炎と再生のサンクチュアリ｜リアクション

炎と再生のサンクチュアリ

● バードサンクチュアリ／太陽の神殿・３

　刀と海と瓢、それから連理の鳥は、太陽の神殿の中へ歩みを進める。
　さほど広くない神殿の中は、薄暗く、静寂に包まれていた。
　まっすぐに進んだ一番奥に祭壇があり、子どもの背丈ほどの大きさの隼の像が鎮座している。
　怯えも畏れもなくその金色の眼球に手を伸ばしたのは瓢。
　その瓢を制するように刀を抜いて切先を向けたのは――。

「おっと？　どういうことかね御剣はん」
「狼頭は倒したしここからはお互いの目的の為に動こうじゃないか。と言うことで目は俺たちがもらう」
　刀が瓢を牽制した隙をつき、海が『ホルスの左眼』をその手の中に収めている。
　瓢はぴくりと眉を上げた。
　海は瓢の視線を受け止めつつ、（絶対渡さない）と左眼を強く抱きしめ後ずさりする。
「このあっしが出し抜かれるとはね」
　瓢は剣を鞘に収めた。それから素早く、ホルス像から『右眼』を取る。
「目的半分だが、こっちだけでもいただくよ！　あばよ～御剣はん！」
　瓢はそう捨て台詞を吐くと、ばっと翼を広げ、ひとり勝手に飛び去った。

「ったく。骨削は相変わらずだな……」
　苦笑しながら瓢の背中を見送ったのち、刀は海と連理の鳥を促す。
「俺たちも戻ろう」
　海は頷く。が、安堵とともに腰が抜けて、へなへなとその場にしゃがみ込んでしまった。
（ごめん……立てないよ）
　上目遣いの海の隣に、刀もどさりと腰を下ろす。
「俺も。海を抱いて戻れたら良かったんだけどさ、……やばい。疲れすぎた。ちょっと休もう」
　それは、半分は真実だが、半分は海に休息が必要だと見て取った刀の優しさだった。
　ともかく左眼は確保できた。まだ、時間はある。