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花の妖精のお手伝い ~枯れ木に花を咲かせましょう~
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【卒業までに】
その日、大学進学がすでに決まっていた
仙藤 紫
は、休日をゆっくり過ごそうと古書喫茶『思ひ出』にきていた。
ろっこんに関連するからというわけではないけれど、『思ひ出』の雰囲気は好きだった。
ゆったりとした静かな時間を満喫する。
ちょっとした不思議が起こったのは、その帰り道だった。
「……あえて呼ぶとしたら、やはり妖精なんでしょうね」
路上の片隅に根を下ろしている枯れたような木のそばに、小さな人影があった。
代表的な女の子用の人形を彷彿とさせる大きさに、濃い緑のワンピースを身にまとった姿は、心なしかしょんぼりとしているようにみえる。
不思議がはびこる寝子島ではあったが、ファンタジーな存在がこうも身近に現れると、やはり驚かざるをえない。
気がついてしまった以上どうしたものかしら、と迷った仙藤は、驚かせないように近寄ってみた。
妖精は気がついて顔を上げる。
その表情にはかすかに影がさしていたが、仙藤が明らかに自分を認識していることが分かったらしく、頬を赤らめて興奮しているようだった。
「私は
仙藤 紫
。言葉は分かるかしら?」
とりあえず名のると、妖精はしっかりと頷き返した。しかし、しゃべることはできないようで、何かの音を出してはいるものの意味がまったく分からない。
それにしても寒そうな姿をしている。妖精自身は凍えたような素振りを見せないが、それ以前に生命力というものが薄く感じた。
「あなた、ここから動ける?」
大切なことを確認してみる。
もし動かせないようなら、なにか温かい飲み物でも持ってこようと思ったのだが、妖精はむしろ嬉しそうに動ける旨を身振り手振りで示してきた。
「そう。なら、ここに入って」
手を差し出して、コートの胸ポケットに導く。
妖精はポケットに収まると、まるで羽毛の布団に包まれた子どものようにコートの感触を楽しんでいるようだ。
「気に入ってくれてなによりだわ」
さて、と仙藤は考える。
元気がない時は甘くて温かいものが一番よね。
まずはカフェオレでもご馳走しましょうか。
近くの自動販売機でペットボトルのカフェオレを購入し、公園のベンチに腰を下ろす。
たくさん陽がさして風がこない場所を選んだせいか、2月と思えないほど暖かい。
一度胸ポケットから下ろして、ペットボトルのふたにカフェオレを注ぎ手渡すと、妖精は恐る恐るといった感じで口をつけた。
その瞬間、電気でも走ったかのように硬直し、瞬きを繰り返す。
口に合わなかったのかしらと心配した仙藤だったが、むしろピンポイントに好みを撃ち抜いたらしい。品良くも無我夢中の様子で飲み続けている。
「美味しい?」
「!」
あまりに夢中だったことが恥ずかしかったのか。声をかけられた妖精は顔を真赤にしたが、それでも力いっぱい頷いた。
それはもう、微笑ましい、の一言に尽きる。
「おかわりはいかが?」
「!!」
空になったペットボトルキャップと仙藤を交互に見た妖精は、おずおずとキャップを差し出した。
その手のものが好きな人が見たら「何このカワイイ生き物!」と叫びそうな仕草だが、仙藤は特に表情を変えずにカフェオレを注ぐ。
内心はわからないが、けっして己を崩さなかった。
心も身体も温まったところで、散歩の前に近所のドール洋服専門店に向かう。
妖精は特に困っているわけではなさそうだし、カフェオレを飲んだせいなのか血色が良くなってきたようにみえるが、やはりワンピースドレスだけでは寒々しい。
店内に入ると、胸元から声なき驚きの声が聞こえた気がした。
「ゆっくりまわっていくから、気に入った服があったら教えて」
妖精は焦ったように顔と手を振っていたが、仙藤が構わず店内を歩いていくと遠慮は無用というメッセージが伝わったらしい。嬉しそうに洋服を覗き込む。
どうやら妖精も可愛い服は好むようだ。
ぐるっと回って妖精が選んだのは、温かそうな桜色の外套だった。
「これはサービス」
若葉色のマフラーも一緒に買う。
店を出てから外套をまといマフラーを巻く。
くるくると回転してお披露目する妖精に、仙藤は微かに笑って讃えた。
「まるで桜の妖精ね」
妖精は当然とばかり胸を張る。その様子がやはり愛らしくて、仙藤はまた小さく微笑んだ。
桜色の外套を羽織った妖精とそのまま散歩を続ける。
妖精が夢見るような眼差しで指し示す場所には、常に春の兆しがあった。
それはたとえば暖かな木漏れ日であったり、膨らんだ蕾だったり。
小鳥のさえずり、気の早い蝶の舞い、地を這うトカゲ。
中にはちょっと遠慮したいものもあったが、どれもこれも春の訪れを感じさせる。
仙藤はそれを見るたびに、かすかな寂しさも覚えた。
もうすぐ高校生活が終わる。
確かに大学でも寝子島だ。自宅から通うのだから生活だってそれほど変わるわけではないだろう。
だけど、寝子高三年生である
仙藤 紫
はもうすぐ終わるのだ。
「大丈夫。ごめんなさい。あなたのせいでもなんでもないのよ」
その一抹の寂しさと不安を感じ取ったのか。ポケットから身を乗り出した妖精が、仙藤の肩をさすっていた。やはり小さな寂しさをたたえた表情で。
冷たくもどこか暖かい、清々しい空気を胸いっぱいに吸い込んで深呼吸する。
きっと誰もが感じるのだろう、卒業への寂しさ。
でも、それは前に進んでいる証の1つでもあるのだから。
今は、春の暖かさだけを感じておこう。
「次はどこに行くの?」
安心したように笑った妖精が力強く道を指し示す。
それはそろそろ咲き始めた河津桜が多く植えてある公園だった。
ベンチに座り、二分咲き、三分咲きの桜の花を眺めていると、胸ポケットから妖精が飛び降りた。
ゆっくり振り向き、優雅にお辞儀する。
仙藤は唐突に悟った。
そう。もうお別れなのね。
妖精は満面の笑顔で手を振ると桜の木に向かって歩き出す。
その後ろ姿がなぜか心に残ったのは、これから高校を去ろうとしている自分自身を投影しているからだろうか。
仙藤は言葉なく、妖精が消えていくのを見送った。
帰り道。
妖精と出会った場所を通った仙藤は、納得したように微笑んだ。
「なるほど。本当に桜の妖精だったのね」
枯れたように見えた木に桜の花が咲き誇っていた。
他の木に比べて鮮やかに。しかもより多く。
「……また来年、会いましょうね」
河津桜の幹に手を置いて、仙藤はさきほど言えなかった言葉を口にした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿都
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
動物・自然
神話・伝説
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年08月05日
参加申し込みの期限
2016年08月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年08月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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