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プロムナードの夜
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キャバ嬢というのは皆源氏名であるし、素性についてもあまり語りたがらない。特に最近は、悪質なストーカーがついたりするのでおいそれと個人情報は明かせないのだろう。だからある意味謎の人ばかりとなるのだが、九鬼姫に関しては謎なんてものではすまないのである。
なにせ彼女は、タイムトラベラーを自称しているのだ。
約500年前の戦国時代の姫君だったというのが彼女の主張だ。ふとしたきっかけでこの時代に来てしまった。今は行く場所がないから、生計を立てるため仕方なくここに勤務している……というストーリーを九鬼姫は自信を持って語るものの、細部はあやふやなので、はっきりいって本当なのかどうかはわからない。少なくとも、姫育ちらしく接待能力は皆無なのだけは事実で、彼女を相手にする場合、なぜか客のほうが接待させられるはめになりがちだった。ただしそれが好きで、九鬼姫ひとすじで通い詰める常連も何人かいるという話だ。
まあ本当にせよ単なるキャラ付けにせよ、どうにも浮世離れした九鬼姫とのやりとりは退屈しないので、星太郎は彼女とのひとときを毎回楽しく過ごしていた。
「久鬼姫ちゃん、こっちいらっしゃい♪」
と差し招いて、九鬼姫のために場所を作ってやる。クッションを肘かけよろしく両脇に置いて、玉座のようにして座るのが彼女の好みである。すると、
「うむ、大儀じゃ」
偉そうに、けれども嬉しそうに姫は席に着いたのだった。
まるでウィッグのような、前髪をぱっつんに切りそろえたストレートヘア。しかも髪の長さは腰のあたりまである。その一方で白みのある薄茶色にしているので、彼女にはなんとも言えぬ透明感があった。かんざしのようなアクセントは付けていない。というよりも九鬼姫がしているアクセサリーは、イミテーションとおぼしき真珠のネックレスが唯一で、あとは黒い、ぴったりとボディラインの出るドレスに窮屈そうに身を包んでいるのみなのだった。
目が涼やかなのも彼女のチャームポイントだろう。すっと凜々しい一重瞼、その眼差しは、見る人によって『気が強そう』とか『正直そう』と色々なイメージを持たれるであろう。
「星太郎、髪結いの店は順調か」
まったく敬語をつかう気がない(というよりあたかも敬語の存在を知らないかのような)口調で九鬼姫は言った。ハスキーな声ならまだしも、コロコロとした珠を転がすような声でこんな偉そうなことを言うのは、誇らしげに尻尾を立てて歩いている子猫を思わせる。
星太郎はなんともわき起こってくるおかしみをかみ殺しつつ返答する。
「おかげさまで好調よ♪ 九鬼姫ちゃんもまた来てね」
九鬼姫も美容室の常連だ。しかし彼女は髪を切りそろえる以上のカットは決して認めず、色々提案しても頑としてこのヘアスタイルを変えない。その反面茶髪にするのは構わないそうで、今の彼女の髪色は、先日星太郎がブリーチを施したばかりのものなのである。妙なこだわりがあるようだ。
やっぱりその髪色似合うわぁ、とうなずいて星太郎は言った。
「それにしてももったいないわよねぇ」
新しいグラスを置いて水割りを作ったから、出してくれるのかと思いきや、九鬼姫はこれを自分であおった。
「なんじゃいきなり」
「アンタ和風アレンジのドレス着たら、もっと可愛らしくなるんじゃなぁい?」
「どういう意味じゃ?」
「こんなのよぉ、こ・ん・な・の♪」
スマホを取り出し、ぴっぴと画像検索をして、星太郎は次々と写真を提示した。錦鯉の絵が入った赤いドレスから、振り袖のテイストが入った折衷ものはもちろん、着物を短い丈に仕立て直した大胆なもの、矢絣袴の大正時代風まで色々と出てくる。
「見て見て、これなんか素敵よねぇ? 襟元が和服の衿っぽくなってるホルターネックで……こっちの、『キモノ・ドレス』みたいな、上は着物で下はミニスカみたいなの。ゼッタイアンタなら着こなせると思うのよねぇ?」
どことなく人形のような九鬼姫なら、どの服もきっと似合うことだろう。
九鬼姫の頬にも赤みが差したが、それでも、彼女は淋しそうに告げるだけだった。
「といっても、この時代の生活にはなにかと金がかかるからのぅ……この服も、恋々からの借り物じゃし」
真面目な話のようである。星太郎はちょっと口ごもったが、すぐに気を取り直して続けた。
「だったらさぁ……常連のお客さんに貢がせるとかぁ? 九鬼姫ちゃんなら、同伴出勤とかアフターのときにおねだりしたらすぐじゃなぁい?」
「悪いが、贈呈品も大抵売ってしまっておる。元の世に帰る手立てを見つけるためには、どうしても金子(きんす)がいるんじゃよ」
星太郎は、九鬼姫が幅広く人気が出ない理由のひとつがわかったような気がした。
「じゃあ、せめてイメチェン! 髪の毛も上げてかんざしで止めたらいい感じになるんじゃなぁいん?」
星太郎は手を伸ばした。
美容師の星太郎としては、何気ない仕草のつもりだった。
彼女の髪を上げて、「ほら」と鏡に映すくらいの気持ちであり、断じてそれ以上の考えはなかった。
ところが、
「やめっ!」
いつになく烈しい口調で、九鬼姫はその手を払いのけたのだった。
「あ……ごめん……」
星太郎はしばし言葉を失う。
しかし、はっとなったのは九鬼姫も同じだった。
すぐに彼女はぎこちなく頭を下げた。九鬼姫にしては珍しいことだ。
「……す、すまぬ。あまり、首のあたりは見んでくれるか……」
顔は伏せたままであり、その表情は見えなかった。自分の顔を見せたくないというより、星太郎の表情を、見たくないからそうしているように思えた。
星太郎は、一瞬だが目撃してしまった。
九鬼姫のうなじのあたりには、斜めに走るざっくりとした大きな傷跡があった。
昔のものらしく傷はとうにふさがってはいるが、それでも、嘲笑する口のように歪んだ形で残っていた。
そういえば――星太郎は思いだす。美容室でブリーチをかけたとき、「肩こりでのう」などと言って、九鬼姫はあの場所に、大きく分厚い湿布を貼っていたのだった。
ここで時間となった。
顔を上げた九鬼姫は、もう普段の彼女に戻っている。高飛車な笑顔で、
「ふん……まあ、色々あったが、今度も話をきいてやるゆえ、また近いうちに来るがよいぞ」
と席を立つ。
そうこなくっちゃ、と星太郎は笑みを返した。
「うん、またねー♪ バーイ☆」
傷跡のことには決して触れない。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月05日
参加申し込みの期限
2016年06月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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