今日から自宅警備員になりました。｜リアクション

今日から自宅警備員になりました。

【サイドI：八神修の挑戦】

　修と七夜あおいがやってきた２の部屋。そこで待ち受けていたのは――

「アラ？　八神ちゃんと七夜ちゃんじゃない」
「フジコ先生！」

　寝子島高等学校・演劇教諭であるフジコ先生（富士山権蔵）であった。

「困っちゃうワ、気が付いたらこんなところにいて、どうしたらいいかと～（省略）」

　フジコは静かに淡々と管を巻く。修が本題を切り出してからも、五分はその話は終わらなかった。

「ああ、そう言えばどうしましょうっていう話だったわよネ。
　アタシもやっぱり自宅が恋しいから、悪いんだけどトラップに掛かってほしいのよ」
「それは困りましたね、こちらも家は恋しいので」
「ウン、だからお互い納得がいくよう、正々堂々イきましょう」

　フジコは小指を立てて唇に宛てがい、にっこりと微笑んだ。
　曰く【制限時間内に一定回数、腹筋をしながらボタンを押せば】トラップ回避となるらしい。

「じゃ、好きなタイミングでどうぞ」

　修がいつでも上体起こしができるような姿勢になると、フジコは修の膝の位置に赤ボタンを置いた。
　あおいが足首をしっかり持ち、ボタンはフジコが落ちないように支えておく。
　制限時間は30秒。一般的な体力テストと同じ時間だ。
　ボタンを押す回数は35回。これは平均をやや上回る回数。

「修君、頑張って！」

　あおいの応援を受け、修は頷く。そして呼吸を整え、修は上体起こしを開始した。
　普段から体を鍛えている甲斐あって、ギリギリでクリア。
　――と思いきや、フジコのささやき戦術が発動。
　修の一度目の挑戦は失敗に終わった。

【八神修は２の部屋で富士山権蔵の挑戦に失敗した。入り口に戻る】