【スキー＆スノボ合宿】白銀の世界へようこそ！｜リアクション

【スキー＆スノボ合宿】白銀の世界へようこそ！

●スキーをはじめよう

　スキーの腕前はそこそこ上手というレベル（上級未満中級以上）の仙藤紫だが、スノーボードは未体験。
　ということで初級者コースに参加。
「野々さんも初心者コースなのね」
　高３の三学期は自由登校になったので、水泳部の練習を除けばあまり学校に顔を見せない。
　なので、水泳部で一緒の野々ののことは久しぶりに会う。

　ブーツをちゃんと履いているかは、ゲレンデに行く前に行ったので省略。
　まず行ったのは板の履き方。
　ブーツの裏に雪がくっついていたり、ビンディング（器具の後ろの突起）に雪が詰まっていると上手くはまらないので、雪を落としてから外れないようしっかりと履く。
　それが終わったら準備運動。しないと怪我するだけでなく、スキー操作にも支障をきたすので誰でもしっかりやる必要がある。
　脚はもちろんのこと、股関節、腰、肩、腕、背中、手、指、首をしっかり回したり伸ばしたり。
　正しく履いていないと板が外れ、転倒の際、足を骨折したりすることが。
　浅井先生とインストクターは全員が正しく履いたことを確認し終えると、転倒の仕方を教えることに。
　スキーにしても、スノボにしても怖いとされる要因の一つが転ぶことだが、正しい転倒を覚えていればまず怪我の心配はない。
　滑れないという人は転んだら自力で立ち上がれないので、最初に立ち上がる練習をしなければならない。
「転ぶ時は、スキー板に対して横に倒れこむんだ。横に転ぶことで、板が横を向き側面にあるエッジが利いて、それ以上滑らない状態になるからな」
　怪我をしては大変、と生徒達は真剣に浅井先生の話を聞く。
「ポイントは、さっきも言ったが転ぶ時には必ず横向きになること。先生がお手本を見せるからな」
　そう言うと、浅井先生は上半身をべったり雪面につけるようにゆっくり横向きに倒れる。
　その後、一番上になってる足と板を持ち上げて宙に浮かし、スキー板のつま先の向きを揃え、足が斜面の一番低いほうになるよう回転してから膝を曲げてから上半身を起こして立ち上がった。
「実際にやってみよう」
　浅井先生と小・中学生対象のスキー＆スノボ教室で指導補助員として参加した経験を活かした森蓮は、苦戦している生徒達に倒れ方、起き上がり方を丁寧に教える。
　何度も転んだり、斜面を身体で滑ったりはもう散々。
　今年こそ上手くなる！　と北里雅樹は真面目に話を聞き、その通りに何度も転んでは起きての反復練習。
「妙に頑張っているわね」
　スノボは上級者レベルだが、スキーの腕前はそこそこの椎井莉鳥は基礎的なところから始めるべく初級者コースへ。
　腐れ縁の元彼である雅樹はというと……テキトーなことを言いつつ、きちんと講習を受けている。
　やる時はやるのね、と少し感心しつつ、自身も練習を。

　スノボはスキーと違い、前（腹部）と後ろ（背面）で転ぶので、インストラクターがお手本を。
　生徒に転ぶことをさせる前に、絶対に手をつかない、膝をつかないように注意する。
「スノボで一番多い怪我は、転んだ時に手をついてしまうのが原因の手首の捻挫と骨折です。膝は滑っている最中に転ぶと痛いので、つかないようにしてくださいね」
「……む……成程」
　武術の稽古で受身に慣れているだろう伊織源一は、背中を雪面につけるように転んでコツを掴む。
　納得いくまで前後の転び方の練習をしたので、上達は誰よりも早かった。
「怪我したら大変だものね。しっかり、練習しておかないと」
　中国拳法の心得がある尾鎌蛇那伊も、コツを掴むのが早かった。

　スキー組は、板を履いたままカニ歩きで斜面側に体を傾け、一歩ずつ坂を登っていく。
　その後にハの字で斜面を下りる練習をするので、少し高い位置にいる浅井先生がいる場所まで一歩ずつ登っていく。
　全員登り終えたか、と思われたが、串田美弥子とののこがまだ到達していない。
　いつ転ぶかわからない恐怖があるのか、誰よりも慎重に、ゆっくりと登っているのが理由だった。

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