ力を使い、悪事を働く『異界者』。
(なら)
呼吸を取り戻す。痛みに怯える身体に冬の冷たい空気を行き渡らせ、掌を拳とする。全身に力を満たす。
(本気を出すしかない)
侮蔑の笑みを向ける男に向け、地を蹴り肉迫する。思ってもみぬ少年の速さにたじろぐ男の手から少女の手を奪い返し、
「目を閉じろ、耳も塞げ」
少女に低く囁きかけると同時、地を震わせる勢いで踏み込む。全身を使い、全力の拳を男の顔に叩きつければ、男は声もなく吹き飛んだ。
顔から血を噴き出させて悶絶する男には目もくれず、亮は後輩の手を引き駆け出す。
先輩、と背後から聞こえる少女の声を聞こえぬ振りで黄昏の町を駆けに駆け、山茶花の生垣に挟まれた小路で足を止める。背後の後輩の弾む息を耳にしながら言葉も掛けずその場を離れようとして、今度は後輩に手を掴まれた。熱を帯びた小さな手を振り払えず、亮はその場に立ち尽くす。
「俺は人間と悪魔のハーフだ」
吐き捨てる。
「さっきの男と同じ汚らわしい血が流れてる」
そう言えば手は離れると思った。今までは、己の力を目の当たりにし己の正体を知った人間は、家族以外の誰もが離れて行った。
だから、知っていた。
(俺を受け入れる奴なんていない)
ずっと一人で生きて行くしかない。
そう決め込んでいた。それなのに。
「汚らわしくなんてありません!」
少女は亮の思い込みを真っ向から打ち砕いた。
「だって先輩は助けてくれました。先輩は優しい人なんです。だから自分を否定しないでください」
正面に回り込むなり一息に言って、後輩は笑った。笑って見せて、くれた。
少女の笑みに胸を打たれた。それは先ほどの黒い球体に殴られたときとは違う、温かく柔らかな、感謝に近い思い。
(親以外にも受け入れてくれる奴はいるんだな)
ぎこちない笑みを返すと同時、病院で診てもらいましょうと手を引かれた。
「大袈裟だな。俺は半分悪魔だから頑丈なんだぜ」
「いいから行くんです!」
強情に言い張り亮の手を引く少女の姿は、ついさっきまで怖い思いをしていた少女と同一人物には思えなかった。
「お前は本当に大した奴だよ」
感嘆の声を受けて、少女の足が緩んだ。振り返り、照れた笑みを浮かべる少女の頭に思わず手を伸ばす。こどもを褒めるように撫でれば、少女はムッと頬を膨らませた。
子供扱いしないでください、と睨まれて、亮の頬に久しぶりの笑みが浮かんだ。
汚らしく伸びた男の爪が地を掻く。
「くそ、……」
罵声を吐き、鼻と口から血を垂れ流して起き上がろうとする男の傍ら、修はしゃがみこんだ。
「んだ、てめ、――ッ?!」
不意に己を覗き込んできた優等生じみた容姿の少年を罵ろうとした男の唇が歪む。血走った双眸が見開かれる。
「見苦しい」
唇を薄く開き、修は甘く冷たく囁く。
「死ね」
笑みさえ孕んだ修の瞳に映るのは、男の背に深く捻じ込んだ匕首と、その柄を握る己の手。
(悪魔をも滅する武器、『アーティファクト』……)
この世界の情報を集めるうち、『機関』が有する『アーティファクト』の情報は少なからず得ている。その道具の力で己の正体を暴かれぬための予防線も二重三重に張り終えている。
その過程で、『アーティファクト』の『材料』も知った。
知りながら、修は無感動に己の手の中の道具を見下ろす。
もがく男の手が力を失くして、途端、男の姿は塵と消えた。風に浚われ跡形もなく消える悪魔の末路に、けれど修は何の感慨も示さず立ち上がる。
(我ながら気紛れだな)
くすりと笑みを零し、悪魔を滅した匕首を手に振り返れば、路地の影に隠れるようにして、血と泥に塗れた着物姿の少女がひとり。
「これでいいかい?」
「……おおきに」
修から血まみれの匕首を受け取り着物の胸に抱き込んで、黒髪の少女はその場に蹲った。
「よう分かりませんけど、……悪魔は、『異界者』は、殺さなあかんのです」
悪夢にうなされるが如く呟き続ける少女の瞳に正気の色はない。おそらくは過去の記憶の大半を失っているのだろうと読み、修は優しく微笑んだ。
「うちにおいで」
以前、己の術式に嵌め、小異界に封じて殺した『機関』の女の存在を弄ばんとする内心を完璧に隠し、手を差し伸べる。
「誰か知りませんけど、ありがとうございます」
「俺は八神修。君は、――」
名乗り、修は世界を包む黄昏を見遣る。幻のようだと、いつも思う。
「君は、夕だ」
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3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年10月18日
参加申し込みの期限
2016年10月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年10月25日 11時00分
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