プロムナードの夜｜リアクション

プロムナードの夜

　冬の夜は、躊躇をしない。
　夏の夜が宵闇を孕み、ゆっくりと羽化していくのに比べれば、冬はそこに廻転舞台でもあるかのように、夕の訪れを知るやたちまちにして、透き通った墨色のベールを身に帯びる。
　けれどもシーサイドタウン、とりわけキャットロードの裏通りにおいては、夜はむしろ光の栄養素であるかに見えよう。ネオンの華は夜の訪れとともに、息を吹き返したかのごとくぽつぽつと咲き始めるのである。
　水色、桃色、白、黄色、様々な輝きはやがて、ガラス管で編んだ光のブーケとなった。

　底冷えする一月の夕、キャットロードに並んだブーケのひとつ、そこには『クラブ・プロムナード』という文字が躍っている。

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