【星幽塔】第一階層　ＱＵＥＳＴ！下水道のスライム退治｜リアクション

【星幽塔】第一階層　ＱＵＥＳＴ！下水道のスライム退治

【スライム】

　後方でネズミを食い止めてくれている仲間達と別れた残りの一行は先へ進む。何匹かのはぐれスライムを倒しながら緩やかなカーブを曲がると、その光景にぶち当たった。
　プヨプヨ。ブニョブニョ。
　色とりどりのスライムが通路を埋め尽くすようにゆっくりと動いており、死骸と思われるゼリー状の物体が水路にプカプカ浮いていた。

「これは、詰まるな……」
　寝子高の制服姿の優木遥斗が低く呟きながら軽く眉をひそめた。油断なく愛用の竹刀を構える彼は、ろっこん＜風の籠手＞を持っている。竹刀を振り下ろす事によって風を起こすこのろっこんで、彼はスライムに立ち向かうつもりだった。

「うわあ、スライムがいっぱい！　よーし、どーんとかかってこい！」
　異世界での本格的な戦闘を前に結城日和が目を輝かせる。吟遊詩人風の衣裳が、持っているバイオリンとともに彼女によく似合っている。その胸元に飾られた大きな緑色の石で出来たペンダントに＜魔風の光＞が宿っていた。

「スライムってなんか色々やらしいな……」
　気怠く呟くのは千歳飴楓子だ。彼女は臍が出ている大胆な衣裳に、裾の長い布を腰に巻いている。そこから覗くニーハイソックスが何ともセクシーだ。しかし本人は特に何も思ってないのか＜魔風の光＞が宿る２対の指輪を細い両中指に嵌めながら、でろでろと動くスライムを見つめていた。

「こういう時に１番肝心なのは、勢いだぜ、勢い！　もう片っ端から吹っとばしちゃおうぜ！」
　そう言って＜魔風の光＞を宿した手袋を着け、腕をぐるんぐるん回すのは山田勘三郎。しかし彼はふとその腕を止めた。
「でも色々属性付いてるってのは面倒だな」

　その言葉に骨削瓢がひひと笑う。
「そう、それだよぃ。回復はあっしと弘明寺はん」
　瓢は＜癒しの光＞が宿った右目をきらりと光らせ弘明寺能美子を見る。能美子はちょっと緊張しながら頷き、瓢は言葉を続けた。
「スライムには属性攻撃だからと魔法系の面々が集まったのはいいが、火炎系は御巫はんだけ。後はみんな風の力ってのはちいと心許ないねぇ」

　それは全員が思っていた事だった。一行に暗い雰囲気が漂う。その空気を打ち払うように御巫時子が言った。
「それでも、やれるだけやりましょう。何か道が拓けるかもしれませんし」
　時子は＜魔火の光＞が宿る扇子をぐっと握り締める。そこに明るい声がした。

「まーしょうがねえよ！　俺は物理攻撃だけど、ちょっと考えもあるし、何とかなると思うぜ！」
　そう言ったのは卯木衛だ。彼はゆったりした紺のハーレムパンツに体にピタリとした黒っぽいアメリカン・アームホールのトップス、そして鮮やかな朱色のマントを羽織っている。キラリと彼の髪に着けられた＜盗賊の光＞が宿ったヘアピンが光った。

「考えって何なんだ、衛氏？」
　へえという顔で楓子が訊く。衛は茶目っ気たっぷりにウインクした。

「やってみないとわかんねーけどな。まずは行動！　スライムの数を減らそうぜ！」