鬼は外、福は内、寝子島の節分祭｜リアクション

鬼は外、福は内、寝子島の節分祭

「ふぅ、キレイになりました」
　神社住み込みの巫女、御鏡聖。
　日課の境内の掃除をすませ一息ついた少女は、周囲を見渡した。

　日がのぼり大分たつ。身を刺す寒さが緩々としてきたころ。祭りの当日らしく、神社の周辺には屋台の資材がそこかしこに置かれ、幟がいくつもはためいている。

「狛猫さんたちも、大変でしょうから祭りが終わった後もおそうじしなければなりませんね」
　聖はそういうと、予め準備していた、段ボール製の簡易式ゴミ箱の設置にとりかかる。一つ、二つと屋台の近くや、人が立ち止まらない、しかし通行量のありそうな場所へおいていく。

「あとは――お汁粉の材料はちゃんとありましたね。温かい甘酒を用意して……」
　お祭りの後の振る舞い材料は、昨日のうちで買いそろえている。臨時のお手伝いの人達が来るまでに、ある程度の仕込みは終えておけるようにしたいところだ。

　足りなくなった時にはお願いしたいと、商店街の人にも伝えておこう。
　自らが取るべき本日の行動を一つ一つ数え、うん、と聖は肯いた。

「さぁ、お祭りの日です」
　毎年恒例、寝子島神社の節分祭の時期がやってきた。

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