【スキー＆スノボ合宿】白銀の世界へようこそ！｜リアクション

【スキー＆スノボ合宿】白銀の世界へようこそ！

●初心者コース・スキー組の練習風景

「よし、全員揃ったな。ハの字でゆっくり滑る練習をするぞ」
　お疲れ様です、と森蓮は辿り着いた野々ののこに手を差し伸べる。
「ののこさん、スキーはどんなスポーツだと思いますか」
「滑るスポーツでしょ？」
「では、スキーは何に似てると思いますか」
　スケートに似てる、とキッパリ。
「どうして、そう思ったか理由を教えてもらってもいいですか」
　どっちも滑るから、とキッパリ言うので「たしかにそうですね」と思い、スキーでどんなことを試してみたいか尋ねた。
「試したいこと？　皆と楽しく滑れればそれでいいからないね」
　これまた、ののこらしい答えだった。

　蓮との話が終わるなり、ののこが「一番乗りー！」とハの字で滑り出す。
　最初はゆるゆるだったが、徐々にスピードが出てしまったので勢い余って転倒してしまった。
「野々さん、大丈夫？」
　仙藤紫の手を借り、ののこは立ち上がった。
「ありがとう！」
「派手に転んだわね。私がフォームを見てあげるわ。直して上手に滑れるようになりましょう」
　その後、紫のフォームチェックの成果もあり、ののこは転倒せず滑れるようになった……というがスピードは相変わらずノロノロ。

「ののこちゃんは運動神経良いから、上達も早そうですね。負けないように頑張らなくちゃ」
　合宿で少しでも滑れるようになりたいと意気込む綾辻綾花は、浅井先生に教わったとおりに慎重に、ゆっくりと滑る。
「その調子だよ、綾辻さん。もう少しスピード出しても大丈夫じゃない？」
　と言う鳴鏡院総悟だが、彼もややへっぴり腰気味。滑り終えたのは、綾花とほぼ同時だった。
　滑り終えたところに、蓮が「お疲れ様です」とやって来た。
「総悟さん、スキーは何回目ですか」
「小学校の頃から数えると４回目くらいかな？」
　ずっと初心者コースだったけど、と心の中でボソリ。
「今までの経験から、スキーは何にたとえられますか」
　難しい質問だね、と総悟は困り顔に。とはいえ、答えないわけにはいかないのでじっくり考える。
　少し悩んだが、こう答えた。
「人生、何事も修行……かな？」
「練習熱心な総悟さんは、そう思うのですね。今回は何に挑戦してみたいですか」
「初心者コースでみっちり練習して、中級にランクアップしたいな。カッコ良く滑ってみたいから」
　上級者コースでプロのように滑るスキー客を見て言うので、あのように滑りたいのだと思ったのだろう。
　合宿に参加した上級コースのクラスメイトの話では、スキーやスノボができる男は女にモテるだとか。
　だからといってモテるわけではないのだが、純真な総悟はそう思い込んでいる。

（ののこちゃん、頑張って）
　心の中で応援する恵御納夏朝は、自分も少しだけ滑れるようになったから、皆もきっと………と滑る。
　速く滑るって人もいると思うので、ぶつからない、邪魔にならないように気を付けて。
「あの人、上手……」
　速い生徒、上手に滑る生徒を見ては、尊敬の念を抱く。
「僕も、頑張ろう……」

「旅鴉、できてるじゃないか。真剣にやれば、もっと上達するぞ」
　そう言われてもねー、と複雑な気分な旅鴉月詠は、浅井先生の指示に従い滑っている。
　止まったり、曲がったりと普通に滑るのはできるのでそれでいいじゃないか、と思う。
　場所の選定と他の人との距離感、安全確認をしっかりした上で、動作がゆったりと大きく。
「頭では理解できてるけど、身体がついていかないのだよね」
　絵を描くように、感性で滑っているのだろうか。

　浅井先生の指導で滑れるようになった新田亮は、スキーが楽しくなったのでナイターでも滑ろうと決めた。
　それには練習あるのみと、何度もハの字を繰り返す。

　一通りハの字で真っ直ぐ滑ったり、ターンができるようになった初心者コースは、夕食の時間まで自由に滑ることに。
　浅井先生にもう一度教えてほしいという生徒もいれば、カニ歩きで登って滑ったり、リフトに乗って高いところから滑る生徒も。
　あともう少しで滑り終わる、というところで急に突風が。
「……って、えっ、わー！？」
　夏朝は対応できず、すってんころりんと転んでしまった。
「……いたた。ののこちゃんも転んだんだ」
　少し離れたところでは、ののこが派手に転んでいたが本人はケロっとしている。