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花の妖精のお手伝い ~枯れ木に花を咲かせましょう~
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【君は咲ける】
その妖精は河津桜から生まれた。
といっても本人に自覚はない。
気がついたら木のそばに立っていて、なんとなくだけれど楽しいことをしなくてはならない、と本能が訴えかけていた。
だから、この状況は願ったり叶ったりなのだろう、と納得する。
「これは驚いた! お嬢さん、peri(妖精)かい? はっは、日本は不思議な国だなあ!」
「確かね。でも、その姿では寒そう。これをどうぞ」
赤毛の長髪を後ろで縛った優しげな男が、ハンカチを首にまきピンで止めてくれた。
その巻き方、止め方にセンスが感じられる。
妖精はこの即席マフラーと男の行為を素直に嬉しいと感じた。
「俺ぁ、そこのワゴンでドネルケバブ売ってんだ。どうだい、あんたも。俺のドネルケバブはうまいぜ! どうやらこのお嬢さんは俺たち以外には見えないようだし、これも何かの縁だ。おごってやらぁ」
「おごるだなんて、そんな。ちゃんと払うよ」
「はっは! 遠慮するなって。次からはしっかりいただくからよ。お嬢さんにおごろうっていうのに、あんただけ除け者にできるわけねぇだろ?」
ちょっと無精髭を生やしながらも、人好きのする豪快な笑顔で赤毛の男と肩を組み、ワゴンへと連れて行く褐色の男。
妖精はこの男の笑顔がきれいだと思った。
「ありがとう。じゃ、今回だけ」
「いいってことよ。ほら、お嬢さんには特注のケバブだ。ゆっくり食いな!」
「ソースはどれがいいの?」
小さなケバブを作って妖精に渡す豪快な男と、指差したソースを器用にかけてくれた優しい男。
河津桜の妖精は、はにかみながらケバブを口にした。
これが妖精と、二人の粋な男。
ニコ・ライニオ
と
バルシュ・コルテュルク
の一日の始まり。
ニコは今日は1人だった。
いつもなら妻か娘、少なくともどちらかと一緒なのだが、たまたま二人ともに用事があったのだ。
しかし実に天気がいい散歩日和で、家にいるのはもったいない。
ついでに、最近では日本の早咲桜が島でも咲き始めたという。
今度、家族で行くときに、エスコートしなくては。妻に、娘に、より喜んでほしい。
そんな願いから、花見スポットを確かめておこうと思い、家をでたのだった。
バルシュはいつもどおり、ワゴンで営業に出た。
今回許可をとってある場所は、仲間に勧められた公園側。
徐々に開花し始めた河津桜が多く植えてあるスポットで、桜を見に人が集まるという。
たくさん売るぜ、と気合いを入れてやってきた。
二人ともタイプはまったく違うが、共通点がある。
表現の仕方は異なれど、とても優しいということ。
だからやってきた公園で、一本の桜の木に目がいったのだろう。
今にも枯れそうなほど元気のない河津桜に。
この桜の木より生まれた妖精にとって、この二人との出会いは必然だったのだ。
「お仕事はいいのかい?」
「はっは、細かいこというなよ。今日は不思議な出会いの日だからな。それにちょうど休憩だ」
ニコと妖精が座っているベンチに、どかっと腰掛けて手に持っていたチャイを二人に渡す。もちろん妖精用は小さなカップ。
「ちょっと甘いが温まるぜ」
「ありがとう」
ニコは優しげな笑みを浮かべて受け取った。
いつもだったらもう少し遠慮したかもしれない。
実は、先程バルシュの無自覚ろっこん『片手では音が出ない』が発動していたのだ。
もともとコミュニケーション能力が高いニコのこと。バルシュのろっこんが後押しすれば、その親しみやすい性格のほうが上に来る。
もしかすると、バルシュが日本人ではないということも大きかったかもしれない。
ニコは人種で偏見を持ったりしないが、日本で日本人以外が生活するのはなかなかストレスがかかる。だから、日本人以外の文化を持つ人に対して親しみを覚えてもおかしくはなかった。
バルシュはニコとの間に座り、ケバブをちまちまと食べる妖精を眺め、嬉しそうに笑った。
「しっかし、美しいお嬢さんだな。periといっても惚れちまいそうだぜ」
「確かに可愛いよね」
「だろう? やっぱ、話がわかるねぇ。日本の男たちはなんていうか。そう、シャイっていうのか。女性への言葉が足りねぇ」
バルシュにしてみると、美しい女性に美しい言葉を贈るのは恥ずかしいどころか当然であり、日本人の友人が言葉少ないことが信じられない。
美しいものと美しいと言ってなにが悪い! と断固主張したいところなのだ。
だから妖精に対しても遠慮しない。するはずがない。
妖精は確かにとても美しいのだから。
「それにしても、なんて綺麗な髪と瞳だよ。瑞々しい髪は空に伸びる枝のよう。瞳は青空を宝石に閉じ込めたみたいじゃないか」
妖精に向けて、情熱を込めて力説する。
「ドレスも良く似合ってるなぁ。肌が白くてつやつやしてるから、緑色も映えるしピンクの頬がまたかわいらしいぜ。ああ、サクラの妖精だからなのか、花びらの帽子と同じ色だ」
ニコは笑みを浮かべて、バルシュのロマンチックな言葉に頷く。
これが最愛の妻相手なら、バルシュも裸足で逃げ出すほど詩的で情熱あふれる言葉を口にするのかもしれないが、ニコは妻以外には決して口説き文句を使わない。仮に女性をエスコートする機会があっても、だ。
彼が心を込めてロマンティックな言葉を捧げるのは世界に1人だけなのだろう。
妖精は目を白黒させながら、真っ赤になる。
西洋風の姿をしているが、河津桜の妖精だから性格は和風なのかもしれない。
だとしたら、こんな褒め殺しにあっては悶えるしかないのも頷ける。
「……お嬢さんにどんな事情があるか知らねぇがな。俺は心をこめて、偽りなく言うぜ。お嬢さんは美しい」
少し雰囲気が違う声色でバルシュが静かに告げた。
その視線は、枯れかけたように見える一本の河津桜を見つめている。
男臭いけれど魅力的な笑みを浮かべて、バルシュは力強く言い放った。
「自信を持ちな、お嬢さん。あんたは咲ける。ここらへんのどのサクラよりも美しく気高く、華やかに咲ける。俺が保証する」
妖精は驚いたようにバルシュを見つめ返した。
あの河津桜が咲けないのは、自信の有無のせいではない。それはバルシュの勘違いだろう。
しかし、それでも、確かに。
バルシュの言葉には、熱い気持ちが込められていた。
妖精の心を幸せで満たす力があった。
「おっと、いけねぇ。もう時間か。仕事だ」
バルシュは立ち上がると、ニコと妖精に笑いかけた。
「あとは頼んだぜ、あんた。こんなきれいなお嬢さんが落ち込んでるなんて我慢ならねぇ。きっちり魅力を教えてやってくれ」
「ああ、まかせて」
大声で笑いながらニコの肩を叩いたバルシュは、ワゴンの方へと歩き出した。
さて、とニコは微笑んで、妖精を見る。
「どこか行きたい所があるのかな? 今日はいい天気だしね。君の望むところへエスコートしちゃうよ」
妖精は一度恥ずかしそうにうつむくと、そろそろと行きたい場所を指差した。
少し遠くにある、大きな観覧車。
「いいね。今日は遠くまで見えそうだ。では、肩へどうぞ」
手を差し伸べて、妖精を肩に乗せる。
ニコはひだまりの中をゆっくり歩いて行った。
シーサイドアウトレットの人混みをさけて、海浜公園の方から回り込む。
暖かな陽の輝きと海面に反射するきらめきが目に眩しい。
時間帯のせいなのか、観覧車は空いていてすぐに乗れた。
ニコは窓に張りつくようにして風景を眺める妖精に、ひとつひとつ丁寧に説明していく。
「あそこが、さっき君と出会ったところ」
小さな公園がまだ咲き始めたばかりの桜の木に囲まれている。
まだ満開には程遠いから、観覧車から見るとまだまだ枝だけのようにみえた。
「彼が言っていた通りだよ」
ニコは、優しく言葉を紡いだ。
「妖精ちゃんは咲ける。他の木に負けないくらい、キレイに咲ける。僕たちが保証する」
それはバルシュの言葉とは違うけれど、にじみ出るような優しさと思いやりを感じさせた。
「だって、君は世界で2番。いや3番目に美しい女性なんだから」
ニコは微笑んで言った。
「そう。僕の奥さんと娘の次に、ね」
その言葉を聞いた妖精は本当に楽しそうに、嬉しそうに笑った。
いつの間にか消えていた妖精を思い浮かべ、ニコは1つ決めていた。
花見にはあの公園を。そしてあの木を見に行こうと。
絶対にあの木はどの木よりもきれいに咲くだろうから。
その予想は見事に的中したのだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿都
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
動物・自然
神話・伝説
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年08月05日
参加申し込みの期限
2016年08月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年08月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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