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ママパパパニック! 可愛いキューピットのいたずら
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冬の海を睥睨する海鳥の目は何を映しているのだろう。
フリーカメラマンを職とする
槐 邦彦
が、被写体を捉えシャッターを押そうとした瞬間、後ろから軽い衝撃を受けた。
「え?」
「パパ、なにを撮っているの?」
「あ、あの? パパって僕のこと、かな?」
「?」
槐の腰に抱きついている黒髪の男の子は、小学生ぐらいだろう。問いかけの意味がわからない、と無言で首を傾げている。落ち着いた雰囲気の少年だった。
槐は37歳になる。このぐらいの年齢の子がいても不自然ではない。しかし、彼にはまったく身に覚えがなかった。
「お父さんとはぐれちゃったのかな?」
「……パパ。どうしてそんなことを言うの? あ、そうか。父さん、って呼ばないといけないんだっけ。ごめんなさい」
「い、いやいや、そうじゃなくてね。お名前はなんて言うのかな?」
「父さん。ボクの名前を忘れるなんて、ちょっとひどいよ」
「ご、ごめんね?」
どうも話が通じない。もともと槐の押しが弱いということもあるのだろう。少年はまったく動じることなく話を有耶無耶にしてしまう。
困る槐を尻目に、少年はさらに事態を大きく動かした。
「あ、ママ、じゃなくって、母さんだ」
「え? か、母さん?」
風のように軽やかに走り出す男の子の背を見ながら呆然としていると、すっきりした薄手のコートを羽織り歩くボブカットの女性へ声をかけていた。
女性は小首をかしげたあと、槐の方に目を向けてお辞儀する。反射的に頭を下げたが、すぐに内心冷や汗をかいた。
あの少年が彼女になにを言ったのか、想像して。
槐は慌てて、走り寄った。
「ママ! じゃなくって、母さん!」
「うん? ママ? 母さん?」
女川 智火
は、休日にふと思い立って寝子島マリンパラダイスに向かっているところだった。
突然かけられた声に、はっきりした違和感を覚える。
子を産んだ覚えなどない。しかし、周りには自分のほかに「ママ」と呼ばれるような年齢の女性は存在しなかった。
「母さん。父さんが変なことを言うんだ」
コートの端をつままれた。今度こそ疑いようもない。振り返ってみると穏やかな瞳をした少年が立っていた。
「あー。一応確認するけれど、母さんって私のこと?」
「……なんで父さんと同じことを言うの?」
不安げな瞳を見せた少年は振り返った。その方向に視線を移すと、黒髪のおとなしそうな男性がいる。
女川が頭を下げると、慌てて駆け寄ってきた。
「す、スイマセン! 大丈夫ですか!?」
「別に困っているわけでは無いですけど、どういうことでしょうか?」
「いや、実は僕も戸惑っていて……」
槐は少年から距離をおいて、事情を説明する。
「迷子なら警察に連れて行くべきと思うのですが、彼はどうしても僕を父親だと言って譲らないのでどうしたものか、と」
「警察……。確かに法的にはそれが一番だと思いますが、なんとなく無駄な気がしますね」
二人揃って男の子を見る。コートのポケットに手を突っ込み、海鳥を眺めて待っていた少年は、視線に気がつき笑顔で近づいてきた。
「父さん、母さん。お話、終わった?」
「う、いや、まぁ」
「父さん。『はっきり物を言わないとダメですよ』ってまた母さんに注意されるよ?」
「スイマセン……」
はたから見れば、気の弱い父親としっかりものの息子といった様子で、全然違和感がなかった。
女川は一瞬、この親子に騙されているのか、とも考えたが、そもそもこんな騙し方でどんな得が生じるのか理解し難い。
なにより少しだけ思い当たることがある。この寝子島には不思議な事が起こるのだ。しかも結構頻繁に。
女川は、まぁいいか、と詮索することを放棄した。
材料がない以上、答えは出ない。なら現状もっともいいと思える方法を取ろう。
打算的にいうなら、警察やら面倒事で予定を潰されたくなかった。
そうと決めたら行動は早い。女川はさっそく槐に提案する。
「今からマリンパラダイスに行こうと思ってたんですが、一緒にどうですか?」
「えぇと、水族館……ですか?」
「はい。まぁここで出会ったのもご縁ということで。それにその子も好きそうですし」
海鳥を眺めている少年はとても楽しそうだった。
「ね、君はどう? 水族館は好き?」
「うん。生き物は好きだよ」
「……そう、ですね。この子が喜んでくれるなら、それもいいかもしれません」
「では決まりということで」
女川が率先して歩き出す。3人は海沿いに見える水族館に向けて歩き出した。
「うわぁ……」
少年は静かに溜息をついた。美しい色彩の魚たちを目の前にして。
寝子島マリンパラダイスの熱帯魚のコーナーは、冬場は特に人気のエリアだ。外の寒さを忘れさせてくれる、南国の空気が満ちている。
水槽に張りつく勢いの少年の側に立った槐は、指差しながら魚を説明していく。
「あのオレンジ色の魚はカクレクマノミといって……あの青いのがルリスズメです」
「カクレクマノミ、性転換するんですよね」
「ええ。よくご存知ですね」
「せいてんかんって、何?」
「ああ、えっと、家族の中でママがいなくなると、パパがママになるってこと」
「ええ!? パパ、じゃなくって父さんが母さんになっちゃうの!?」
「変な話だけど、面白いよね」
「あ、あの〜。その教え方はかなり誤解を生むのではないでしょうか……」
男の子の驚きをよそに、女川はすました顔で次の水槽に向かう。槐はなんとか正確にカクレクマノミの生態を教えようと四苦八苦していた。
しかし、それは槐にとって楽しい時間だった。
水族館に入るまでは、正直気が重かった。
状況的にも心情的にも一人だけ逃げることなど考えもしなかったが、知らない子供と女性とともに水族館をめぐるなど、考えるだけで胃が痛くなる。
ところが蓋を開けてみれば、密かにはしゃいでいることが自覚できるほど、3人で歩くのは楽しかったのだ。
合間に女川と世間話もした。
「生物、お好きなんですか? かなりお詳しいですよね?」
「えぇ、まぁちょっとだけ……。でも、そういう貴女もですよね?」
「私は環境調査の仕事してるのと、以前、行動生態学の研究してたので。まあ、海洋生物については科学的知識というより興味の領域なんですけどね」
「僕はフリーで写真を撮っています。自然や動物が専門でして」
「ああ、なるほど」
「父さん、母さん。あれは何?」
「うん、あれはね」
初対面の女性とこれだけスムーズに話をするなんて、いつもの自分なら考えられない。
それはきっとこの女性が飾らない性格で、さらに少年が会話の潤滑油となってくれているからだろう、と槐はありがたく思う。
出口が近づいてきたときには、互いに初対面だったとは思えないほど、自然に会話できていた。
だから、こんなにもあっさりと終わってしまうなんて思いもしなかった。
「おや、あの少年は?」
「え? あれ?」
暗かった水族館から出て、海の照り返しに目を細めた瞬間に、男の子は姿を消していた。
二人はそれぞれ微妙な喪失感を覚えた。ほんの数時間、共に過ごしただけなのに。
しかし、歩きまわっていた間、楽しかったのは事実だった。
槐は静かに息を吐いて、心のなかに薄く立ち込めた霧を吐き出す。
女川は少年の楽しそうな表情を思い起こして、たぶん満足したのだろう、と自分を納得させた。
沈黙していた空気を取り繕うように話し出す。
「結局なんだったのでしょう。流行りのいたずらか、何かですかね」
「確かにそうかも。まぁ、損害は入館料小人一人分ですけど。しかもそちら持ち」
「ははは。でもスイマセン。こんなオジサンと一日過ごす羽目になってしまって。助かりました」
「えと、元々マリンパラダイスに行く予定でしたので、大丈夫ですよ」
そして、二人は同時に気がつく。少なくとも知り合いと言えるぐらいにはなったのに、まだ大切なことを教え合っていない事実に。
「あ、僕は槐邦彦といいます。自己紹介が遅れてスイマセン……」
「どうも、女川智火です」
休みの日なのに名刺を交換するあたり、さすがは社会人の二人だった。
黒髪の大人びた少年がもたらしたきっかけ。
こうして出会った槐と女川が、今後どのような関係になっていくのかはまだ分からない。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿都
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月03日
参加申し込みの期限
2016年07月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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