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プロムナードの夜
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コンセントが繋がれた。
表の看板、『クラブ・プロムナード』のネオン文字が一度点灯し、一度消えてまた浮かび上がる。
それはこのキャットロードにある、無数の看板のひとつかもしれない。
けれどもこの文字がなければ、誰が店を見つけられよう。
夕方6時を回ると、シーサイドタウンには甘い香りが漂いはじめ、8時頃には一旦ピークとなる。仕事が終わるなり宴会を始めた集団が、最初の店を出る時分だからである。
帰路につく者がある。二次会へ向かう者も。
そして二次会に向かう者のうちある一定の割合が、キャットロードの、しかも裏通りに向かっていく。
キャバクラに行こう、と言いだしたのは上司だった。
居酒屋を出てすぐの発言である。
その日の飲み会は八人ばかり参加者がいたはずだが、宴の進行とともに一人消え二人消えして、彼が呼びかけたときにはもう、自身を含めても四人しかその場には残っていなかった。
室内だけ小糠雨が降っているような飲み会だった。
予約も取らず飛び込んだ店は貧相で暗く、会話もさして盛り上がらなかった。そもそも飲み会という名称自体、適切なのかどうか怪しかった。ただその日の夕頃、飲みに行かないかと上司が言い出して、課のメンバーを強引に巻き込んだだけのものなのだ。
呼びかけられた三人のうち二人は、先を譲りあうように視線を交わし、やがておずおずと「明日親戚が来ますので」「子どもの参観日で」といったような、今考えたばかりにしてももう少しリアリティがあってもよさそうな言い訳をつぶやき、しかも語尾を濁しながら後ろ足に下がりはじめた。
「いいじゃないか。少しだから、ほんの少し……行こうよ」
さっき飲んだビールは生ぬるい水のようだったが、酒は酒なのである。アルコールが入っているせいか、日頃寡黙な上司の舌は常になくなめらかだった。けれども、
「失礼します!」
「それではまた!」
部下二人はタイミングでもはかっていたかのように同時に言い、逃げるようにして姿を消してしまった。
風船の紐を手放してしまった幼児のような顔をして、残った一人を上司は振り返った。
「日向くんは……行くよな?」
日向 透
は黙ったまま考える。
――そんなにキャバクラなどに行きたいものだろうか。
上司はたしか五十歳半ばのはずだ。言葉数こそ少ないが、昼間はそこそこ有能な人間である。それなりの肩書もある。そんなご立派なオトナが、今さら若い女の子にちやほやされて擬似恋愛に酔って、楽しいわけでもなかろうに。
しかし彼の目、懇願するような色を見て透は察した。
上司はキャバクラに行きたいのではない。家に帰りたくないだけなのだ。
そういえば飲みながらの雑談のおり、二人の娘はともに受験生で、妻とはあまり会話がないと、冗談めかして言っていたっけ――要するにこの上司は、早く帰宅しても居場所がないのだろう。自分の家だというのに。
一人で行けばいいだろう、という気もしないでもないが、彼にはきっと、『部下が行きたがって』という言い訳が必要なのだと気がついた。理由がないとキャバクラにも行けないのだ。それを悲しさと見ていいのか、実直さと見るべきか。
いずれにせよ透にとっては、ここまでのやりとりは小気味いい観察対象ではあった。この上司は、心を休めるべき家庭に絶望しているのだ。哀れで、惨めな男なのだ。
透は決めた。
「いいですね。行きましょう」
溺れる蟻に、葉っぱの船をさしかけるように言う。
――まぁ、適当に過ごしますか。
惨めな男が少しでも現実逃避するのに、手を貸してやるのも悪くない。たまには。
店構えの上品さから、透は『プロムナード』を選んだ。
思った通りだ。入ってみると店は新しく、清掃が行き届いていて気持ちがいい。外側を整えようとしない店は、概して中身も酷い場合が多い。
照明は控えめ、BGMも流れてはいるがムーディなスロージャズで上品な印象を受ける。入り口に飾られた花も、毎日取り替えられているようだ。
悪くない。透は思う。むしろ、好みに近い。
キャバクラ行きを提案したのは自分だというのに、上司はこういった店に慣れていないのか、そわそわしながら透の決定を仰ぐような顔をした。どちらが上司なんだか――と透は内心ではぼやきつつ、爽やかな笑顔で黒服店員に告げた。
「この店は初めてなんです。座ってくれる人は、お任せでお願いします」
猫かぶりして腰を低く、慇懃な口調を心がけたのは、こうしたとき、店員に愛想よくして好印象を与えておいたほうが、いい席、人気の嬢を回してもらえる可能性が高いというのを透は知っているからである。世の中には店員と見ると横柄な口を聞きたがる愚かな客がいるが、そうした者は相手も人間だということを忘れており、その結果、知らず知らずのうちに損をすることになる。(まあ、愚か者だから損をしていることに気づくこともないのだが)
読みは間違っていなかった。
「こんばんは、
泰葉(やすは)
と言います。よろしくお願いします」
やってきたのは、きらきらと輝くような女性であった。年齢は二十代半ばくらいであろうか。セミロングの髪を綺麗な茶髪にして、小さなピアスを両耳にしている。突出して美人というわけではないものの、親しみやすい顔立ちだった。
透はひと目で見抜いていた。彼女の靴もドレスも、それぞれでサラリーマンの月収など軽く飛んでしまいそうな高級品だと。腕時計に至っては、その三倍はしかねない。けれども彼女はそれらを目立たぬように身につけている。
透は彼女が、店のナンバーワンなのだと直感した(後で確認したところ、まさしくその通りだった)。おそらくは同伴出勤のタイミングが開けたばかりだろう。指名料なしでナンバーワン嬢に来てもらえるとは僥倖である。
泰葉は座って挨拶するや、そっと名刺を取り出した。
こういう展開が待っていると知らなかったのだろう。上司は驚いている様子だが、透はごく当たり前に受け取って。ごく当たり前に自分の名刺を返した。といっても武士の情け、透はわざとゆっくりと名刺を出して、上司が準備する時間を作ってやる。本来なら名刺交換は上役から行うべきだろうが、ここは上司に恥をかかせないほうを優先した。
泰葉のほうも心得たもので、そのことを指摘したりしない。しかし、
「慣れてらっしゃるんですね」
と、さりげなく告げてくれた。
「そうですか」
にこやかに透は返した。これは作った笑顔ではない。自然に現れたものだ。泰葉には、こちらに笑みを起こさせる引力がある。
上司のほうは、家に帰らず酒が飲めればそれでいいらしい。嬉しそうではあるが、積極的に話そうとはしない。
そこで必然的に、彼女と話すのは透の役割となった。
「こんな可愛らしい方にフリーで来てもらえて、嬉しいですね」
「お上手ですね。やっぱり、慣れてらっしゃる」
「まさか。数年ぶりですよ」
「金融会社の、とりわけ忙しい部門ですもんね」
透は、おや、という顔になった。彼女は名刺の社名はもちろん、所属部署名まで読んでいたらしい。
「ご存知で?」
「ここには色々な業界の人が来ますから……自然に覚えたというか」
具体的に社名を口にしたり、どの業界のどういう人から得た情報であるとか、そういったソースは決して明かさないものの、こういう仕事なんでしょう、と、ごく軽く知識を披露して、当てずっぽうで言ったのではないことを泰葉は証明した。しかも話しながら、きっちり透と上司の分のドリンクを作っている。
透は内心舌を巻いた。
彼女は、頭がいい。しかもそれが、嫌味にならないよう細心の注意を払っている。
会話のもっていきかたも巧みだ。泰葉は聞き役に徹してできるだけ透に話させ、しかも随所随所で「そうなんですか?」と上司に振って返答を得ることを忘れない。こうやって上司を立てるのは、透の立場に配慮しているからだ。
泰葉は馴れ馴れしくならないよう、少しずつではあるが口調を、くだけたものへと変えていった。
透もつい、胸襟をひらいていく。
「最近、残業続きでね。見かねた上司が息抜きに連れてきてくれたんですが、こういう場は久しぶりなので緊張しますね」
そんな愚痴めいた言葉が出てしまったのも、彼女が相手だからかもしれない。
「本当にお疲れ様です。忙しいのは、経済の中心にいるからですもんね。ビジネスの最前線、という感じで本当に憧れます。私には応援しかできないけど……」
「ありがとうございます。でも、大変なのはどんな仕事でもそうですしね……こういうお仕事も大変でしょう?」
すると明るく、ニコッと笑んで泰葉は答えたのである。
「そんなことないです。私、好きでやってますから」
グラスの中の氷が溶けて、カランと軽く一回りした。
「ごめんなさい。時間ですね」
眉を八の字にして泰葉は言った。印象的な表情だ。意識的にやっているのだろうとは透も思うのだが、釣られて名残惜しくなってしまう。
「あ……うん、また」
もう20分経ったとは――透は驚いた。まさしくあっという間だった。
「またお会いすることがあったら、今度はパーソナルなこともうかがいたいですね」
一礼して泰葉はテーブルを移った。これがまた心憎い。彼女は決して、「またお店に来て下さい」「お待ちしてます」といった営業丸だしの常套句は使わなかった。ただ、そこにいたという体温と、余韻だけを残して去ったのだった。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月05日
参加申し込みの期限
2016年06月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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