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プロムナードの夜
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華露蘿が最初に付いたテーブルは、税理士と中小企業の社長という組み合わせだった。
いずれも男性、逆三角形のカマキリみたいな顔をした税理士も、対称的に丸いサンショウウオみたいな社長も、そろって五十代くらいと思われる。サンショウウオのほうは、夕顔とは馴染みのようであった。
「やあ、夕顔ちゃん。こちら、うちの会社の顧問をやってもらってる税理士の先生で……」
「はじめまして。夕顔と申します」
お定まりの名刺交換があって、それをぼんやりと華露蘿は眺めていたのだが、
「こちら、体験入店の瑠住ちゃん。今日が初めてなんですよ」
と急に夕顔に紹介され、「はいっ!」と新兵みたいに直立不動になった。
「元気な子だなあ」
サンショウウオ社長はガハハと笑いだした。「どうも」と華露蘿は硬い笑顔を見せる。
ところがその一方で、
「ああ、そう」
カマキリ税理士のほうは素っ気ない反応である。ふん、と鼻で笑った。
――感じ悪っ!
華露蘿はそう思うも、面に出さないようにして愛想笑いを返すのだ。
席に座ってすぐ、
「あ……えーっと、ご注文は?」
と華露蘿が問いかけたところ、唐突に沈黙が訪れた。
えっ、という顔をする社長、
黙ったまま冷たい目で、こちらを見てくる税理士、
いずれも黙っている。
――あれ、まずかったかな……?
内心焦りながら華露蘿が夕顔を見ると、彼女は落ち着いて、
「やる気いっぱいね。瑠住ちゃん」
と優しく言ってくれた。
「でもね、社長さんの好みならわかっているから……ほら」
優雅はこのときとっくに、グラスに注いだ焼酎に水を足し、くるりとステアーしていたのであった。
「うわ夕顔さん早っ! さすが!」
もう夕顔さんが行動を起こしているのに、「注文は?」なんて訊いたのはマヌケだったかー! と華露蘿は内心忸怩たるものがあるのだが、夕顔がちゃんとフォローしてくれた。
「大丈夫、基本はそれでいいのよ。私が早かったのは、いつもお世話になっている社長さんが来てくれて、ちょっと張り切っちゃっただけだから」
それを聞いて社長もまんざらでもないような顔をしている。華露蘿は舌を巻くばかりだ。自分をフォローすると同時に社長を持ち上げるとは……!
「社長さんがいつもお好みの分量ね。氷は、少なめ」
夕顔は社長にグラスを手渡し、
「先生はビールでいいかしら?」
と税理士に聞いた。なるほど、注文を取るときもああして尋ねるべきなのか――華露蘿は心のメモ帳にこのことを記しておく。
華露蘿もこのあたりで行動すべきだろう。
「お注ぎします」
すかさずビール瓶を取った。
瓶を右手でつかみ左手で支えるのはもちろん、持ち上げつつするりと回転させてラベルを上にし、さらには税理士が手にしたコップの、縁には絶対に触れぬようにして静かに注ぐ。さらに後半で勢いをつけて、綺麗な泡が立つようにした。あふれる寸前で終了。できた! これぞ、開店前に夕顔から伝授されたビール注ぎの極意だ。完璧ではないかもしれないがそれなりに成功したと思う。
カマキリもこれには多少なりとも感心したようで、「うん」と鷹揚に言うと、華露蘿から瓶を取って逆に向けた。
「ほら」
「え? 僕も飲むの?」
お仕事中だけどいいのかな――きょとんとして華露蘿が振り向くと、「あらあら」と夕顔は微笑んだ。
「もちろんいいのよ。宴会ですもの」
なるほどキャバ嬢というのも、悪い仕事ではないような気がしてきた。そこで華露蘿はあっけらかんと言ったのである。
「じゃあ、ビールじゃなくて芋焼酎のロックでお願いしまーす」
まず吹きだしたのは社長だった。またもやガハハ笑いで彼は言う。
「面白い子だなぁ。自由でいいよ、うん」
もしかして、勧められたものをそのままもらうのが礼儀だったのかな――。
けれど、またもや冷たい目をするかと思いきや、税理士は、
「いや、いい。やらせてくれ」
準備しようとする夕顔を制して、多少雑ながらも焼酎をグラスに入れ、氷を足してくれたのである。
「どうも、ありがとうございまーす」
華露蘿が受け取って、すぐに乾杯となった。
乾杯についても華露蘿は夕顔の教えの通り、グラスをうんと下げて、二人の客よりも低い位置で合わせるようにしている。これが礼儀だということだ。世の中、意味不明なルールが多いものである。
サンショウウオとカマキリがまだちびちび呑んでいるというのにもう華露蘿は、一気にグラスを空けていた。
美味い。
安物の焼酎なのは確かだが、緊張で硬くなった四肢に、ぐんぐんと血液を送ってくれるように思う。
だから、思わず口から漏れてしまった。
「ぷはー! 生き返るな~!」
と。
……もしかしてこれもアウト? と気になって華露蘿は見回したが、社長も夕顔も笑っているので良さそうである。あのカマキリも、「天真爛漫でいいことだ」となどとすまし顔で言ってグラスを傾けている。
夕顔と社長が話している間、税理士が華露蘿に話しかけてきた。
「体験入店ということだが、君は普段、なにをやってるんだ?」
「え? 僕……じゃなくて私ですか? 販売業、です」
「下着か何かの?」
「まさか! 文房具です」
「文房具? 詳しいのかな」
むしろマニアなんです! とはさすがに言いづらいので控えめな回答にしておいた。
「まあ、普通の人よりは……」
「それはそれは……」
カマキリの口調が緩んだように聞こえた。仕事柄、毎日文具に触れているからだろうか。
彼は自分の鞄からペンを一本抜き取って見せてくれた。
「俺も文具にはこだわりがあってな。最近入手したこのペンなんだが……」
途端に華露蘿の目が輝いた。よだれを垂らさんばかりの表情でペンを見つめ、声を震わせたのである。
「それ、『ストリームアタック』の高級版じゃないですか!」
ストリームアタックというのは商品名、格安ながら抜群の書き味を誇る油性ボールペンだ。目を見張るなめらかさとインクのノリは、これまでのボールペンの常識を遙かに上回り、新時代のスタンダードと呼ばれている。
彼が手にしているのは、満を持して登場したストリームアタックの新製品だ。流線型フォルムのステンレス製、書き味もさらに向上したという噂の、華露蘿も大注目の高級バージョンなのである。
「まだ一般発売されてないのにっ!」
ペンを貸してもらって、華露蘿はため息交じりに回して眺める。
「顧問先に、販売元の下請け工場があってな」
カマキリは煙草をくわえた。
そうして火も付けず、しばらく華露蘿を見ている。
華露蘿はそんな彼に気づかず、「うわーい」と伝票用紙でストリームアタックの試し書きをしていたがようやく我に返って、
「あ、火をつけるの?」
とペンを握ったまま言った。
「えーっと、ごめんなさい。僕、ライターって使ったことないんだ……どうすればいいのかな?」
「大丈夫よ。ほら、こんな風に、ね?」
すかさず夕顔が、テーブルからライターを取って税理士の煙草に火を付けていた。
「ごめんなさいね」
夕顔は頭を下げる反面、華露蘿を叱ったり、たしなめたりするようなことをしない。客が二人とも、
「フレッシュだなあ」
「珍しいものだ」
と華露蘿を気に入っている様子なのを感じ取っているからだろうか。
華露蘿とカマキリ顔の税理士は、その後もボールペンの銘柄の話で盛り上がった。どうやら彼は、本当に文房具にこだわりがあるものらしい。
やがて時間が来て、去り際、
「ほしかったらやるよ」
税理士は「まだあるから」と、華露蘿の手にストリームアタックを握らせてくれた。それも華露蘿の両手を取り、しっかりと握らせるようにして。
「いいんですかっ!?」
「君みたいに素敵な子に使ってもらえたほうが、ペンも喜ぶだろう」
さらりとそんなことを言うのが心憎い。
「あ、あははは……ありがと。そんなこと言われたのはじめてだよ」
いま、口説かれたのだろうか……?
それとも単に彼が、文具好き同士の親愛の情を示しただけか。
いずれにせよ、と華露蘿は思った。
――最初は、感じ悪っ、と思ったのに。
今ではあの税理士を、「いい人だ」と考えている自分がいる。
人を第一印象だけで判断するべからず、このテーブルで、そんなことを学んだような気がした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月05日
参加申し込みの期限
2016年06月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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