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ママパパパニック! 可愛いキューピットのいたずら
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「パパ! こんなところにいたんだ!」
「え?」
図書館の前でぼんやりと立っていた
五十士 柊斗
は、急に呼びかけられて、小さく驚きの声を上げた。
小学生ぐらいと思われる男の子が立っている。キッズ用のハーフコートをまとい、金色の髪と緑色の瞳をした整った顔立ちの子だった。
「パパ。図書館、楽しみだね。ボク読みたい本があるんだ」
「えっと。迷子かい? 俺は君のお父さんじゃないよ」
「……パパ。それ、なんの冗談なの?」
男の子は賢そうな目に、訝しげな影を浮かべて見つめてくる。しかしそれは五十士も同じだった。
いくら小さくても自分の親を見間違えるような歳には見えない。では、いたずらの類かというと、そうは思えないくらい無邪気だ。
隣に立って、嬉しそうに読みたい本の題名を挙げている。
「パパはどんな本が好き? あ、ミステリもいいよね。でもあんまりムズカシイのはヤダなぁ」
「君、名前はなんて言うの?」
「パパ、本当にどうしちゃったの……?」
見上げる瞳には本気の戸惑いがある。問い続けることがためらわれるほどに。
五十士は困ったように微笑みを浮かべたが、内心はそれほど落ち着いているわけではない。
そんな時だった。待ち合わせしていた相手が到着したのは。
小走りで寄ってきた
エリューシア・セリアン
は、少しだけ息をつき挨拶する。
「おまたせして申し訳ありませんでした。柊斗様」
「あ、ママ! 大丈夫、そんなに待ってないよ」
「……え? あの、ママ?」
五十士が応える前に、少年が爆弾を投下した。しかも一発では終わらない。
「ママ? パパ? どうしたの?」
「え、あ、あの。柊斗様がパパで、私がママ?」
エリューシアは息を呑むと同時に白い頬を赤く染め上げていく。
五十士は困ったように少年を見ると、その小さな金髪の頭に手をのせた。
「今日は一日、俺達のことをパパ、ママって呼ぶの禁止だよ」
「ええ!? なんで?」
「図書館は静かに本を読むところだからね」
「う〜ん。それとこれとは関係ないと思う」
納得いかないように首を傾げる少年をそのままに、五十士はエリューシアに事情を説明した。
「ご両親と待ち合わせして図書館で過ごす予定のようだから、館内で待っていればいいと思うけれどどうだろう。ここは寒いし、彼も放っておけないし」
「はい。私もそれがいいと思います」
その提案に頷くエリューシア。
心の内では密かな喜びが湧き上がっていた。その証拠に頬の色はなかなか戻らない。
柊斗様がパパで、私がママ。たとえ勘違いだとしても、嬉しいと思うのはいけないことでしょうか……。
少年を促す青年の背中を追いかけながら、エリューシアは微笑みが浮かぶのを押さえることができなかった。
図書館の職員に少年のことを伝えて、両親への伝言をお願いしておく。これで行き違うことはないだろう。
三人は児童書のコーナーへと足を進めた。少年は目を輝かせて書棚をめぐっている。
「好きな本は見つかりました? 見つかったら……ママのお膝へどうぞ」
エリューシアは大きなソファに座り、男の子を呼んだ。微かに頬を染めたまま。
少年は驚いたように立ちすくみ、五十士に目で「いいの?」と訴える。
五十士もまたエリューシアの発言に驚いたが、彼女が無理しているわけではないことを理解して、小さく頷いた。
少年は笑顔を浮かべて、美しい母の膝に身を預ける。
「ママ、これ読んで」
「はい。それでは始まり始まり、です」
綺麗な声が歌うようにその場に流れた。けっして大きな声ではないのに、耳に染み入るようにはっきりと聞こえる。
五十士は二人の様子を眺めて、静かに息を吐いた。
なんて表現すればいいのだろう、と自問する。
エリューシアの朗読はさすがに様になっている。そう思う。
美形と称しても問題ない女性と男の子が寄り添う姿に、目を奪われる。
まるで本当の母子のようにあたたかな光景に、微笑ましいと感じる。
どれも本当だけど、どれも違う。
この感情を名付けるとしたら、どんな言葉がふさわしいのだろう。
そんなことをぼんやりと考えていた時。
「柊斗様との子どもがいたらこんな感じでしょうか……」
エリューシアの言葉が、心を満たす感情に共鳴するかのように響いた。
「エリューシアさん……」
「あ! ち、ちょっとお化粧なおしに行ってまいりますね!」
真っ赤になったエリューシアは、男の子をおろして席を立つ。その背を見守りながら、五十士は自分に問いかけた。
今、俺は何を思ったのだろう。
「ママ、トイレ我慢してたのかなぁ。甘えすぎてゴメンナサイ」
「……それは勘違いだから、変な心配はしないこと」
男の子のずれた謝罪に、ほっと息をつく。頭をなでて安心させてあげながら、この気の抜けた空気をありがたく思った。
エリューシアは立ち並ぶ書架の影で、ほてった頬に手を添えて俯いていた。なかなか熱が治まらない。
『柊斗様との子どもがいたらこんな感じでしょうか……』
とんでもないことを呟いてしまった。しかもしっかり聞かれてしまった。
膝の上に男の子をのせて、子供特有の高い体温を感じながら、本を読んだ。
見下ろす先には五十士によく似た金の髪。朗読を聞きながら一生懸命文字を追っているのが分かる。
この金色に輝く小さな温もりが、とてもとても愛しく感じられた。
ときどき思い描く彼との未来に、男の子の存在が重なる。もしそうなったら幸せだと思った。
「……私ったら、柊斗様のお気持ちも考えずに」
五十士は優しい。今までだって幾度となく手を差し伸べてくれた。今日だってこうやって図書館で共に過ごしている。
だけどオブラートのように薄く、水晶の如く硬い壁があることもまた事実だった。
エリューシアは、少し時間を置いて帰ることにした。
先ほどの発言が恥ずかしかったし、心を落ち着ける時間が欲しかった。
閲覧室の片隅にある陽あたりの良いソファに身を沈める。読書には眩しすぎるせいか、周りには誰もいない。
暖かい。先ほどの男の子の温もりを思い出す。
ふふ、と小さな笑みが漏れた。
改めて自覚したから。
たとえ壁があっても、この気持ちは変わらない。
私は柊斗様のことが……。
「ママ、起きて」
「エリューシアさん」
ゆっくり意識が覚めていく。覗き込んでくる二人の髪が、陽をあびて輝いていた。
綺麗。
そう思った瞬間に、自分の立場を思い出す。
「はっ……私、眠ってました?」
「ママ、疲れてた? さっきはお願いしてゴメンナサイ」
「いいえ、そんなことありませんよ。ここは暖かかったから、ついウトウトしてしまっただけです」
男の子の心配そうな声に、落ち着いて応えて安心させる。
ふと見上げたら、五十士がとてもやわらかな表情で自分を見ていた。
「えっと。もしかして私、変な顔で寝ていましたか?」
「うん。いつものエリューシアさんらしからない表情だったね」
「え! は、恥ずかしいです……」
「パパ、嘘つきはいけないんだよ! 大丈夫。ママはとっても綺麗だよ!」
「え、えっと、あ、ありがとうございます?」
「ごめんごめん。とても気持ちよさそうに眠っていたから、つい、ね」
男の子が一生懸命フォローし、ますます恥ずかしがるエリューシアを見て、五十士は微笑んだ。
やはり心があたたかくなる。この雰囲気がとても大切に感じる。
それは決して悪い気分ではなかった。
エリューシアのはにかんだ笑みも、少年の無邪気な笑顔も、守りたいと思う。
そう、守りたい。今度こそ間違えない。絶対に自惚れない。この先もずっと。
「柊斗様、何度もお待たせして申し訳ありませんでした」
「ママ、今度はママとパパの本を探そう!」
「ふふ、そんなに気を使わなくていいんですよ」
「大丈夫。ちゃんと読む本はもってきたから。おとなしくドクショするよ」
連れ立って歩き出す二人の背を見守るように、五十士は後について行った。
もう夕方近くになる。男の子の両親はまだ来ない。
さすがに心配になってきた五十士とエリューシアに対して、男の子は唐突に本を置いた。
「これで読みたかった本は全部読んじゃった。楽しかったよ!」
ニッコリと笑って、二人を見る。
「パパ、ママ。今日は本当にありがとう。優しくしてくれてとても嬉しかった」
エリューシアが小さな叫びを飲み込んだ。
少年はお礼の言葉とともに、徐々にその姿が霞んでいく。
「生まれるのが楽しみだなぁ。だから、またね! パパ、ママ」
その言葉を最後に、完全に消えてしまった。
残されたのは閉じられた絵本だけ。
この寝子島で、もう何度も不思議な経験をした。ろっこんだって自覚している。だから、そこまで驚いているわけじゃない。
でも、これだけは言っておかなければ。
「後片付けのしつけは、しっかりしないといけないね」
「……ふふ、そうみたいですね」
あの『男の子』が二人の子供なのか。そもそも二人が結ばれるのか。未来はまだ分からない。
でもどちらにしても、子供には読んだ本はちゃんと片付けなさいと、教えなければならないだろう。
五十士とエリューシアは、無造作に置かれた絵本を前に小さく笑った。
【終わり】
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あとがき
担当マスター:
阿都
ファンレターはマスターページから!
シナリオガイドを担当しました、阿都(あと)と申します。
ご参加ありがとうございました。
また最後までリアクションをご覧下さり、感謝申し上げます。
子供がきっかけのシナリオでしたが、いかがでしたでしょうか。
楽しんでいただけたら幸いです。
それでは、またのご参加をお待ちしております。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿都
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月03日
参加申し込みの期限
2016年07月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月10日 11時00分
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