鬼は外、福は内、寝子島の節分祭｜リアクション

鬼は外、福は内、寝子島の節分祭

　別の場所で貸衣装を借りている面々もいた。

　その一人、恵御納夏朝は、「貸衣装」と幟のたっている屋台にて思ってもいない人物に再会している。
「えっと……『回向亭』のマスター、さん？」
「お、あんときのお嬢さんじゃないか。元気？」

　なんでもないことのように紛れ込んできている不思議の住人の姿に目を丸くする少女。
「衣装を借りに来たのかい？」
　サンドイッチ等も売っているらしいが、横合いから訪ねてきた様子で夏朝の目的を悟ったようだった。

「この祭で厄を祓う役目は豆撒き役さん達のはずだから今回は厄をやり過ごす習慣に乗ってみようかと思って……」
「そりゃいい、楽しまないとね。せっかくの祭りなんだから――何か希望はあるかい？」
「節分おばけの噂を聞いて、仮装してみたいなって思ったので……なんだかそれっぽい仮装がいいかなって」
　ふむ、と夏朝の背格好を一瞥した坊主頭の青年が、衣装ボックスから一組の和装を取り出した。

「こんなのはいかがかな？　お嬢さん」
　提示されたのは――

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