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デイ・トリッパー 〜赤い調香師〜
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「行け!」櫻の鼓舞の直後に「志波先輩!」と刀が呼ぶ。
自分の背に乗れと言う姿勢だったが、それが傷ついた筋に負担をかけているのが出血で見て取れた。迷いを見せた武道へ、刀はもう一度叫んだ。
「俺が送り届けます!」
「分かった——!」武道は返事をしながら彼の背に飛びのった。連携の経験はあるから、刀が何をしようとしているか要領は分かっている。
二人の動きを見て、櫻は前に片足を擦り出して、最大限に低い位置で力の限りに刃を振る。
肩は悲鳴をあげたが、刀がスタートする間は作り出せた。
銃の撃鉄が落ちる。刀がそれをイメージすると、彼と彼の背中にしがみ付く武道の世界は加速した。
本来ならば足を取る蛇身体も、洞窟の中の水も、空気さえもが今の刀には足場になる。ぐんぐん近づいてくる彼を見留めていた少年は、残酷な演出も冗談もなく氷を打ち続けた。
氷の刃は刀の腕や頰を掠め、ぶつかり動きを止めようとするが、弦月が大半を落としてくれるお陰であと一歩の距離まできた。
あの高い場所まで登り切れば——!
しかし近づいたが最後、完全に狙いを定められてしまう。もう一方の足も傷つけられ、いよいよ踏ん張りが利かなくなった。
「せんぱ、い……だけでも!!」
最後の力を使いきり空気から転げ落ちて行った刀の背中から武道は弾き出され、少年の前に落ちた。
しかし無様な姿を見下ろして嗤う声は、武道の耳には届いていなかった。
「うおあああ!」
勢い蹴り出した勢いで、砂埃が舞う。熱量差に目を丸くした少年の腹へ、武道は両腕を広げて突っ込んだ。タックルを仕掛けた武道だったが、その口から出たのは説得の言葉ではなく、鈍い悲鳴だった。
感じたのは衝撃と言うより熱だ。
武道自身は理解出来なかったが、落ちた刀を助けに入った弦月らは見ていた。少年の肘と膝が武道の急所二箇所——腎臓と鳩尾を同時に打ち付けていたのだ。
肋骨が折れて、口と鼻から血が吹き出る。彼を苛むのは死を感じる痛みだ。急激に荒い息になった彼を見て、少年は首を横に振った。
「肺に刺さったかな、動かない方がいいですよ。……痛くて動けないか」
完膚無きまでに叩きのめし、少年は彼の的からくるりと背を向けた。これで全て終わったとしたのは、武道が丸腰だったからで、『イリヤ』が寝子島の超常——ろっこんの戦いに慣れていなかったからだ。
少年の足にトンッと軽く触れたような感覚があったのは、丁度アキレス腱の部分だ。
「え——?」
悪ふざけで膝を後ろから折られた時のように、少年の視界がかくんと一段下に落ちた。
少年は恥ずかしさに耳まで真っ赤になって、武道の襟首を掴んだ。
「う……、ばかばかっ何でこんなことするんですかあっ!」
少年は既に昏倒している武道を揺さぶり、涙目で訴えている。
(あれって……!)
弦月は少年の表情の中に、失敗を恥ずかしがるごく普通の中学生の姿を見つけた。
「事実と虚構は別物だ、目を覚まして下さい!」
そう叫んで少年にこちらを向かせた。視線が合う、言葉を聞くかもしれないと賭けた。
「何を吹き込まれたか分からないけれど、理解者を装って救おうとする奴にろくなのはいないよ。
僕の兄もそれが原因で、救われるどころか死にかけた事がある。
事実と虚構は別物だ。
目を覚まして下さい、そいつはあなたを本当の意味で救う気はないのだから……」
「うるさいうるさいうるさい!」
少年は叫びながら弦月の言葉を止めようと彼へ向かって氷を無茶苦茶に飛ばすが、弦月は疲労に耐えつつもろっこんと、助けに入ってくれた音春の力で耐え凌ぐ。それで出来た隙に、ロベルトが接近する事が出来た。
最後の一歩を跳び上がりながら、ロベルトは蹴りを繰り出したが、残念な事に一発目からの渾身の蹴りは振りが大きすぎた。
武道への容赦の無い対応で分かっているつもりだったが、それでも手荒な真似はしたくないと思いが勝ってしまったのかもしれない。顔を避けてやりたい、出来れば能力で穏便に——、そう配慮する気持ちが、ロベルトを不利にさせたのだろう。
腕で払いながら避けられると、考えていたように逆足でのカウンターには移れない。バランスを失って前のめりになった途端、顎に肘を入れられた。
少年の動きは払うと攻撃が連動していたから、目にも止まらなかった。
一瞬で落ちた意識だったが、すぐに肘を骨ごと踏み砕かれる痛みで無理矢理抉じ開けられてしまう。
「——ッ!!!」
ロベルトの絶叫に、少年は巫山戯たように耳を塞いでいた。
「ロビに触られると怖いから。もう一本も貰いますね」
アドレナリンでハイになっても、立ち上がる事は出来ない。動かせるのはわなわな震える唇だけだが、それで悪態や恨み言ではない言葉を吐いた。
「……君を……大切に思ってくれる人は……、君の兄さんたちだけじゃないよ…………」
「…………そう」
少年はロベルトの声をまるで聞いていないように冷たい返事で作業を終え、淀んだ間を隠した。
もう何もかも興味をなくしたように黙りこくって、足場に転がる武道とロベルトを見下ろし、彼らを蹴り落とそうとする。
「おやすみ」
別れの挨拶が洞窟に響いた。その時——。
「イリヤ、戻ってきてくれ!!」
また誰かの呼ぶ声に、少年はとうとう表情を歪めた。
すんでで誉の存在を認識したものの、これまで皆の声を聞いてきたからか、武道に麻痺させられた片足だけでは直ぐに体制を変えるほど踏ん張りがきかなかった所為か、その両方か——。
ついに飛びつかれるのを許してしまい、少年は横に倒れた。受け身を取った腕に痛みを走らせていると、誉は目の前に相手がいると言うのに叫んでいた。
「戻って来て欲しいというのは、俺の……俺達の我儘かもしれない。イリヤにとって夢の中の方が幸せなのかもしれない、それでも——」
「うるさいッ!」
伸し掛かってくる誉の腹を膝蹴りして、少年は奥底に湧き上がる迷いを払うように立ち上がった。しかし奇妙な眩暈を覚えた。
夢の底へ沈んでいたイリヤの意志が、喉奥に留まる異物を、彼女の残滓を拒絶しだしたのだ。
「くらくらする。なんで……?」
いよいよ身体さえ思い通りにならず、少年は自らの頭をガシガシ叩き始める。そんな彼の耳にロベルトのうわ言が入ってきた。
「さぁ……帰るよ、イーリャ」
「いやだ帰らない…………、やだ、やだよ、僕はここがいい! 目を覚ましたくないんだ!」
「それでも!!」自傷を止めるように、誉の手が少年の腕を掴んだ。絶対に離さないと目を見て続ける。
「俺はイリヤに戻ってきて欲しい。大切な友達なんだ!」
「誉さん——、僕は、だって僕は……」
膝がガクガク震えて止まらず、その場に崩れようとした時、支えてくれたのは夢の中の恋人ではない、誉だった。
当然だ、想いを寄せている人は恋人じゃない。両親はもういない。兄達は微笑わない。
「…………そ、か……」
イリヤは理解した。これが受け入れようとせずに逃げた現実。自分の生きる世界なのだ。
——お前がずっと一緒に居たいのは、兄さんたちなんだろ。だったらちゃんと向き合え。
それを拒絶と思いこんだのは、自分がそうするのを怖がっていたからだ。自覚した途端に、消えていた熱が誉の手から伝わっていく。
「戻ってこいイリヤ! 俺達の所へ……! また一緒に笑い合いたいんだ!」
誉の声と表情はロベルトがくれた言葉を、イリヤに飲みこませる。温かさがじんわりと広がるように、寝子島にきて数ヶ月の間の記憶が溢れ出した。
新しい居場所になった街。ミルクホールと学校と、様々な人々。その最後に、夢の世界には無かったものを見つけた。
康子だ。
イリヤの記憶の奥で、叔母は刀の計らいでオープンスクールにきてくれた時の笑顔で待っていてくれた。
いつの間にか溢れていた涙が嗚咽もなく溢れ出した時、イリヤは下から伸ばされる英二の掌を見た。
「イリヤ君、僕達と一緒に目覚めよう」
皆へ向かって足を踏み出せば、弦月たちの眉を下げた笑顔も見える。ゆっくりと首を回して誉を伺うと、誉の方は何かに気がついて笑いながら「後ろ」と示してきた。
「ほら、上手くいかない。ガラじゃないんだよ文化系だから」
ため息混じりで、泉が正面をきって顔を出した。
「やっと見つけた」
伸ばされた手をイリヤは拒否せず受け入れる。撫でるように触れられた頭頂部からじわりと髪の色が戻り、肌に赤みがさした。いつの間にか蛇の姿が洞窟から消え失せている。
武道とロベルトは駆けつけた夏夜たちが既に運び出す準備をしていた。
「死なれてたまるか!」
誉が「良かった」と手を離し肩の荷を下ろした途端、イリヤが膝をついて激しく咳き込む。その仕草で過去に経験に類似を覚えた泉が「吐きたい?」と質問すると、懸命に頷いた。
「奥に……何か変……! 苦し……」
泉は激しい呼吸を繰り返すイリヤを抱えて鳩尾を刺激し、唇を抉じ開けて指を捩込む。吐いた液体は赤く誉をぞっとさせたが、同時に喉に詰まった何かが吐き出て転がり、紅緒たちの前まで落ちていった。
暗くてよく分からない。丸い、何かの木の実のような——。
目を凝らした途端、それは酸をかけられたかのようにどろりと消え失せた。
混乱する彼女たちの上で、イリヤは意識を取り戻し始めている。
「何これ。口の中が……苦くて……甘いよ?」
惚けた唇についているのは誉が想像した血でも、吐瀉物でもない。泉はイリヤの口元を指先で拭い、鼻をついた独特の香りに眉を寄せた。
「これ、マジに酒じゃね?」
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担当ゲームマスター
東安曇
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
13人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月04日
参加申し込みの期限
2016年07月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月11日 11時00分
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