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雑貨店memoria~波と風のシークラフト~
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毒島 虹子
はいつものように非の打ちどころのないアルカイックスマイルで、喬が近づくのを待っていた。
「冬の海、というのもなかなかすてきなものでございましたわね、中山さま」
あいさつとして、これまた非の打ちどころのない言葉だ。
そんな虹子を前に、喬は正直、失敗した、と思っていた。
何がというと、マリンパラダイスで虹子に礼を言ったことだ。
あれは礼を言うべき状況だったし、言ったことも間違いではない、と今も思ってる。感謝したのは事実だ。ただ、失敗だったのだ。
そのせいで虹子を見るたびにこう、なんだかモヤモヤとして、気まずい気分になる。
今もそうだ。
そして虹子がこの気まずさに気付いているらしいところがさらにイライラする。
「……『さま』付けんなって言ってるだろ」
声が普段より5割増しでトゲトゲしく、ぶっきらぼうになっているのを承知の上で言う。もちろん虹子に通じないはずはない。が、虹子はいかほどのものでもないといった様子で受け流し、自分の席へ彼を誘導した。
「で? 何の用だ」
「はい。道具をお借りしたいと思ったのですが――」
「場所はもう分かってんだろ、何度も来てんだから。勝手に――いてっ」
後ろから飛んできた手に頭をぽかりとやられて、喬は前につんのめった。
「お客さまになんて口をきくの。
ごめんなさい、虹子さん。すぐ用意するわね。何が入用なのかしら?」
後ろから現れた密架を見て、虹子は「全然気にしていませんわ」とほほ笑む。
「針と糸、それに作業用手袋がほしいんですの」
「分かったわ。ちょっと待ってね、喬に用意させるから」
密架は早口で小さく喬に注意を入れて、すぐ持ってくるようにと追い立てた。
「あ、そうそう。喬からこの前聞いたんだけど、虹子さん、婚約されているんですって?」
「はい」
にこりと笑って虹子は答える。
「きっとすてきな方なんでしょうね。虹子さんのように、芸術に秀でた方かしら」
「ああ、いえ。むしろ彼は芸術からはほど遠いところにいる存在なのです」
意外なことを聞いたというように、密架は「まあ」とあいづちを打つ。
「ですから私、memoriaで過ごす時間が大好きなのですわ。これは本音でしてよ?」
「ありがとう、虹子さん。そう言っていただけるととてもうれしいわ」
密架は心からうれしそうな笑顔で礼を言うと、待たせていたほかの客の元に戻って行った。入れ替わるように、ぶつぶつと何かつぶやきながら、針と糸、白手袋を持って喬が戻ってくる。
「ほらよ」
「ありがとうございます、喬さま」
ぴく、と喬の眉が動いた。
「名で呼ぶんじゃねえ」
吐き捨てるような喬の態度を見て、虹子は「あら」と思う。
(今度は『さま』付けのほうではないんですのね)
「では中山さま。製作について、少し相談してもよろしいでしょうか」
自分の席に戻ろうとしていた喬は、小さくため息をつくと、それでも虹子の向かい側に腰を下ろした。
「何を作りたいんだ?」
「カチューシャですの。図案はこちらに用意してあります」
虹子の示すそれを見て、喬は口をへの字にした。
「魚だな」
「はい。ベースとするフェルト生地は持参してきました。この魚をこの辺りに配置して、周りに波をイメージしたビーズを細かく縫いつけようと思いますの」
虹子は魚の楕円の周りで、波を表す曲線の形を指でなぞった。
「こっちに偏ってるな」
「これは一部ですのよ。私が普段付けておりますリボンカチューシャに付けられるようにと思いましたの」
「着脱?」
「ええ。そうしますとバレッタとしても併用できますでしょう?」
「ああそうか」
説明を聞きながらフェルトやシーグラスに触れている。完成図を頭のなかに描いているようだ。作品に集中して、声からトゲが消えている。
「どうしても私は1点もの、から頭が離れないみたいですわね。ふふ、でも芸術科としてはよくできた……と思いたいですわ」
「いや。下絵の魚も波も、極力線をはぶいた線画でありながら優雅だ。フェルト地の色とシーグラスの色のバランスもいい。
センスがいいな」
「ありがとうございます。
先日密架さんと私たち3人で行きましたマリンパラダイスで見かけた魚たちをイメージして描きましたの」
そう言うと、喬がまた思い出してしまったというように眉をしかめたので、虹子はついくすりと笑ってしまった。
それから、虹子は作り方についていくつか質問をした。
本当のところ、実は作り方で迷っていたり、特にアドバイスを必要としているわけではなかった。単に引き止めて、さっきの反応についてじっくり考えてみたかっただけだ。
だれも彼を名前で呼ばない。密架は別枠なようだが、彼が名前で呼ばれたがっていないのは確定的だ。でもそこにあったのは、自分の名前が嫌いとか単なる嫌悪というより憎悪に近いものに思えたのは気のせいだろうか?
「――で、面を濡らした400番あたりの耐水ペーパーで先に荒らしてから……おい? 話聞いてるか?」
「ええもちろん。それからフェルトを貼るんですのね」
にっこり笑んで、虹子は「ありがとうございます」と礼を口にした。喬はどうだか疑うような目で見たあと、水の入った瓶から中身を皿に移し、耐水ペーパーと一緒に置いて、作業台を離れる。
「分からないところがあったらまた呼べ」
内心はどうあれ、言い残して行くところが喬のやさしさか。――虹子からすれば、つけ入りやすい甘さ、とも言える。
「さてと、さっそく制作に入りましょうか」
シーグラスをじっくりと眺め、その形と大きさを考慮してバランスよく楕円形に形を整えたあと、ボンドで固定する。指で触れて、乾いたのを確認してからその周りに波をイメージしたビーズを細かく縫いつけていった。
材料も図案も決まっていて、単純作業だから、とりたてて集中を必要とする作業ではない。そのとき「中山さん」と喬を呼ぶ声が聞こえて目を上げると、そちらへ向かう背中が見えた。
(どうやらあの人にもほかの皆さまの例に漏れず、面白い傷がありそうですわね)
それがどれほどの大きさと深さをしているかはまだ分からないけれど……。
そこを知ることができたら、面白いものが出てくるかもしれない。
小さく鼻歌を歌いながら虹子は糸留めをしてぷつんと糸を切った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年09月09日
参加申し込みの期限
2016年09月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年09月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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