バトルタワー　ガーディアンドール｜リアクション

バトルタワー　ガーディアンドール

●シークレットノイズ：希望の戦士R・N
　世界は夢を忘れてしまった。
　人々は時間が無いを口癖とし、遊ぶことも休むことも辞めてしまった。
　回り続ける車輪のごとく働く人々は子供たちを教育し、この世界から笑顔をなくそうと試みた。
　感情ある子供たちは抵抗したが、大人という巨大な社会に立ち向かうすべなど持たなかった。
　壊れていく遊び場、遊び道具、遊び友達。
　その全てを守るべく、公園に彼は現われた。
　希望の夢を形にしたような、彼は取り壊し予定のジャングルジムの頂点に、古びた掃除ロッカーと共に現われたのだ。
　機械でできた絶望の従業員たちが取り囲む中、希望の夢が最初にとったのはロッカーを持ち上げ、放り投げることである。
　まるでサッカーボールでも投げるように軽々と、しかし豪速で放たれたロッカーが絶望の従業員たちをはねのけていく。
　ジャングルジムから降り立ち、拳を構える希望の夢を、子供たちは笑顔ともに呼んだ。
　希望の戦士R・N。

●バトルタワー第零階層：亮、ログイン
　新田亮にとってバトルタワーは修行にもってこいだ。
　無茶な戦い方をしたって病院に行かずに済む。泥に汚れないどろんこ遊びさながらだ。
　ベースボール用の硬球を肩掛け鞄に詰め込んでロッカーへと乗り込んだ。
　若干の浮遊感と排気ガスの臭い。
　開いたロッカーから外へ出れば、デッサン人形が彼を取り囲んでいる。
　右を見て左を見て、鼻と口からめいっぱいに息を吸い込んだ。
　力む一瞬、身構える人形たち。
　持ち上げたロッカーをミサイルよろしくぶん投げたなら、亮は弾かれたように走り出した。
　ロッカーミサイルによって瓦解した包囲網を抜けて走り、机を蹴って跳ね上げる。回転した机の脚を掴んでブレーキ。追いかけてくる人形たちへ向けて回転しながら突撃していく。
　まるで横回転するボーリング。はじけるピンに代わって吹き飛んでいく人形たち。
　拉げた机を投げ捨てて、前後からかかってくる人形たちに構えた。
　人形の蹴りを腕で受けては同時にパンチで頭を抜く。
　後ろから殴りかかる人形をもかがんで避けて、回し蹴りで転倒させる。
　再び構え、相手をにらむ亮である。

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