【星幽塔】第一階層　ＱＵＥＳＴ！下水道のスライム退治｜リアクション

【星幽塔】第一階層　ＱＵＥＳＴ！下水道のスライム退治

　スライムとの戦いはちょっと困った事になっていた。

「わりぃ、みんな！」
　巨大になってしまった合体スライムから出る大量の溶解液を素早く避けながら衛が叫んだ。勘三郎が風を起こしながら大声で答える。
「大丈夫か？！　助けに行きたいんだが、こっちもスライムの数が減らない上に、数体合体し始めた！」
　見れば色の混ざった大きいスライムがあちこちで出来始めている。大きいスライムは溶解液の射出距離も勢いも半端ない事は、衛が身をもって今体験していた。
（これ以上合体されても困る！　特に種類が違うとやっかいだ！）
　衛は初めにスライムを観察していて気付いた事があった。これで少しでも仲間が楽になればと衛は自分の考えを伝えた。
「多分スライムの色が奴らの属性だ！　緑のスライムには風は効かない。だから、それ以外の色を狙えばいいと思う！」
　確かに見れば赤と緑のスライムが多く残り始めている。遥斗が頷いた。
「わかった！」
「私は皆さんの属性の緑を狙います！」
　唯一の＜魔火の光＞を持つ時子がグッと顎を引き締める。楓子と日和もしっかりと狙いを定め、それぞれの属性以外のスライムに攻撃を始めた。

　衛の読みは当たった。皆は確実にスライムを倒していく。そして残ったのは。
「うー！　赤と緑が合体しちゃったー！」
　日和が無駄だと分かりながらもバイオリンを巧みに弾き風の魔法を巻き起こす。今まではスライムが簡単に吹き飛んでいたのに、目の前の合体スライム達はゼリー状の体をぶるるんと揺らすだけだ。

　そこに呑気そうな声がした。
「援軍を連れてきたよい～」
　緊張感なく言う瓢と対照的にネズミ退治の仲間達が勢いよく駆け寄ってくる。
「遅くなった！」
「みんな無事……？！」
　修や夏朝らに声をかけられ、スライムに相対していた一行はほっと安堵の色を浮かべる。そこにすかさず合体スライムが溶解液を発射した。
「危ない！」
「このくそスライム！」
　遥斗と勘三郎がそれぞれ風を起こし溶解液を吹き飛ばす。しかし大量の溶解液は飛び散って時子と冬華にかかってしまった。
「キャッ！」
「あら」
　溶解液は彼女達の服をところどころ溶かし、その……胸の部分がなかなか色っぽいことになってしまった。時子は扇子で思わず胸を隠しながら真っ赤になってしまい、冬華も腕で隠そうとしたがその豊満な胸はどうやったって隠しきれるものではない。
「これは何ともラッ……いやいや大変なことになっちまったな。どれ、俺がちょいと治療を」
　亨がひょいひょいと２人に近付く。そこにずいと月が立った。
「治療なら私がする」
　そしてテキパキと＜癒しの光＞で２人の傷を癒し、だいぶ溶けてしまった冬華のマントを上手に破って、彼女達の胸を手早く隠してしまった。
　手持ちぶさたに立ち尽くす亨。その肩をくつくつと笑いながら瓢がポンと叩く。

　―――集合したクエスト参加者に、巨大スライムが立ちはだかった。