バトルタワー　ガーディアンドール｜リアクション

バトルタワー　ガーディアンドール

●シークレットノイズ：希望の戦士O・Y
　世界に明日などない。
　太陽系銀河を八十秒で食い尽くした怪獣が、次の銀河を求めて進むのだ。
　多次元世界に逃げる人々は残り十数時間の過ごし方しか考えられぬ。
　絶望の宇宙が迫る。
　しかしそんな時にこそ、希望は小さく、大きく、無限に光るのだ。
　宇宙が生まれるさまのように、星が滅ぶさまのように、希望の宇宙は現われた。
　絶望の宇宙は高らかに吠えたとて、ゆるがぬは希望の宇宙である。
　宇宙の一つを棒状にねじ曲げると、希望の宇宙はあろうことか投げ捨てた。
　絶望の宇宙が襲いかかる。
　希望は潰えてしまうのか。生まれたばかりで壊れてしまうのか。
　人々が僅かに願いを託しかけたその瞬間、希望の宇宙は豪快なストレートパンチでもって絶望の宇宙を粉砕した。
　連鎖的に砕け散っていく絶望を見て、人々は新たに希望を見いだした。
　この宇宙に名をつけるならこうだ。
　希望の戦士O・Y。

●バトルタワー第零階層：修、ログイン
　開かずの間を調べていた八神修は、第零資料室の謎に触れることになった。
　きっかけは、真っ白な鍵が扉の前におちていたことだったろうか。
　型番が違うにも関わらずその鍵は扉の南京錠を解き、開けばそこは不自然な広さの教室だった。
　デジタルカメラで撮影してみても、真っ暗な画像しか残らない。
　そのくせ戦えと言われるのだ。不本意ながら彼はロッカーへと身を収めた。
　多次元的な浮遊感があったかと思えば、ロッカーは仰向けに開いた。
　身体を起こそうとする修。狙って歩み寄るデッサン人形に、修は本能的な敵意を感じて跳ね起きた。
　手近な机を分解して金属パイプを手に入れると、人形もまた木製の棒を生み出した。
　なるほど互角の戦いをしたいというわけか。
　しかし乗ってやる義理も無い。
　修はパイプをわざと投げ捨てると、投げ捨てたパイプに一瞬だけ意識を奪われた人形へとダッシュスウェーで距離をつめた。
　拳の間合いと棒の間合いは大きく異なる。対人格闘においてリーチは体積ではなく表面積で存在している。面の内側へ潜り込まれれれば対応の仕方を変えなければならない。
　その隙を相手が、今回で言うところの修が許す筈は無い。
　ダッシュの勢いを乗せた豪快なストレートパンチが人形の顔面に炸裂。
　がくんと力の抜けた人形に分解能力を発動。
　顔から連鎖するように人形がバラバラに砕けていく。まるでそれまで何かのエネルギーに守られていたものが、その加護を失ったかのようなもろさである。
　さて、とポケットに手を入れる。
　武器になりそうなものがあるだろうか？
　そんな物騒な生活を送ったおぼえはついぞとないが。

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