うみねこで親睦を｜リアクション

うみねこで親睦を

●新年会はまだ続く

　バスケ部の練習が終わった羽生碧南は、シャワーを浴びて汗を流して、大急ぎで制服に着替えてそのまま『うみねこ』へ。
（そういえば、今年うみねこ行くのは初めてなのよね）
　そう思ったので、店の開き戸を開けるなり元気良く魚戸夫妻に新年の挨拶を。
「あけましておめでとうございます！」
「いらっしゃい、羽生さん。待ってたよ」
　頑張ってるね少年！　と総悟に軽口のを叩きながら、碧南は鞄から財布を取り出し会費を払う。

　小上がりのお座敷では、天満七星が琴の演奏を。曲目は「六段」。一度は聞いたことがある琴の定番曲だ。
　飲んで食べて騒いでと賑わっていた店内は、琴の演奏中は静かに。
　練習でお腹ペコペコな碧南も、料理を食べながら琴の音色に耳を傾けている。
（いつ来てもここのご飯はおいしい♪　幸せ♪）
　声を出してはいけないと思い、心の中で幸せをかみしめる。
「食べ過ぎて大丈夫なのだ？」
　碧南の隣に座って演奏を聞いている李小麗に「明日、朝練だし、うみねこから桜花寮まで結構あるからウォーキングしながら帰るから大丈夫よ！」とキッパリ。
　次も定番曲かと思われたが、七星が演奏したのはDOG110の「フリスビーローテーション」。
「あ、これ知ってる！」
　手にした箸をマイク代わりにし、碧南がノリノリで歌う。それに続き、小麗も歌いだす。
「お琴を聞いてくださり、ありがとうございました」
　演奏が終わると、参加者達は盛大な拍手を。
　友達が良く聞いている、何故か家に編曲された楽譜があったので、いつの間にか覚えてしまったのだとか。
「今の曲を普段使われない楽器で弾くと、とても新鮮味がありますわ」
　琴で奏でたDOG110は好評だったのは、参加者の様子を見て良くわかる。
　お店にいる皆が、楽しい時間を過ごせたようで何より。
　
「マリネと海鮮春巻き、すまし汁ができたわよ」
　待ってました！　と食いしん坊な参加者は英モニカのほうを振り向く。
　テーブルの上に置かれたすまし汁の椀を手にし、口直しとケンゾウが一口。
「うん、美味い。うちで出せるんじゃねえか？」
「ここの料理には敵わないわ。ここの食事みたいに、美味しいものを作ってみたかったんです」
　店主に「美味しい」と言ってもらえたので、モニカは嬉しくなった。
　ハルコにお店を手伝わないかと言われたので、考えておきますねと答えた。
「海鮮かき揚げ、お刺身の盛り合わせもできました」
　綾辻綾花が持ってきた料理に「待ってました！」という声が。『うみねこ』の名物が出てきたので、一部の参加者は大興奮。
　もうひとつの名物、一口かき揚げの用意もちゃんとできている。これは女性参加者お待ちかねの品だ。
「海鮮ちらし寿司の追加もできたわ」
　仙藤紫が作った料理も無くなりかけていたので、追加分を用意。

「碧南ちゃん、あんたも何か宴会芸やりなよ」
　参加者達とおしゃべりしたりする最中に、上機嫌なハルコが何かやってと言うので「それじゃあ……」と宴会芸を。
　見たことはあるが、ぶっつけ本番なのでうまくできるか不安だけど一度やってみたかったと南京玉すだれを披露することにした。
　すだれだが、仮装名人の北玄の荷物の中にあったので拝借する。
「羽生碧南、南京玉すだれします！」
　お座敷に上がると軽快なりズムに乗って歌い、竹製の専用すだれを伸ばして釣り竿の形に。
「魚釣り竿にチョイと似たり、っと♪」
　失敗するかもと思ったが、上手い具合に釣り竿のような形に仕上がった。
「ありがとうございましたー！」
　そそくさとお座敷を降り、緊張したらお腹すいちゃったとおつまみにパクつく。
「お疲れ様でした。お上手でしたよ」
　綾花がジュースが入ったコップを差し出し、碧南の宴会芸を褒めた。
「そう言ってもらえると、やった甲斐があったわ」

　その後はハルコと七星の演歌デュエット、総悟の竹刀による剣舞などの宴会芸が披露された。
「僕もまだまだやるですよ！」
　玄の多種多様なアクロバティックポージングで、店内はより一層盛り上がった。

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