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霧の中に佇む花
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「そうそう、泉先生が言うには1000年前の話なんだけど。でも、三百年桜が鍵になっている。
桜じゃなくて、場所に縁があるって事?」
「ああ、それなんだが……」
円の疑問に、泉先生が口を挟んだ。
「俺が話を持ってきた時に誤解させてしまったようだが、正しくは
寝子暦
が始まった頃の事だろう。
あれは、落神が飛来した年が元年と数えられているものだからな」
それが本当であれば、日本は当時飛鳥時代。
歴史の教科書で有名どころといえば、丁度蘇我氏が盛衰を見ていた頃の事のようだ。
「そうだったのだ?」
ひょっこりと真央が乗り出す。
「おキヌちゃんは、千年寂しく待ってたかも知れないと思ってたのだ。
だったら! 最低限次の千年も楽しく待てるよう、今自分ができることを届けに行くのは会いに行く人間が考えなきゃダメなのだ! と思ってたのだ!」
「千年周期で落神がやって来ている訳では、ないんだがな」
泉先生が苦笑すると、真央はてへっと頭に手を当てた。
「真央ちゃん、ちょっと勘違いしたのだ」
彼らがそんな遣り取りをしている間に、能美子は三百年桜の根元に近付いていた。
側では美咲紀がカウンターをカチカチ鳴らし続けている。
「ううっ、いっぱい固まってるよー。うじゃうじゃいるよー……」
能美子は毛虫が落ちてこないように願いつつ、幹に括り付けられた注連縄を眺めた。
この注連縄の所以を、円が気にしていたから。
(結構年季が入ってるみたいね……)
能美子が探していた綻びに手を伸ばした。
触れながらじっと見詰める。すると――
視界が揺れている。
周囲は満開の桜に包まれていて、次第に誰かに背負われ、運ばれているのだと気付く。
揺れが一旦収まった。
「これが……三百年桜?」
「爺ちゃんの言ってた通りだ!」
少年たちの声がして、また能美子の視界が揺れる。
背から降ろされると、そこには今とそう変わらない立派な桜の木がそびえていた。
暫くして、能美子の視界には古い注連縄を手にしている少年たちが映る。
「こっちの注連縄はどうするんだ?」
「寝子島神社で供養して貰おう」
そう取り決めて、彼らは能美子に……注連縄を括り付けた桜の木に願掛けをして、広場から去っていった。
場面は変わって。
茶色っぽい帽子と制服に身を包んで拝む彼らは、あの日より少し大人びた顔をしていた。
「……勝利し、生還が叶ったその時には、再びこちらに参ります」
最後に敬礼して背中を見せる彼らを見送る能美子。
しかし、次に見たヴィジョンは彼女に衝撃をもたらすものだった。
夜。
まるで太陽が落ちてきてしまったかのように、北の空が赤々と燃えている。
禍々しい、この世の終わりの光景のようにも見えた。
それが何を意味するか能美子が理解するより先に、激しい感情の渦が流れ込んできた。
『何故? どうして? 人はこんな事をする? 懸命に生きてきた彼らが何をしたというのだ。
失われてしまった、なくなってしまった。どうして何もかも、根こそぎ奪っていく?
これでは何も育まれない。命の営みは絶えてしまうのに。
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして
悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい
悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい悲しい!!!
』
膨大な疑念と悲しみが能美子の思考を埋め尽くし掛けた時、そっと誰かが彼女の手を包み込んだ。
「それはあなたの感情ではありません。呑まれないで、あなたは誰か、思い出して」
弾かれるように不の感情から切り離された。
最後に視たのは、あの桜の広場で咽び泣く壮年の男女と、その背を痛ましげな顔で見守る老人の姿だった。
今は……能美子の前には、注連縄に触れていた手を優しく握るキヌの姿がある。
円が心配そうにハンカチを差し出してきた。
「能美子ちゃん、大丈夫?」
「あ……」
現実に立ち返って、能美子は初めて自分の頬が濡れている事に気付いた。
あれは、三百年桜の感情だったのだろうか?
彼女のろっこん【役立たずの逆さ時計】の発動だけでは、ただ光景が脳裏に浮かぶだけだった筈だ。
長く幹に括り付けられていた注連縄には、三百年桜の力が少なからず宿っているのかも知れない。
「なるほどなぁ」
泉先生は能美子の話を聞いて、少し考え込んでいた。
「少なくとも、今の注連縄は戦時中に取り付けられたものだという事は分かったな」
想像上の話と思われ兼ねない事なのに、彼は妙にすんなり受け止める。
「……センセーは、島の昔話とか、沢山知ってるんだよね」
まだ目の赤い能美子がぽつりと尋ねると、泉先生は頷いた。
「マジで、この島。伝説だらけなんだねセンセー。
……どうして、こんな不思議な事が起きて、不気味だって今まで誰も島を出てかなかったの?」
「はは、弘明寺君は不気味だと思うかい? この島の不思議な出来事や逸話を」
俺は面白いと思うんだがなぁ、と彼は目を細める。
確かに多かれ少なかれ、島の人々は妙な現象が起きても受け入れているようにも見えるけれど、ともすれば何が起きているのか理解出来ていないのでは、という場合もあるようだ。
「まあ、君のように田舎を嫌って出て行く若者は、昔からいないでもなかったさ」
「やっぱ、そうなんだ……」
何もないと感じる者には、小さくて退屈な島だと、泉先生も素直に認めた。
(でも、センセーにとってはこんなトコが宝の山なんだよね……)
能美子は人によって物事の捉え方や考え方が違う意味を、ほんのり知った気がした。
「しかし、三百年桜は少なくとも80年くらい前もそう呼ばれていたんだな」
顎を摩りながら、泉先生は口端を吊り上げる。
そこへ美咲紀が戻ってきた。
「今日は暑いけど、ここの気温は麓程じゃないわね。土の具合は、と……」
毛虫カウントが三桁を超え、若干くたびれた空気を纏いつつも三百年桜について調べた事柄を真新しいノートに書いていく。
「植物とのお付き合いは、ちゃんと記録を取る事が大切なのよ。一年の変化で一単位だし」
「美咲紀さんは、熱心なのですね」
キヌは詳しい内容は分からないまでも、ノートを覗き込んで感心げに呟いた。
それから美咲紀は、落ちてから然程時間の経っていないらしい桜の小枝を拾い上げる。
「おキヌさん、この桜の枝、持って帰っても大丈夫かな?
桜って挿し木で増えるの、鉢植えOKよ♪」
「桜の木を、育てて下さるのですか?」
美咲紀の申し出に、キヌが目を瞬かせる。
さわさわ……。
「……?」
カメラ片手に風景に目星をつけていた月詠は、周囲の空気が仄かに変化したのに気付いた。
(これは……感情、なのか?)
月詠だけでなく、霊感や感受性の強い生徒であれば、多少の差はあっても感じ取れたかも知れない。
恐らくその感情をより明確に受け取れただろうキヌは、柔らかな笑みを浮かべた。
「桜も嬉しいようです」
美咲紀が自らの為に色々としてくれている事を、三百年桜は認識したのかも知れない。
「本当? ありがとう桜ちゃん!」
ぱっと笑顔を咲かせた彼女は、太い幹に抱きついた。
と、目と鼻の先にもそもそと……。
毛虫さんがこんにちは♪(二回目)
「~~~~~~~~ッ!!」
声にならない声を上げて、美咲紀は飛び跳ねた。
「……ここにある桜の木の始まりは、かつてイタビ様や集落の皆さんが私と別れる時に、植えて下さったものなんです。私が桜の花を好きだったから、と」
キヌは改めて、桜に纏わる話を始めた。
「
『ならば、ここに君の好んだ桜の苗木を植えよう。
姿は見えなくとも、ここに来れば君と会えるように。
私の命は短いが、我らの子が、遠い世代の孫たちがいつか君に出逢えるように……』
か」
泉先生の呟きに、キヌは目を見開いた。
「それも、伝わっていたのですね?」
「ああ」
「先生……ご存知だったんですね」
人里も思わず口許に手を当てたけれど、泉先生は「こういうのはやっぱり、時代の生き証人に聞かなきゃなぁ」と涼しい顔だ。
植えられた桜の木々はゆっくりと数を増やし、咲いては散り、枯れては増え……長い時を経てこの群生地になったのだ。
やがて、その中から長く生き続ける事の出来た三百年桜と呼ばれる桜が生まれるまでには、更に時間が掛かったのだろう。
尤も、キヌの記憶を辿っていくと江戸時代末期には既に三百年桜と言われていて、その頃はまだイタビや集落の子孫と思しき人々もそれなりの人数、ここを訪れていたようだった。
伝承していく者が減ってしまったのは、急速な時代の変化と戦禍の影響によるものだったのかも知れない。
「三百年桜には、今までこの森で生き、枯れていった桜の意識が宿っています。
この桜は、いわば桜たちの拠り所なのです」
「そっか、始めはおキヌさんがそういう存在なのかと思ってたけど、この三百年桜ちゃん自体に、今までここで命を全うした桜の魂みたいなものが宿ってるのね」
美咲紀が納得したように頷いた。
彼女の想像は、当たらずとも遠からずだったようだ。
「日本は万物に神が宿るものだし。百年経ったらものでも神様憑くし!」
さわさわ……。
風に揺られる緑の葉が涼しげな音を奏でている。
「あの……」
洋志がもじもじとした様子で切り出した。
直接メモや録音をさせて貰おうか頼もうと思っていたけれど、結局口に出せないままだ。
小淋や葵たちがメモを取っているのだから、もっと堂々としても良いかも知れないのに、それでも出来ない洋志だったりする。
「おキヌさんは……どのくらいの期間、集落の人たちと過ごしていたんですか?」
「はっきりとした期間としては分かりませんが、桜の花が咲く季節を二度ほど一緒に過ごしました」
「それじゃ……えっと、落神様について知ってる事は?
落神様が来られた事で、起きた出来事はなにがありましたか?」
落神について問われ、キヌは眉を下げて微笑んだ。
「私は落神様に直接お会いした事がないので、あまり詳しい事は分かりません。
ただ、落神様がいらした事によって私も生まれたのではと、イタビ様は仰っていましたね。
それに……私はイタビ様と出会って初めて、自分というものを知ったようなものなのです」
「それまでの事は、何も覚えていないという事ですか?」
人里の質問に、キヌはどう答えて良いのかという様子で少し考える。
「イタビ様とお会いする前、私にはあまりはっきりした意識がなかったように思います。
まるで霧の中で漂っているような……落神様がお帰りになって、イタビ様たちとお別れした後も、同じような感じでした」
「でも、見えなくても存在してたんですよね?」
「俺も知りたいです。何を思い何を感じて過ごしてこられたのか」
修も、イタビたちと別れた後、彼女がどうしていたのか興味が会った。
「出会う以前も出会った後も、同じような感覚でしたから、私は私として存在し続けていたと思います。
自分というものを知った後は、側に人のように知覚のある存在が現れた時には、今のようなはっきりとした意識を取り戻していたようですが……それ以外の時は、やはり霧に溶け込んでしまっているような感覚でした」
そんな状態ではあったものの、彼女は群生地の奥で迷った人々のうち、桜が認めた者がここへ至る為に手助けした事もあったようだ。
人里は続けて聞いてみる。
「昔の九夜山の事も、教えて頂けますか?」
「はい。落神様がいらした頃は、神魂によって本来ある理が乱れ、それは自然にも影響を及ぼしていたようです。
動物や植物も、巨大になったり沢山増えてしまう事もありましたが、逆に荒れてしまって何も採れないと困っている人々もいらしたのです」
「この島には天変地異があったと聞きました……それも、神魂の影響なのですか?」
今度は天野が尋ねた。
「全てが落神様の神魂が原因かは分かりませんが、良い事も悪い事も問わず、本当に様々な出来事が起きていたようです。
それに……私はあまり詳しくはありませんが、異変はこの島だけではなかったそうです」
神の訪れは、遠い海の向こうまで影響を及ぼしていたとキヌは人伝に聞いていたらしい。
「そんなにも……」
天野は改めて、人の手には負えない存在の大きさを感じた。
「……? 鴉って何なのさー?」
難しい話はよく分からないといった風に、没が首を傾げる。
「鴉? あの黒くて賢い鳥の事ですか?」
キヌが知っているのは、ごくありふれた鴉の事だけのようだ。
「他にも精霊……キヌさんのような方は、存在するんでしょうか?」
キヌの存在に考えを巡らせていた綾花の問いに、彼女は「はい」と頷いた。
「海の方には、私の姉妹のような存在がおりました。
霧が海側に繋がった時にしか会う事は出来ませんでしたが……」
「それは『おコウさん』?」
図書室で目にした昔話を思い出し、綾花は呟いた。
泉先生も、待雪からの報せをメモした画面をスマートフォンに表示する。
キヌは二人に頷く。
「彼女は私よりも活発でしたし、性質も違いましたから、浜の人々と一緒に仲良く暮らしていました。でも……」
思い出話のように楽しげだった顔が、次第に曇っていく。
コウが島から無理に連れ出され、命を落とした事は、彼女の心にも影を落としていたようだ。
「あんな事があって、私と関わりのあった方々は用心深くなったようです。
私の存在を、外に知られてはならないと」
「えっ……じゃ、じゃあ新聞の記事にするの、ダメかなぁ?」
その話を聞いて慌てたのは葵だ。
けれど、キヌは穏やかに首を振った。
「昔のお話ですから。今は桜が共におりますし……それにきっと、なるべくして私は皆さんと出逢ったのだと思うのです」
キヌの感慨深げな笑みを、月詠は黙ってスケッチブックに描いていく。
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なし
シナリオジャンル
日常
動物・自然
神話・伝説
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年05月08日
参加申し込みの期限
2013年05月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年05月15日 11時00分
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