【スキー＆スノボ合宿】白銀の世界へようこそ！｜リアクション

【スキー＆スノボ合宿】白銀の世界へようこそ！

●炎を囲んで

「夕方、吹雪いていたから探偵がロッジにでもいるのかと思ったよ。いなかったけど、事件が起きるなんてね」
　八神修達があやうく悪天候の中、一夜を過ごすことになったことを絵を描きながら聞いた旅鴉月詠。
「旅鴉は、吹雪いている間は何をしていたんだ？」
　修の質問に、初級～中級コースをスイーとゆったり滑っていたよ。講習の間だけと答えた。
「ゆったり滑ることで、他人の動きがよく見えるのもあるから絵を描くのに使えると思ったね」
　午後からは、天候が崩れることを予測していたので早めにロッジに戻りロビーの一角で絵を描いていた。
「無事帰れて良かったよー」
「ホント。下手すりゃ一晩、寒いところで過ごすところだったぜ」
　戻ってくるまでのことを振り返る白真白と龍目豪。
「修ちゃん達がいてくれて助かったのだ」
　後木真央は、がおーを抱っこしながらホッとする。
「月ちゃん、準備がいいから助かったよ。ありがとう」
「……念のため準備していただけです」
　椿美咲紀は、常闇月の準備の良さに感謝した。
「何はともあれ、皆、無事で良かった」
　就寝時間まで絵を描いていたかったが、友人達と楽しく過ごす時間も悪くないと月詠はキャンプファイヤーに参加することに。

　２日目最大のイベントは、ロッジ前広場でのキャンプファイヤー。
　大きな炎を囲み、生徒達は合宿での出来事を振り返ったり、歌ったり、踊ったり。
「椎井、ちょっと」
　キャンプファイヤーの途中、北里雅樹がこっちこっち、と手招きするので「何よ」と訝しむ椎井莉鳥。
　２人は先生や他の生徒に気付かれないよう抜け出し、人気のないところへ移動。
　適当に歩いて冬の星座や月夜が一面に見渡せるところへ来たら、誰ともなしに座る。
　そこで２人は何をするでもなく、並んで座って星空を眺めている。
「俺達、去年の合宿も、こうやって二人で抜け出して夜空を眺めてたよなあ」
　これといったことを話すでもなく、キスするとかでもない。
　でも、こうしているのが一番いいんだと雅樹はそれ以上何も話さず。
　しばらく夜空を無言で見ていたが
「トイレに行きたいのか？　我慢するのは良くないぞ」
　雅樹がその後、更にアホなことを言うので折角のロマンティックな雰囲気が台無しに。
「無粋な奴……」
「俺？」
「あなたしかいないじゃない。私とふたりっきりなんだから」
　馬鹿なことをしたり言ったりしていても、こいつといると肩がこらなくていい。
　そう思いながら、莉鳥は夜空を見上げた。

　夏神零とナスティ・クローヴァは、寄り添いながら炎を見つめている。
「合宿、明日で終わりでござるな。ナスティ殿と滑れて良かったでござる」
「私も、零さんと一緒に参加できて良かったですわ」
　ゲレンデで熊に遭遇したり、混浴したりと、２人にとって良い思い出になっただろう。

『キャンプファイヤー：皆で楽しく！』
　
　記事の見出しはこれかな？　と考えながら、椿美咲紀は八神修、常闇月と取材したことを振り返る。
　悪天候で遭難しかけた出来事は、美咲紀達と一緒にいた後木真央と別の場所で天候回復を待っていた龍目豪、白真白の体験談を記事にすることに。
「遭難しちゃったかな？　って思った時は生きた心地しなかったよ」
「探険に関する基礎知識が役に立つとは思わなかったぜ」
　無事に戻れてキャンプファイヤーに参加できてホッとした、と話を締めくくる真白と豪。
「ホワイトアウトな体験はもういいのだ」
　天候が崩れそうな時は早めに切り上げるのだ、と真央は身震いする。
「皆、楽しそうだ」
　炎を灯り代わりにし、月詠はキャンプファイヤーの様子をスケッチ。
「夜空と相まって、綺麗で楽しい……」
　その風景を、スマホで撮影。その後、友達と一緒に写真も撮ってもらった。

　浅井先生、高野先生、吉田先生は、合宿での様子を話していた。
「皆、合宿を良く頑張っていたな」
「まだまだ、というのもいるが。まぁ、いいだろう」
「ナイターをしていた生徒に熊だ！　と思われていないだろうな……」
　それ、間違ってないかもと、同時に思った浅井先生と高野先生だった。

このページにイラストを設定する