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【バレンタイン】フェアリィテイルとチョコレート!
好き。
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「来ぬ人を松帆の浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ、なんてな」
いつまでも現れない貴方を待っているとまるで松帆の浦の夕凪の時に焼く藻塩のように、私の身はずっと恋焦がれるのです――なんて意味の百人一首をそらんじながら、
獅子島 市子
は愛しい人を待っていた。夕方の逢瀬も乙なものだぜ、なんて誘ったのは市子だ。だったら、早めに来て待っているのもいいだろうなんて考えて待ち合わせ時間より20分も早く星ヶ丘駅前に立っていた。白藍色の小紋に濃鼠色の長羽織、着物でお洒落をしてメイクもキメて、手には赤い風呂敷で包んだ御重が1つ。
「本命なんて人生初だし……照れくさい、けど。これが今のあたしの本気だからな」
先手必勝! なんて思いながら想い人が乗っているであろう電車が駅へと入ってくるのを眺め、改札口で待った。改札口の手前から市子を見つけて駆け寄ってきたのは
桃川 圭花
で、白いニットワンピースに黒いタイツ、少しごつめのミリタリーブーツが今日と言う日の意気込みを表しているようにも思えた。
「市子さん、待たせちゃった?」
「いいや、時間通りだろ? さて圭花さっそくだけれど、はい」
圭花に差し出されたのは市子が持っていた御重。その重さに一瞬固まったけれど、圭花は自分より少し低めな市子をゆっくりと見下ろした。見下ろされた方の市子は、圭花がなんだか固まっていると言うか、動きがぎこちない気がして心配になって唇を開く。
「あ、引いてる? 作りすぎた? チョコ好きだからヘーキかなって……つーのでも……ない?」
「ううん、チョコは好きだし市子さんの手作り……だよね? だったらどんなに大量だって食べてみせるけど、その……」
まだ開けてはいないけれど、多分きっと自分が作ったチョコレートよりも豪華だろうし美味しいのだろうと思うと、出し難いのだ。乙女心と言う奴なのだが、自分だってもちろん作って持ってきてはいるけれど、自己評価してみても大成功とは言い難い。つまり、市子が作ったチョコレートの前に出すのは憚られた。
「圭花?」
気丈だけれど僅かではあったけれど不安げに揺れたその声に、このまますっとぼけて渡さないでおこうかという考えは吹っ飛んでしまった。もしもそうしてしまったら、きっと目の前にいるこの人はすごく寂しい気持ちになる。それくらいなら、自分が恥ずかしい思いをした方がマシだ。
「……こんなのしかなくてごめんなさい」
そう言って市子に差し出したのは、ラッピングも少しだけよれてしまったチョコレート。不器用な小箱は、まるで圭花そのもののようで市子は目の前の彼女に愛おしさが募るのを感じて大事なものを受け取るように手の中に収める。
「ここまで市子さんを喜ばすこと何もできないと、ときどき自分が嫌になるわ」
こんなチョコレートでは喜んでもらえないだろうと早とちりして、沈んだ顔を見せる圭花の腕に市子は自分の腕をぎゅっと絡めた。
「……圭花、行くよ」
「え? ちょっと、市子さん?」
行き先も言わず、ぐいぐいと市子は圭花を引っ張っていく。訳も分からないままだったけれど、その腕にはどこか温かさと何かの決意を感じて圭花は黙って着いていったのだった。
連れて行かれた場所は市子の住む星ヶ丘のマンションで、お邪魔しますも言えないまま圭花は中へと上がらされていた。市子はと言えば、着ていた長羽織を脱いで袖が邪魔にならないようにと襷を掛けている。ヘアピンで前髪を避けた市子に、圭花が戸惑いながら声を掛けた。
「あの、市子さん? 何をするつもりなの……?」
「やり直そう」
「え?」
「一緒に作ろうぜ、チョコレート」
本当は最初に貰った不器用な小箱で十分だったけれど、贈る側である圭花がそんな顔をするようじゃダメだと市子は思ったのだ。圭花の着ていたコートも預かって、エプロンを渡して用意をさせる。圭花は圭花で、市子がどんな考えでこの行動に至ったのかを『やり直そう』という言葉だけで把握していた。
「……ほんと優し過ぎなんだから」
ぽつりと漏らした言葉はキッチンで準備をしている市子には聞こえない。圭花はへこんでいた気持ちが元に戻っていくのを感じながら市子の隣に並ぶ為キッチンへと向かった。
「さー生チョコ教室始めんよ」
「はい、市子先生」
楽しくも厳しい、市子のチョコレート教室の始まりだった。実践しながらの市子のレクチャーはとても分かり易く、圭花は言われた通りに工程を進めていく。
「分量なんざ好みの問題、大事なのはとにかく丁寧にやるコト。ゆっくりでいいんよ」
チョコを刻むのも、生クリームを溶かす加減も混ぜる速さも、全てを食べて貰う相手のことを考えながら……愛情を籠める、とはきっとそういう事なのだ。大好きな貴女の為に。
ふっと触れ合った小指の感触に、2人の目が合う。その目に映るのはお互いの顔で、何も言わなくても相手の気持ちが流れ込んでくるのがわかる。心も、体温も、気持ちも全てを望んでいる、それはお互い様だと圭花が動いた。小指から親指までの1本ずつを全て自分の手の平に掬い上げて握り締める。さっきほんの少しだけ火傷した事に気が付かれるだろうか? あぁ、それでも今はそんな事はどうでもよくて、圭花は自分の火傷に気付いたであろう市子の唇を奪った。
長めの口付けが解かれるて、握られていた手も解かれると、それがとても名残惜しくて市子は圭花の手を包むように握ると自分の頬へと当てた。圭花だって全然足りていなかったけれど、それでももう少しだけ待って欲しくて、市子と出会って初めて知った、ほんとの私を見てて欲しくて。
「私、あなたを幸せにするために変われる女だから」
「……知ってるさ」
市子はずっと前から知っている。圭花が何にでもなれる女の子だと、そしてそれを傍らで支えたいといつだって思っているのだ。でも、今は少しだけ変わらないままでもいいと思っていた。そうすれば、アンバランスなリボンも不出来なチョコも、この火傷した指も柔らかな唇も何もかもを永久に独り占めできるような気がして。全てが愛しくて、全てが欲しくて市子はもう一度だけキスの代わりにその手に頬を押し付けた。
「チョコ、作ろうぜ」
「うん、そうだね」
ゆっくりと手を離し、燻る熱をチョコレートへ流し込むように丁寧に続きを始めた。そうして、出来上がったチョコレートを冷蔵庫に入れれば冷えて固まるまでは2人だけの時間の始まりだ。市子からもらった御重を開けて、その中に入っている四種類の生ショコラを詰まんで食べる。
「沢山あるから好きなだけ」
「うん……市子さん、ここにもチョコ、付いてる」
ぺろりとチョコレートの付いた自分の唇を舐めて、市子の両手を圭花が掴まえる。そして市子の唇をその舌で舐めて、甘いと笑った。そのまま唇を舌で割り開き、口の中のチョコレートを味わえば市子のくぐもった甘いチョコレートのような声が聞こえて、圭花はそのまま唇を首筋へと這わす。
「市子さん、どこもみんな甘いよ」
「……は、圭花だって甘いさ」
お返しとばかりに、圭花が火傷した指に舌を伸ばし口付ける。それから耳たぶに飾られた市子が贈ったローバー型のスタッドピアスへ、そこからゆっくりと唇へと移動して、お互いが溶けてしまう程の深い口付けを。こんなに甘いのはどうしてだろうかと市子は蕩けた頭で考える。ああ、きっとまだココアをまぶしていないからだと考えて、1度離した唇へとまた口付けた。
それならばもう、ココアなんてなくてもいい――。チョコレートが冷えるよりも長く、2人はソファへと身を沈めていった。
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担当ゲームマスター
加持蜜子
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
1000人
参加キャラクター数
76人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年09月19日
参加申し込みの期限
2016年09月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年09月26日 11時00分
参加キャラクター一覧
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