【星幽塔】第一階層　ＱＵＥＳＴ！下水道のスライム退治｜リアクション

【星幽塔】第一階層　ＱＵＥＳＴ！下水道のスライム退治

●クエストを終えて
【下水道】

　骨削瓢の姿が、戦闘が終わり誰もいなくなった下水道にあった。
　瓢には考えがあったのだ。

（スライムは集団で動いていた。もし生きているスライムがまだ残ってるなら……試す価値があるよい）
　瓢はあの合体スライムの大きな残骸を引きずっていた。向かう先は。
「確かここいら辺だったはずだねえ」
　瓢が周囲を見回す。そこは一行が初めてモンスターに遭遇した場所だった。
（御巫時子が攻撃したとき……確か火炎をコントロールしていた）
　瓢はでろりと集まっているスライムの固まりを足で蹴る。するともぞりと１つが持ち上がり、弱々しく溶解液を噴射してきた。
「おっと、やっぱりだよい！」
　さっと避けながら瓢が嬉しそうに笑う。そして何と自身の＜癒しの光＞でそのスライムを治癒してしまったではないか。
　気が触れたかと思われる瓢の行動で、スライムが完全に形を取り戻した。だがスライムは恩を仇で返すように、溶解液をぶしゃぶしゃ発射しながら瓢に襲いかかった。
　しかし瓢は慌てなかった。彼は素早く持っていた合体スライムの残骸を被り、自身をすっぽり覆ったのだ。
　突然に大きなスライムが出現した。瓢を狙っていたスライムが驚いたように動きを止める。そしてしばらくスライムは戸惑っていたが、やがて擦り寄るように瓢の方に近付いてきたではないか。
（―――ビンゴ！）
　瓢は内心で快哉を叫んだ。そう、彼はスライムが集団で行動していた習性を利用し、自身がスライムに化ける事で、スライムを連れて帰ろうというのだ。
（このスライムを運び人に渡す時には、あっしの被っているので包んじまえばいいよい）
　スライムが後ろからついてくる事を確認しながら、瓢は独りほくそ笑む。

　大きいスライムと小さいスライムが、仲良く下水道の奥深くへと消えて行った。