【星幽塔】第一階層　シャウラの泉へ｜リアクション

【星幽塔】第一階層　シャウラの泉へ

【epilogue of epilogue〔２〕】

　都府楼暦は、マイゴラ・バードと一緒に迷走に迷走を続けた挙句の果てに、運良く泉に辿り着いてしまっていた。
　そして、

「……見つめ合うイケメン二人。これは愛が生まれる瞬間というやつでしょうか？」

　暦は、八神修とジルベルト（元ジジイ）がごく普通に会話している姿を脳内でＢＬに変換して、お楽しみの最中だった。
　それから、暦は中に着込んでいたスク水姿になって、泳いだり、水で遊んだりしながら、水生生物のスケッチなどにいそしんだ。
　彼女はうっかり泉の深みにハマらないようにしつつ、泉でのひと時を楽しんだ。もっとも、もっと別の沼（ＢＬ沼とか）には、すでにどっぷりと浸かりきっていることに、本人はまだ気づいていないようなのであった。

　　　＊　＊　＊

　大天使天吏は鳥達と戯れているうちに、気がつけば泉に辿り着いていた。
「泉に辿り着いたはいいけれど、マッピングのことは完全に忘れ去っていたわね……」
　天吏は自分らしからぬ失敗だとは思ったが、反省はすれども後悔はまったくしていなかった。
　むしろ、鳥さん達との会話が楽し過ぎて目的を見失っていたわけだから、かえって自分らしい失敗というべきかもしれないと思う。
「ありがとう、鳥さん達。貴方達のおかげで素敵な場所に辿りつけたわ」
　それからも天吏は水遊びはそこそこに鳥達との会話をメインにして、泉でのひとときを過ごすのだった。

　　　＊　＊　＊

　御巫時子も、鳥達との会話力を駆使して、一人で泉まで辿り着いていた。
「綺麗な泉ですね。ありがとう。シャウラ・バードさん。よかったら一緒に泉の上を飛んでまわりませんか？　マイゴラ・バードさんも一緒にどうですか？」
　時子はろっこん《鳥の囀り》の進化能力で鳥に変身し、鳥達と一緒に空を飛んでまわった。
『あ、あそこに領主のフランチェスカと右腕のジルベルトがいるね』
『知ってるかい？　あのジルベルト、今は泉の力で若返ってるけど、ホントは七十歳越えのジジイなんだよ』
『まあ、本当ですか？』
　時子にとって、鳥達ととりとめのない話をして過ごす時間が何よりも幸福な時間だった。
　そうして、時子は泉で穏やかな時間を過ごしていくのだった。
　

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