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プロムナードの夜
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あんなと志波高久、信多蹴次のテーブルはどうなっているだろうか。
……あまり良い状態ではなかった。あんなの話題が尽きたようなのである。
場に、ぽっかりと空いた穴のような沈黙が流れていた。
あんなは、どうしよう、といった風に落ち着かない様子で下を向いていた。
蹴次のほうは酒が強いほうではないこともあり、もう半分眠ったような目をしている。
となれば、ここでどうにかするのは自分の役目だとばかりに、高久は会話の糸口を探した。五、六歳ほど年下の女子に、適切な話題とはどういうものか――。
「テ……」
ところが先に、なぜか両手を握りしめながらあんなが言ったのだった。
「テレビとか、見るっすか!? 志波さん、って」
無難な話題ではあろう。しかし残念ながらそれは、高久には不向きだ。
「そうだな……テレビを見るにしても、スポーツニュースくらいでな……」
このままでは会話が終わってしまう――高久は一計を巡らす。そこで、
「なにか最近話題になっているテレビ番組や、おすすめのドラマはあるだろうか」
と質問した。
なにか心に期していたものでもあるのか、それを聞くやあんなは嬉しげに顔を上げた。
「あるっす! テレビじゃなくて映画っすけど、チョー推薦のやつが!」
そこからまくし立てるように言う。
「志波さん、『ジカチュー』って映画知ってるっすか? たしか、『時間の凍った街の中心で君にシャウト』ってのが正式名の、チョー泣ける映画っすよ。ちょっと前の映画なんすけど、最近またリバイバル上映やってるみたいっす。主人公の台詞が流行ったっすよねぇ~、『だずげでぐだざーい! だずげでぐだざーい!』」
あんなとしては、ここでドカンと受けて盛り上げるつもりだったのだろうが、悲しいかな高久は首をかしげるばかりである。
「題名だけはなんとなく聞いたことがあるんだが……」
あんなの言うタイトルにも違和感があった。『凍った』とか、『シャウト』とか、そんな単語は含まれていなかった気がする。されど高久としても、そこは自信がないので言わないでおいた。
「そっすかー。でも、かなり泣けるんでお勧めっす」
「泣ける、か……」
そういえば、最後に泣いたのはいつだったか。
「あたしなんてボロボロ泣いちゃったっす。メイクが落ちるくらい。映画が終わった後、マスカラが流れ落ちてパンダみたいになっちゃってー」
「パンダ?」
思わず高久は笑ってしまった。あんながパンダみたいになった姿を想像したからではない。彼女の、あまりに純朴なところをほほえましく思ったからだった。
するとあんなも嬉しそうに、
「そ、パンダっす。もち、トイレ駆け込んで直したっすよ、その後! パンダフェイスで帰ったりしてないから!」
となぜか武勇伝のように語るのである。これでまた、会話が転がり始めた。高久は安心して、今度はあんなのことに話を向けてみた。
「まだ日が浅いようだが、このお店で働くきっかけは何だ?」
「あたしの? そっすねー、まあ、もうバレバレだと思うけど、あたしバカなんでー」
「そんなことはない。正直だとは思うけど、バカなんてことはないだろう」
「へへ、ありがとっす……」
ぐいとグラスを傾けて、あんなはまっすぐに高久を見た。
「ちょっと、自分語り入っていいっすか?」
「聞きたいな」
「あたしの実家、すっげー貧乏なんすよ。小学校のときから朝ごはんなんて週に一回くらいしかなかったし、晩はいつもカップラーメンかスーパーの半額パンで、だから、まともに食べられる昼の給食がマジ毎日楽しみだったっす。一日の栄養は給食頼りだったっていうかー……その給食費もろくろく払ってなかったんすけどね……」
半分笑い話みたいにあんなは言うが、おそらく本当のことなのだろう。笑顔だったが、悲しそうに見えた。
「その後多少はマシになって高校までなんとか行けたんすけど、家やっぱ苦しいみたいだったから、それより上……短大とか専門学校っすね、には行けるはずなくて、でも、女の高卒で雇ってくれるとこなんてまともになくて」
といっても、最初から水商売を目指したわけではないとあんなは言った。
「あたしほら、コミュ障ハッショーしてるっていうか、マジ挙動不審? みたいなとこあるんで、接客商売ゼッタイ向いてないって思って、学校出てすぐは福祉のギョーカイ入ったんす。老人ホームとか」
高久もある程度は知っている。福祉関係は万年人手不足なのだ。すぐに入ることができただろう。
「でも入ったところが最悪だったっす。上司のセクハラとかねー、あと、先輩職員のイジメがハンパなくって……身を守るためってこともあって、少しだけ顔がイケてる男の先輩と付き合ってみたけど、こいつが女に超だらしないやつで……わかるでしょ? まあ、バカなあたしがそのことに気付くのにはだいぶ時間がかかったんすけど」
「すまない。話すのがつらいなら、やめてくれていいんだ」
「そんなことないっす。ていうより聞いてほしいっす! あ、もしかして、少しだけ顔がイケてる男の先輩ってのが気になったっすか!? 全然大したことなかったっす! 志波さんのほうが100倍カッコイイっすー!」
「はは、よしてくれよ、そんな……」
カッコイイと言われるのは悪い気がしなかったが、さすがにこう迷わず褒められると、照れる。
「で、最初に務めた福祉施設の仕事のことなんすけど、おじいちゃんおばあちゃんの世話するのは嫌じゃなかったんで、本当は続けたかったんすよ。でも他の嫌なことが多すぎたせいで結局、最初のとこは一年で心が折れちゃって辞めて、それからしばらくは同じ業界転々としたけど、他も似たり寄ったりのとこばっかで……どうもあたし、クジ運が悪いみたいで」
「それで、キャバクラに入ることにしたわけか」
「そうっす。先月から」
「だがこの仕事も、セクハラとか……そんな目に遭うこともあるんじゃないか」
ところがあんなは首を振った。
「そりゃ、ときどき勘違いしてるお客さんとかいるけど、前にいた職場よかよっぽどマシっす。なにより精神的にキツいこと言われないっすからねー。それに、あんまりヒドいやつは夕顔のねーさんが追っ払ってくれるからこの店では安心っす。あ、夕顔さんってのはこの店の先輩っす。マジ超美人で性格も優しいんすけど、怒るとムチャクチャ迫力があるんすよー!」
「そうか……なら、ここで頑張ってほしいな」
「サンキュっす。今日は初の指名をもらっちゃったんで、記念日として覚えておくっすよー」
ここまでニコニコと、尻尾を振る子犬みたいに話していたあんなだったが、突然「あ!」と言って口に手を当てた。
「しまった……あたし、プロフィールに『大学生』って書いてたはずっす……ホントのことポロッと言っちゃった……!」
「そういえば」
あんなはしょぼんと首を垂れて言う。
「大学に行ってる、ってことにしたのはあたしの見栄っす。あと、現役女子大生ってブランドに引かれるお客さんもいるかなー、なんて浅はかなこと考えてました……書き換えておかなくちゃ」
嘘ついてすいません、と頭を下げる彼女に、いいんだ、と高久は手を振った。
「俺は気にしてない。落ち込まないでほしい」
「志波さん……ほんと、人間がデカいっていうか……マジ男前っす。そういや、志波さんの仕事は?」
「俺の仕事?」
訊かれるとは思っていなかったので、やや戸惑いながら高久は言葉を濁した。
「あぁ……スポーツ系でちょっと、な」
蹴次のほうを見て、指をそっと立て『内緒だ』と言外で告げておく。せっかくここまで楽しく話しているのだ。競輪選手だと露呈すれば、またあんなが萎縮してしまうかもしれない。
「通りでいい体してるハズっす! 休みの日は登山とかしてそうっすね」
「はは、まあ、そんなところだ」
ここでのっそりと蹴次が身を起こした。
「なあ、俺も話に混ぜてくれよー」
「もちろんっす! お二人は、どんな関係っすかー?」
「おうよ、高校時代の同級生ってやつだ」
蹴次はなぜか、顎に手を当ててにやりと笑う。
「まぁ、わんぱくな高校時代だったな俺たちは」
という高久に呼応して、
「そうだな、最近でも、高校時代の担任に『
ちゃんと
社会人をやってるんだろうな?』って太字のメッセージをもらっちまったぜい」
蹴次はカカカと高笑いした。
高校といえば、と高久はあんなに訊く。
「君は寝子高出身、だろうか?」
「いえ、島外っす。何番目かの仕事で寝子島に渡ってきて、そこを辞めてここに入ったんでー」
「じゃあ、いつかは地元に帰る?」
「わかんないっす。寝子島のこと気に入ったんで、こっちでいい人でも見つかったら、永久就職してもいいかもしんないすねー……へへ、永久就職、古いかもしれないけどちょっと言ってみたくなる言葉っすね」
「ほほう。ところで俺もこいつも、なにを隠そう独り身でな」
またも顎に手を置くポーズで蹴次が言った。
「こら、つまんないこと言うな!」
「へー、だったらあたし……」
とあんなが言ったところで時間となった。
なので彼女が、続けて何を言うつもりだったかはわからなかった。
「ありがとう、楽しい時間だった」
「こちらこそ、最高だったっす!」
最初のガチガチぶりとはまるで違う声だった。
「じゃあ、また来て下さいっす。おふたりと話せて超楽しかったすー」
「そうだ、俺たちはこの後飲み直すが……」
思い切って高久は言った。
「君もどうだろうか? 暑苦しい男二人と一緒でよければ、の話だがな」
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桂木京介
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ゴールドシナリオ(200)
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3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月05日
参加申し込みの期限
2016年06月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月12日 11時00分
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