今日から自宅警備員になりました。｜リアクション

今日から自宅警備員になりました。

【サイドD：骨削瓢の不満】

　６の部屋に罠を仕掛けたのは、瓢だ。
　あの部屋には、羽生碧南が引き当てた地雷だけでなく、ビックリ箱を仕掛けていた。むしろ九割がビックリ箱だ。
　そして瓢自身も部屋の壁面に身を潜めていた。
　他人に利用されるなど癪にさわるが、面白いことには目がない男だ。
　まずは楽しんでから。話はそれからだ。

　そんな瓢の元にやってきたのは、慎重かつ集中力のある羽生碧南。
　瓢が仕掛けたのは『ここに何かあるかもしれない』と警戒させて、その『警戒』や集中力を空振りさせるための罠だ。
　彼女は格好の餌になる、瓢は口角を上げた。
　場合によっては自ら飛び出し、不意打ちで襲いかかるのもいいかもしれない。
　――と胸を膨らませていたにも関わらず、碧南は呆気なく罠に掛かってしまった。

（考えすぎってのも、考えものだねぇ）

　がっくりと肩を落とし、次の獲物を待つべく息を潜めていると。
　入り口ではなく、何もない壁からにゅっと猫耳頭が飛び出してきた。

「ドクロベーくーん！」

　猫耳の持ち主は、同じく強引に召喚された響タルトだった。

「収穫はどう～？」
「どうもこうも、そもそもお客が少ないんだよぃ」
「……そっかぁ」

　タルトはしょぼんと項垂れるも、すぐに目を輝かせて提案する。

「じゃあ、私が誰かに会ったらオススメしておくね！」
「そりゃ、助かるね～頼んだよぃ」
「うん！」

　そう言うなり、タルトは壁の向こうへ消えていく。
　一人残された瓢は、欠伸を噛み殺し侵入者を待つのだった。

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