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デイ・トリッパー 〜赤い調香師〜
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「夢の中ってことで、我慢して下さい!」
英二は謝りながら片手で犠牲者を引き摺って出口を目指している。セーターと上着を巻きつけたもう片方で蛇を払いながらだから、スピードは遅かったが、動きが派手になってしまったお陰で夏夜が見つけてくれた。
すぐさまシールを貼り付けている彼へ、紅緒が首を回した。
「残りは足りそうですの?」
「見えているので全部なら……」
夏夜は咄嗟に白い少年を頭数に入れていた。彼も被害者の一人だ、現段階の優先順位は低いが助けてやらなければ——。
「今は何処に」
洞窟の奥。
光が届き辛い方へ目を凝らすと、白い影がぴょんぴょん跳ねているのが見えた。
「ねえねえ見えないっ! 邪魔だよ」
少年が怒っているのは、真剣を振る櫻や上着を巻いた腕で蛇を払い退けている刀へだ。犠牲者の救助を邪魔したいのに、彼らが少年への道をひらこうとする動きが派手で視界不良らしい。
「どーいーてー!」
抗議しても聞いてくれないと分かると、結局自力で大きな石によじ登って頂上までたどり着き、膝についた汚れを払った。
「Ну хвалите меня!」
やりきった顔でいたのも束の間、誰の声も返ってこないのが分かると、途端に眉を吊り上げた。
「皆つまんない! 意地悪ばっかりする!」まるで相手にされない子供がヒステリーを起こしたように叫びだした。
「意地悪されると僕もっと意地悪の気分になっちゃうよ!」
空を切って振り下ろした腕が櫻を示した瞬間、彼女へ向かって氷塊が飛んだ。蛇に気を取られていた彼女の肩にそれが掠った時には、次の氷塊が付近にいた刀の足を貫いていた。
刀の方は完全に食らっており、一瞬にして抜けていく力に片膝をついてしまう。
「おい大丈……くっ……!」
気遣い、手を伸ばした途端に櫻は激痛に苛まれた。すぐに傷口を抑えたが、指の間から血が溢れてくる。氷は彼女の肩を掠ったのではない。
「抉られたか! あの少年——」
「やばいな……!」
二人は少年を見上げたが、その間も蛇の数は減らないのだから、敵のどちらか一方にしか対応は出来ない。
「櫻ちゃん!」武道が必死に蛇をかき分け恋人のもとへ辿りつこうとするのを、少年は嗤い、なおも攻撃を加え続けた。
「はははっ! ねえ武道さん、夢の中で死んだ人はどうなっちゃうのかな? 早くしないと愛する人たちが死んじゃうよ? 急いであげて?」
煽る声に武道が歯を噛み締めた時、天懸が櫻たちと少年の間に割って入った。
天懸は刹那の間、集中して、向かってきた氷を掴んだ。氷の鋭さは掌を突き破る勢いで、その冷たさも天懸を苦しめたが、悲鳴をあげるよりがむしゃらに投げ返した。
野球の要領でと思い描いてみたものの、不安定な足場は綺麗なスタンスを取らせてくれず、うまく踏ん張れない所為で球は狙いを逸れてしまった。
だが足元に返されたから、少年は自分が狙われたことを理解したようだ。
「……何それ。つまんない」
眉を寄せて今度は天懸を示した。
(来る!)
次の球も投げ返そうと思ったが、氷塊は守備練習の時のように連続で飛んでくる。
「今のは、武道さんが! カッコよく助けに行くところでしょう?」
天懸が狙い撃ちにされるのを遠景にして、救助を手伝っていたロベルトは「ごめんここまで」と最後の一人へろっこんをかけるや、白い少年の方へ走り始めた。
「僕も行きます!」弦月が動き出す。
動いたのはたった二人。だがバランスは著しく変化した。
「痛ッ……!!」
蛇を惹きつける役をしていた翠響の悲鳴が上がったのに、場の空気が凍る。
皆少年と救助に気を取られて彼女を気にしていなかったから、何が起こったのか分からない。声のした方を見て翠響を探す仲間へ、いち早く近づけた音春の声が響いた。
「この子噛まれたっぽい!」
「神経毒か——!」修の推察に、英二が頷く。
「シールを貼るから運び出して」
夏夜の声に二人は翠響を助けようと急ぎ走って行く。
好転していた状況は、急に最悪へ近づきつつあった。紅緒は歯を軋ませて、『もしも』を口に出していた。
「あの二人が居れば……!」
「それは兄さんたちのこと?」
白い少年が突然声をかけてきた。意識は半端な状態でも大事なものに反応したのだ。左腕に這う蛇のうなじを右の指先でついと撫でる。
「そうだね、兄さんたちなら相性が悪かったな」
「所詮弟、兄には敵わないものですわね。あの二人は馬鹿だけれど、貴方みたいに我儘な甘ったれの餓鬼じゃありませんもの」
「僕は子供じゃない!」
「そうかしら?」
紅緒は退屈そうに相槌し、綺麗に施されたネイルを僅かな光りの方へ向けて見ながら鼻で笑った。煽り出したと気づいた夏夜はさっと前に立つ。
「無理をしないように」「大丈夫」紅緒は小声で答えて続けた。
「大人なら、話しくらい聞けますわね?」
「なんでもどうぞっ!!」
前のめりになっている少年を一瞥して密かに唇の端をあげ、紅緒は英二の質問を代弁した。
「貴方はイリヤなの?」
「хмммм ну незнаю.
だって僕はイリヤだけれど『彼女』だし、外のイリヤは夢を見てるんだもの」
「イリヤ君!」
当の英二が翠響を修に任せて一度足を止め『イリヤ』に対して呼びかけた。
「現実世界で君の身体が危険状態なんだよ」
「Да? 」
「身体が活動不能になったら、きっと『夢』も見れないと思う。だから——」
「おことわりですっ!」
少年が親指を下げると、翠響の方に集まっていた蛇の群れが、反転してこちらにやってくる。
(自分が死ぬのを理解してるのか? これ以上何を言えば——)
上着を巻きつけた腕を振り回しながら、英二は鼓動を早くしていた。
「だってイリヤの夢は幸せだから。夢の中の方がずっといいよ」
「さっきも言ってましたわね。今後の執筆の参考までに教えて頂きたいのだけれど、それはどんな夢かしら」
「Нет,Нет. Это секрет!」
少年はこれ以上はヒントをあげないとぷいっと顔を逸らしたが、紅緒はわざと反応を示さなかった。イリヤが信頼を寄せる友人が少年の方へ近づきつつあったからだ。
「わからないよ、話してくれないと」
ロベルトのいつものように気遣ってくれる優しい声に、少年は一瞬嬉しそうに目を開いて、「あのね」と声を小さくした。
「夢のイリヤは女の子なんだ」
「女の子……? 女性になっていると言う意味かい?」
「なっていると言うか、その女の子がイリヤなんだよ。
陽毬さんみたいに可愛くて、紅緒さんみたいに綺麗で、あ、でも髪型とかは去年まで一緒のクラスだったオーリャに似てるかなあ……。
夢って不思議だよね。全くイリヤとは似てないのに、イリヤはイリヤだって思ってるんだから」
「僕は今の……男の子のイーリャがいいな。友達として」
「僕だってその方が良い!
兄さんたちみたいになりたかった! 強くて、格好良くて、そういう男になりたかったよ。でもね——」
話を続ける少年の異様な輝きを放っていた銀の瞳が、イリヤと同じように深い灰色に落ちていく。
「女の子じゃなかったから。女の子じゃないから、もう可愛くないって気持ち悪いってエレーナ・アンドレーエヴナが!」
「貴方の養母ですわね」紅緒は少年に相槌をうちながら上手にロベルトに情報を与えた。
「でもその話しはおかしいわ、遠縁からわざわざ貴方を引き取った養父母なら、少なくとも見た目に惹かれていたのでは?
ただ成長して男性らしくなったからと言ってエレーナがそこまで冷たいことを言うかしら。何か他に理由があるんじゃなくて?」
「それは……イリヤが嘘つきだから」
「嘘をついたの?」
「違う! 嘘をついたのはあいつだ! でも誰も信じてくれなかった、女の子じゃないんだからそんなこと有り得ないって、『優しい良い人』なのにそんなことする訳ないって誰も信じてくれなかった! 気持ち悪かったのに、怖かったのに、嘘つきはあいつなのに!!
呪われれば良いあんな夫婦。子供が出来た? どこから? 僕が逃げる時に蹴り潰したのにさ——! あは、はは、は」
断片的に紡がれた過去でも想像し理解した紅緒は顔を顰めた。少年を止めようとする一心でついた傷は、えぐってはいけないものだった。自分は線を越えたのだ。
かつてあの双子に煽られた時と同じように激しい後悔が彼女を襲い、狂った声で嗤う『イリヤ』を「もういいわ」と止めようとする。高校生の少女に出来るのはここまでだったのだ。
同情を受けた少年は、穏やかな声で微笑んだ。
「夢の方が良いよ。可愛い女の子なら、嘘つきなんて言われない。夢の中でも兄さんたちもずっと一緒だし、お母さんもパーパもいるもの……死んじゃったって、そっちの方が幸せなら——」
陶酔するように吐かれた最後の言葉を聞いて、武道は——、武道の知る真実が彼を戦慄させた。
これ以上言わせてはいけない。必ずあの白い少年を外に連れ出してイリヤを助けなければ。
武道は漸く側に立つことが出来た櫻へ、覚悟を決めて背中を向けた。
「櫻ちゃん……ゴメン、負担でかいだろうが少しだけ蛇を頼む!」
櫻は強く頷いた。怪我を負ったのは利き腕ではない、それぐらい問題ないと頼もしく笑って見せる。
「任せろ、きっちりと守り切ってみせるさ」
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担当ゲームマスター
東安曇
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
13人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月04日
参加申し込みの期限
2016年07月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月11日 11時00分
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