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寝子島、アクアアルタの夜
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● オフィーリアと少女
「アクアアルタか。美しいな」
足元へひたひたと寄せる波。ロングブーツが濡れぬよう縁石にあたる部分をつま先立ちで歩きながら、
千歳飴 楓子
は、この幻想的な自然現象に感動していた。波をさざめかせながら海の方から吹いてくる風が楓子の髪を巻き上げる。内側だけ青く染めた長い髪がふわりと広がる。さながら楓子の髪は、今宵の空と海をその内に宿しているかのようだ。耳朶が露わになり、大小とりどりのピアスが揺れた。
軽く片手で髪を抑え、街の方へ風が去るのを振り返って見送る。
あたりにしじまが戻る。
「ふふ。夜の散歩も悪くない」
口元に僅か笑みを浮かべ、歩き出したそのとき。
バシャン!
盛大な水音とともに、世界が回った。
水面は背中に、星空が正面に。
「転んだ……」
ぱたり、仰向けに横たわりながら楓子は呟いた。
「冷たい……」
コートが水を吸って重くなってきた。ああ、起き上がらなければ。そう思うのに、億劫さが先に立つ。
「星が、綺麗だな……」
どこからかゆるりとしたヴァイオリンの音色が聞こえてくる。
視線だけで音の出所を探すと、海上に浮かぶ小舟からのようだ。
「あ、これ……聞いたことあるな。亡き王女のための……とかそういう」
曲と一緒に鼻歌を歌いながらまどろむ。曲はラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』、演奏しているのは水上音楽団――征一郎とシグレであった。
楓子は水面に横たわり為すすべのない自らの姿を物語にだぶらせる。
「あれを思い出すな。ハムレットの……」
なんだっけ? は言葉にならなった。
美しい調べの心地よさも手伝って、瞼が重くなってくる。このまま眠ってしまってもいいかもしれない。
それでも心の片隅では、問いかけを続けている。なんだっけ。あの有名な絵の……。
「そうだ。オフィーリア……ってうおお!?」
楓子は突如、みぞおちに強烈な衝撃を受け、雄たけびを――そう、雄たけびと言っていいほどの叫び声を上げた。意識は一気に覚醒する。目を見開いて見上げれば、そこには片足をゆっくりと上げる少女が……。
「……なんか踏んだ……」
少女――
楠木 ゆきの
は、驚くでなく呟いた。
水の中で横たわっているお姉さんは動かない。
ゆきのはあたりを見回すと、手ごろな枝を見つけ、それでお姉さんの体をつんつんと突いた。
「………お姉さん……いきてる……?」
「ぐうう」
呻き声が返ってくる。
「……いきてるね……」
よかった、と思うものの、水の中で寝たままの変なお姉さんに声をかけるのも、ましてや謝るのも憚られ、ゆきのは無言のままそろそろと後ずさり。と、突如がっしりと足首を掴まれた。
「きゃ」
「転ぶなよ。あと、子供が夜に出歩くのは危ないぞ」
ぱっちりと開いたお姉さんの瞳は、真っ青でとても綺麗。
それでゆきのは、このお姉さんをすこし信頼する気になった。
鞄についている黒ネコのキーホルダーを見せる。
「お姉さん、この子の友達で……うさぎ……見なかった?」
「うさぎ? どんなの?」
「あのね……」
キーホルダーがない、と気づいたのは、家に帰ってしばらくしてからのこと。
いつも鞄に着けてる白ウサギのキーホルダーがなくなっていた。
鞄は髪と同じピンクのショルダーバックで、本来なら白ウサギと黒ネコのキーホルダーが並んで揺れているはずである。それなのに今夜は黒ネコがひとりぼっちで寂しそうにしていたのだ。
「あれ……? うさぎ……どっかに落とした……?」
ゆきのは慌てた。
「どうしよう……探しに行かないと……」
昼間、外に遊びに行ったときに落としたのかもしれない。
靴を履くのももどかしい気持ちで、家を飛び出す。
その際、あまりに慌てていて、明かりを持ってくるのを忘れてしまった。
遠くの景色は星灯りや人々のランタンの灯りでなんとなくわかるのだが、足元はよく見えず……というところで、オフィーリアしていた楓子を踏んだ、という次第なのである。
「大事なものか?」
楓子が訊くと、ゆきのはこくりと頷いた。
「一緒にいないとだめ……なの……」
ゆきのは悲しそうに零す。
「だって……恋人なんだもの……」
うさぎも黒ネコも男の子という設定だが、問題ない。綺麗なお兄さんとかわいいお兄さんが仲良きことは良きことかな、である。ゆきのは懇願するように楓子の青い瞳をじっと見つめた。
「お姉さん……暇なら探すの、手伝って……」
「ん……そだな」
楓子はけだるく身を起こした。
「こんな時間に子供一人は危ない。それに今日は転んだら起き上がれなくなるぞ。楓子みたいに」
こうして起き上がったオフィーリアは、ぐしょぬれになったコートを絞ると再びそれを羽織り、冷たくなった手でゆきのの幼い手を取って歩き出した。
「で、どこらへんで落したとか心当たりは?」
楓子が尋ねる。
「家から海までの……昼間、散歩した道のどこかだと思う……」
「それってこの道?」
楓子はまっすぐ伸びた道を指さす。水が引けばここはまっすぐに海へ向かう道路だ。
「うん。海まで行って、またまっすぐ戻って来たの……寄り道はしてないから、この道沿いのどこか……」
「なるほど。さて、見つかるかな」
距離はさほどではないが、あたりは暗く、水がひたひたと押し寄せてもいる。
「そいえば、名前は?」と楓子が訊いた。
「楓子は千歳飴楓子。おいしそうだろ」
「……楠木ゆきの……」
「ゆきの氏か。よろしく」
ゆきのは赤い瞳を瞬かせて楓子を見つめた。
『ゆきの氏』なんてまるで大人みたいな呼び方だ。
このお姉さんは、やっぱり少し変わった人みたい。
でもなんだかこの感じ、嫌いじゃない。
横顔を見上げる。ゆきのが転ばないようにと繋いでくれているんだと思うと、冷たい指先も冷たくない。
さっきまで、絶望した気持ちだったけれど、この不思議なお姉さんに会って手をつないで歩いているうち、夜の散歩みたいで、ゆきのはすこし楽しくなってきた。
「……と。ここから先は本格的に海だな」
水位がブーツの中ほどを超えたあたりで、楓子が立ち止まった。
少し先を水上音楽団のゴンドラが過ぎてゆく。
ゴンドラの縁に凭れ、音楽に耳を傾けていた
来島 アカリ
が、ゆきのを見つけて小さく手を振った。
ゆきのはアカリに、同じように小さく手を振り返した。
「知り合い?」
「うん……遊んでくれるツンデレおねえさ……お兄さん」
「そっか。にしても、見つからないね。もっかい戻ってみよう。こういうのは帰り道の方が見つかるものさ!」
ゆきのを励まし、楓子は踵を返す。
白いうさぎのキーホルダーが、夜の水面に揺られながら浮いているのを見つけたのは、それからしばらく戻った場所でのことだった。
「あった……!」
ゆきのは駆けよって掬い上げる。
間違いない。自分の大切なうさぎさんだ。思わず胸に抱きしめる。
「良かったな」
楓子がぽんぽんと頭を撫でた。
「ありがと……」
ゆきのはお礼を言って楓子を見上げた。
「あと……踏んでごめん」
さっきは言えなかった謝罪の言葉が、今度は素直に紡がれる。
「ん」
楓子は気にしてないという風に顔の前で手をひらひらさせた。
「こんなのも何かの縁さ。さ、早く一緒にしてあげたら?」
ゆきのは頷き、ピンクのショルダーバックの定位置にふたたび彼をぶら下げる。
うさぎも、うさぎの隣で揺れる黒ネコも、心なしか嬉しそうだ。
ゆきのもほっとした表情。
その様子に満足して、楓子は、さぁて、とひとつ伸びをすると言った。
「家まで送ってくよ。ゆきの氏を一人で帰らせるわけにはいかないからね」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
動物・自然
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月07日
参加申し込みの期限
2016年07月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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