The NEKOJIMA M@STER｜リアクション

The NEKOJIMA M@STER

【お渡し会】

　スカラことロベルト・エメリヤノフは猛スピードでお渡し会の会場に駆けつけた。
「お、遅いぞ、スカラ氏！　あやうくせっかくの儲け……じゃなかった、お渡し会とライブがパーになるところだったじゃないかっ！」
「ごめんね、千歳飴Ｐ。でも、その埋め合わせはお渡し会でカバーしちゃうから」
　ロベルトはすっかり男の娘モードになりきって、パチンとファンが卒倒しそうなウインクをした。すでに女装、もといお着換えは完了していて、準備は万端だ。
「むー。ロベ……じゃなかった、スカラ先輩、サマになってるなー」
　来島アカリはロベルトの姿に、感嘆の息を漏らす。
「だよなー。ていうか、もうロベルト……じゃなくてスカラさんだけでいいんじゃないの？　なぁ、臼居――」
　スカラの可愛さに呆気にとられつつ、卯木衛がそうエスカルゴ・臼居に問いかけようとすると――

「え？　何か言った？」

　いつのまにか女装を終えていたエスカルゴがソプラノボイスで返事をした。

「って、やる気満々かよっ！！！」
　衛は全力で突っ込んだ。
「ち、違うもん！　これは営業用ボイスだもん！」
「むー。エスカルゴ先輩も似合ってるじゃねーかー。いや、別に似合ってるのが羨ましいとかじゃないけどさー」
　アカリもどこかむくれたような表情を見せる。
「大丈夫よ。アカリちゃん。貴女も最高に可愛いから。堂々としてていいのよ？」
「むー、先輩のバカ……」
　ロベル子もといスカラの妖艶な笑みにつられて、アカリが顔を紅潮させる。
「や、アカリくんも実は結構ノリノリじゃね……？」
　それに、衛は一人、たらりと頬に汗を流す。
「ふ、ふふ。カ・ン・ペ・キだ！　やはり君達にユニットを組ませた楓子は神プロデューサーだった！　見るがいい！　並んでいるファンが楓子には『歩くＡＴＭ』に見えるッ！！！」
「それはちょっと病院に行った方がいいと思うっ！」
　すっかり目が＄マークになっている楓子に、一人冷静（？）な衛のツッコミが悲痛に木霊するのだった。

　　　* * *

　そして、ついにお渡し会がその幕を開ける。

「どうしてもって言うから……あげるだけ、だから。深い意味なんてない、もん……」（アカリ）
「僕たちからの愛をう・け・と・っ・てｖ」（エスカルゴ）
「きょ、今日は来てくれてありがとうなっ……！」（衛）
「良ーく味わって……食べてね？」（ロベルト）

「「「「イエッフーーーー！！！」」」」

　４人の最強の男の娘の夢の競演に、集まったファンの歓声はまさに天をつくほどのものだったという。