ママパパパニック！　可愛いキューピットのいたずら｜リアクション

ママパパパニック！　可愛いキューピットのいたずら

　
　八神修はこの一年、様々な出来事を経験してきた。
　しかも普通だったら一生に一度も経験しないような、不可思議な事件ばかり。
　正直に言えば、かなり危険な目にもあった。その度に自分を信じて、知力の限りを尽くして乗り越えてきた。
　なかなか濃い人生経験を積んできたと言えるだろう。
　
　だが、しかし。
　それでも彼は16歳の青年であることにかわりはなく。
　
「パパ？」
「……あなたが、パパ？」

　朝鳥さゆると大人しめな少女。

「パパ〜！」
「修ちゃん。どうするのだ〜？」

　後木真央と元気そうな女の子。

「パパ！」
「ねえ。これもう絶対神魂のせいだと思うんだけど。どうするの八神君」

　桃川圭花としっかりした感じの少女。

　シーサイドタウンの一角で、3人の幼子と3人の同級生に囲まれて、まさかのパパ呼ばわりされれば、フリーズしてしまうのも当然と言えた。

「……ああ。まぁ、ちょっと落ち着こうか。うん」
「珍しく君が一番挙動不審よ」

　桃川の苦笑が耳にこだまする。
　八神は「しかたがないだろ。こんなこと想定できるか」とぼやきたいところをぐっとこらえて、小さく深呼吸した。
　まずは状況確認からだ。何事も正しい情報があってこそ、分析と対策が練れるもの。

「すまない。それぞれ順を追って説明してくれないか？」

　八神は心を落ち着けて、同級生たちに経緯を話すように促した。
　傍らの子どもたちの頭を撫でながら。
　
「……そうね。ではあたしから」

　物憂げに瞳を伏せながら、朝鳥は静かに話しだした。

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