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● Il Regalo da luna e vento
七峯 亨
からのお誘いは唐突だった。
「こんな夜だから、いきなりだけれどデートしましょう」
黒のストライプスーツに赤のシャツ。
ネクタイを緩めながら鎖骨をセクシーに晒す彼の言葉は、いつにも増して情熱的だ。
「寝子島が何の縁か、地中海に寄り添う麗しの街の如く水の都になったようです」
片目を瞑り、想いを寄せる
矢萩 咲
の手を恭しく取る。
「さらば寝子島、ようこそヴェネーシャ。そんな日ですから、異国へ行ったつもりで、共に船出をしませんか」
(何というか相変わらず気障な台詞でこそばゆいが……)
咲はなかなか、亨のこういうところに慣れない。慣れないけれど、こういうところが彼の魅力の一つだと思う。雰囲気のある気障なセリフで咲に愛を語ってくれたり、そつなく、しなやかな立ち振る舞いでエスコートしてくれたり……。だから今宵は亨君に合わせて答えてあげよう、そう思う。
ちょっと背伸びして。
中世のレディになったつもりで。
「ええ、こんな日には素敵な出会いがありそうね。そのお誘い謹んでお受けいたしましょう」
凛とした真面目な風紀委員で、時に竹刀を振り回し、鬼矢萩と恐れられることもある咲であるが、今宵ばかりは淑女然とほほ笑んで亨に応える。
が、澄まし顔も束の間、亨が嬉しそうに笑うのを見ると、気恥ずかしくなってかあっと頬に血が上った。
(……相変わらず、咲は彼に翻弄されっぱなしだが……)
(……いや、別に今回はムードある雰囲気でいいなぁとか思ってないぞ!)
イソラ・ガレッジャンテでゴンドラを借りた。
「ゴンドリエーレ……船頭はお任せを。さぁお乗りください、姫?」
――月と風の贈り物、じっくり楽しみに行きましょう。
亨はゴンドラに片足をかけ、咲の手を取って乗船をエスコートする。
「ええ、よろしくね、我が騎士。共にこの美しい光景を肴に楽しみましょう」
咲はまるで中世のお姫様の如く、スカートの端を軽くつまみ、つま先でゴンドラに乗り移る。赤いベルベットの敷かれた椅子にそっと腰掛け、また一人恥じらいに沈む。
(……本当にこのやりとり慣れなくて恥ずかしい……)
亨は咲の恥じらいなど疾うにお見通しだろう。
寧ろ、咲の恥じらいや戸惑いすらも今宵のスパイスとして楽しんでいそうな、飄々とした雰囲気である。
亨は敢えて無言でランタンを灯して櫂を取り、静かに海へ漕ぎ出す。
水音や櫂の軋む音。
それらにゆったりと耳を澄ませながら、他の小舟たちの灯りの渦の中へゴンドラを進ませる。
かすかに聞こえてくる音楽や歌。
灯りに滲んで輪郭の曖昧な人々。
「なんて幻想的な光景……」
亨が操る小舟の行くまま、身を任せながら、咲はうっとりと世界を眺める。
(この非日常感も偶にはいいものだ)
遠かった音楽が近くなる。行く手に水上音楽団がいた。音楽団のゴンドラのまわりを、音楽を聴きに来たゴンドラたちがゆるりゆるりと交錯しながら取り巻いていて、亨は櫂をひとかきすると、滑らかにゴンドラをその輪を遠巻きにする暗がりへ運ぶ。
亨はそこで舟を停め、咲の隣に自分の体を寄せるように座った。
ヴァイオリンやソプラノサックスの音色が、小さすぎず大きすぎず、心地よく耳に届く。
亨はそのまま、演奏や歌に耳を傾けている様子だったが、咲の方はというと、彼の肩がいつ触れるかと緊張して、借りてきた猫みたいになってしまっていた。
顔が赤いのを自覚してしまう。
(やはりいくら恋人で色々とやってるとはいえ……照れてしまう、な)
そんな風にあれこれ思いを巡らせていると、ふいに衣擦れの音がした。
彼の匂いが鼻腔を擽る。
そっと。ほんとうに滑らかな身ごなしで、亨は咲に身を寄せ、そのかんばせを覗き込んでいた。
「月が綺麗だな、咲……」
「ああ、咲も同感だ。月が綺麗だ……」
吐息みたいな告白に、吐息みたいな答えを返す。
『I love you』を『月が綺麗ですね』と訳したのは夏目漱石であったろうか。
愛してる。好きだ。そんな言葉とはまた違う趣に、二人は甘く酔い痴れる。
「紋切型じゃ嫌かい?」
「咲も紋切型は嫌いじゃないよ、亨君。古き良き告白も乙なモノだと思う。唯……」
本当に照れるな、と咲は視線を遠くへ逃がそうとする。
しかし亨は許さなかった。
咲の顎を人差し指でくい、と持ち上げ、その赤い瞳を絡めとるように深く見つめる。
「果てまで連れるとは前に約したが、その後も。いっそ揃って星になるのも、貴女となら……なんて」
息を呑む。
なんてことをさらりと口にするんだろう、彼は。
咲にはわかった。これは、最上級の告白だ。共に生き、共に死のう。
愛しい相手にそう言われて、心乱れぬ乙女がいようか。
跳ねる心臓。いっそう上気する頬。
咲は深呼吸して脈を正そうとし、亨はそんな咲の表情の変化に黒い瞳をふふりと細める。
いけない。年上の威厳をすこしばかりでも見せてやらなくては。
「フフ、星になるか……それはそれで面白そうだがな」
咲が言うと、亨は咲をそっと抱くように寄り掛かった。
「嬉しいことを言ってくれる。だが、今はまだ目一杯、生を謳歌する時、だよな?」
「亨君、君はその……なんだ、こういうとき……ずるいから……」
拒むことなんてできはしない。
咲はもう、亨の声に、匂いに、酔ってしまっているのだから。
彼の背にそっと腕を回す。
何か言おうとした瞬間、言の葉はこれまで、と亨は咲の口唇をふさいだ。
触れるだけの、キス。
それから、すこし深く。
ゴンドラを遠巻きに停めたのはこの為だ。
暗がりは咲と亨の行為をヴェールのように包んで秘してくれる。
「は……」
息継ぎをし、再び歌に奏でに任せつつ、しっとりと長い接吻をする。
咲は亨の髪を掻き上げるように指を這わせた。
亨もまた、咲のすべてに触れんとするが如く、優しくその白い肌を愛撫する。
キスを受けながら咲は思う。
(……前だったら嫌悪感を持っていたその行為もすんなりと受け入れている………本当に変わったな、私も)
恋愛もチャラ男も不純異性交遊も、ミミズと同じくらい嫌いだと思った日があったはずだった。それなのに。
人から想われるということは、こんなにも心を変えてしまうものなのか。
「ん……」
キスが首筋を伝ってゆく。
思わず吐息が漏れてしまう。
閉じていた目を開けた。
満天の星空が飛び込んできた。
――なんて、綺麗なんだろう。
ゴンドラが小さな軋みを上げて揺れる。零れたのは愛の言葉。
――Ti amo, Principessa.
――L'amo, anche.
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
動物・自然
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月07日
参加申し込みの期限
2016年07月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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