The NEKOJIMA M@STER｜リアクション

The NEKOJIMA M@STER

【Introduction（イントロダクション）】

「ええっ！？　『Pygmalion（ピグマリオン）』と『お渡し会＆ミニライブ』の日程が被ってたぁ！？」
　その頃、同じく『それ』に気づいたスカラことロベルト・エメリヤノフもまたスマホのスピーカーに素っ頓狂な声を木霊させていた。
『……すみません。僕のスケジュール管理ミスです』
「ああ、いや、それはまあややこしいスケジュール管理をまかせっきりにしている僕にも原因があるからね……」
　電話の向こうで項垂れるマネージャーを慰めつつ、ロベルトは申し訳ない気持ちで『Pygmalion』の公演で相棒を務めてくれる獅子目悠月の顔を見やる。
（……どうしよう？　獅子目には、本当に申し訳ないことをしちゃったなぁ）
　ロベルトはそんなことを思いつつ、なんとかこのダブルブッキングを乗り切るべくマネージャーと手早く相談を進める。
「うんうん。じゃあそんな感じで。大丈夫。絶対に両方とも成功させてみせるよ」
　まだションボリ声のマネージャーに勇気づけるように言ってから、ロベルトは通話を切り、悠月と向き直った。
「……どうした、何かトラブルか？」
「ああ、うん。それなんだけどね……」
　少し心配そうな顔で聞いてくる悠月に、ロベルトは本当に申し訳ない気分になりつつ事情を説明する。
「……本当にごめん！」
「……そうか。まあ誰にでもミスはある。俺は俺にできる最高の演技をやるだけさ」
「……うん、ありがとう」
　悠月の気遣いに感謝しつつ、その毅然としたプロ魂にロベルトは奮いたたされるような心地になる。
「礼は舞台が成功した後にしてもらう。さあ、最終調整をするぞ」
「うん！」

　こうして、ロベルトと悠月は最後の調整に入る。