スノーマンとの戦い＆のんびりコタツムリ？｜リアクション

スノーマンとの戦い＆のんびりコタツムリ？

　雪だるまの足跡を追って、武道は大通りに出る。
「ゆきだるまーんそろそろ出てこーいーーって、多いな！」
　道の両脇に、大きな雪だるまがずらりと並んでいる。さすがにそれら全部がうごくわけではなさそうだったが、いずれも凶悪な面構えで、一種不気味な光景だ。
「ん……？」
　そのうち一つが半壊していて、武道の目にとまる。下半分の雪玉、その片側半分がごっそり無くなっていて、手には他の雪だるまはとは違いバズーカを持っていた。
「見ーつけた☆……なわけないかはぁっ！？」
　ふざけて「てへぺろ」しかけた武道は、次の瞬間、後頭部に衝撃を受けた。視界が歪む。
「痛え！――櫻ちゃん！」
　涙目になりながらも、武道は雪玉の飛んできた方角と当たった位置から該当する雪だるまを指差す。立ち並ぶ雪だるまの中からマシンガンを持った個体が動き出していた。
「させるか！」
　櫻が即座に走り出し、動く雪だるまに向かう。マシンガン持ちはすぐさま狙いを武道から櫻へ。大量の雪玉が立て続けに放たれ、櫻が盾にした雪だるまたちを破壊しながら射線が迫ってくる。
　ろっこん発動。
　櫻が手に生み出した日本刀を振るった。「自らに当たる」雪玉を見切って、最小限の数を撃ち落として肉薄する。
　そんな彼女を、バズーカが狙い出した。
「結局本物かよ！」
　武道が上着を振り回し、バズーカの射線を外す。半壊した雪だるまへと、武道は雪を削るべくさらに上着を叩きつける。
　べシーン！
　バシーン！
「うわー、全然効いてないな！」
　何より寒い。超寒い。
　おかげで最初より動きにくいし、力が入りにくい。
　バズーカがそんな武道の状態を見抜いたか、砲口を向けてきた。
　発射――
　豪速球が雪だるまの頭部を撃ち砕いたのは、そんな時だった。
　驚いた武道の視線の先に、雪玉を構えた亮が立っていた。
　発射！
　投球モーションから投げられた雪玉は、次々とバズーカ持ちの体に突き刺さり、衝撃エネルギーで粉々に破壊していく。
「ふぅ、やっと一体仕留められた」
　ろっこんによって身体能力を向上させていた亮は、息を吐き出して武道に駆け寄った。
「……もしかして、この雪だるまが半壊してたのも君が？」
　武道の言葉にうなずく亮。
敵の片方に深手を与えたものの、逃げられたので今まで追っていたのだ。
「志波、避けろ！」
　そこに櫻の警告が響く。
　武道と亮が身を投げ出すと、二人の立っていた場所を雪玉が掃射していく。
　降り立ったマシンガン雪だるまは、滅びた仲間の得物を空いた手に掴んで引き金を引いた。
「そこで二刀流とか卑怯だろ！」
　文句をかき消すように放たれた砲弾は、通りに面していた雑貨屋のガラスを粉々に打ち砕いた。
「大丈夫か」
　飛び退いた雪だるまと入れ替わり、櫻が駆けつける。
「一体減らしたけど、火力二倍じゃ逆に手強いな……」
　亮は雪玉を投げつけるが、雪玉の弾幕に阻まれる。
「俺の上着じゃ大した攻撃にならないし……そうだ、この時期なら！」
　武道は破壊された店を見て、駆け出す。
「志波！？」
「櫻ちゃんと、君、少しの間だけここで持ちこたえておいて！」