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プロムナードの夜
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弓を走らせる。
フィギュア選手のようになめらかに、エッジを立てて緩急を鮮やかに。
弓の毛と弦とを直角に交差させること、そしてこれを、まっすぐに弾くこと。
人間の肩から先の関節というのは円運動しかできない構造になっている。一定の美しい角度をたもったまま、まっすぐに動かし続けるというのは至難を極める動作なのだ。ましてや、ヴァイオリンをはじめたばかりの幼児にとっては。
しかし
深林 真瞭
には、この絶対的な基本を完全に自分のものにできるだけの技量と意思があった。これを保ち続けるだけの強さも。
そのおかげで今なお、無意識であろうと彼女のボウイングは、千回弾けば千回いずれも、機械を上回る精確さをほこっている。
けれどもこのとき、真瞭の奏でる音には心が乗っていなかった。
ステンレスのように冷ややかで硬質な音だけが、やわらかな防音材の壁に吸い込まれていく。
真瞭は現在、公式には東京にいることになっている。なのに実態は、こうして寝子島は星ヶ丘のマンションに身を潜めているのだった。
ありていに言えば、家出だ。
所属する交響楽団における、近頃ますます激しさを増しつつある権力闘争に疲れ果て、逃げるようにこの地に身を隠したのである。友人の深倉理紗子にも、真瞭は滞在を伏せていた。
理紗子は理紗子で一種の迷宮にいる。自分のことで、煩わせたくなかった。
ゆえにこうして真瞭は一人、ヴァイオリンの練習を続けているものの、精度はともあれ、音色のほうは冴えないのだった。それは今日に限らない。『家出』に入ってからずっとのことだ。
半ば諦めたように弓を置いたとき、彼女は、携帯にメールが来ていることに気がついた。
真瞭の、芸大時代の友人からのものだった。
佳蓮(かれん)はピアニストとして活躍している友人だ。
「来ちゃった」
はにかんだように笑って、焦げ茶色のジョッキーブーツを脱いで上がる。長い脚を包むのはタイトなブラックジーンズ、黒いダッフルコートの下は、冬空を思わせる灰色のニットだった。髪は、少年のようなショートにしている。
真瞭にとってはかつて、芸大では何度も共演した相手だった。腕は抜群で、ひとときは真瞭以上に、プロに進むのが確実視されていたものだ。
佳蓮はただ上手なだけではなかった。陳腐な表現かもしれないが、表現力が高かった。端的に言うなら奔放、あるいは大胆、縦横無尽、まるでジャングル育ちのモーツァルトのように鍵盤を操るのである。興が乗ると佳蓮は、地神が憑依した巫女のような凄まじい表情になる。きっとこういったとき彼女の眼前には、天才だけが見ることのできる異次元の世界がひろがっていたのだろう。音大生として真瞭もピアノは弾くが、どうあがいても佳蓮のようには弾けない。
専攻楽器の違いから直接のライバルではなかったものの、かつての真瞭は、佳蓮を意識しないではなかった。
……後に本人から言われたのだが、当時は佳蓮も、やはり『天才』として真瞭を意識していたのだという。真瞭にとっては想像だにしていないことであったが。
卒業後、真瞭はヴァイオリニストとして職を得、やがて世界に羽ばたいた。
しかし佳蓮はそうならなかった。
ある日突然、彼女は音大を中退したのだ。
文字通りぷっつりと消息を絶ってしまい、真瞭は彼女に別れを告げることもできなかった。
風の噂では、望まぬ妊娠をしたからだと言われているが真実のほどはわからない。
その後数年間姿を見せなかった佳蓮だったが、あるときふらりと連絡してきた。
すぐに会って真瞭は目を疑った。お嬢様然としていた彼女が長い髪をばっさりと切り、スカートも履かなくなっていたからだ。けれど佳蓮は理由を語らなかった。真瞭も、聞かなかった。だから空白の数年間、佳蓮がなにをしていたのか真瞭は知らない。
そこから、途切れ途切れながら交流が再開して現在に至っている。
佳蓮は音楽活動を再開していた。ただし真瞭や他にプロになった同窓生に比べるとずっと地味な内容だ。ある地方の、半ばボランティア活動のような小さな楽団に参加して、自身の言葉によれば「楽しむことを主体に」ピアノを弾いているのだという。彼女がピアノで稼げる金額は微々たるものだろう。到底、彼女の能力に見合ったものではないと思われる。
勿体ない――という気持ちもあったものの、有名な交響楽団の門を叩いてみては、といったアドバイスを真瞭はしていない。まさにその立場となった自分が、幸せであるとは決して思えなかったからだ。
「真瞭が、この島に引きこもっているって聞いてね」
屈託なく佳蓮は言った。メールは寝子島で打ったのだという。どこから情報を得たのだろうか。そういえば数年のブランクから急にコンタクトしてきたときも、どこから入手したのか彼女は真瞭の連絡先を知っていた。
真瞭は肩をすくめて笑った。楽団と自分の現状について愚痴混じりに開かす。佳蓮もある程度は知っていたようだが、それでも『初耳』と言うような表情でうなずきながら聞いてくれた。
「それで悩んでるわけだ」
「悩んでいるというか……まあ、他に適当な言い方が思いつかないから、そういうことになるのかも」
「だったら練習もいいけど、少しは気分転換したら? 思い切って未体験のことをしてみるとか?」
「未体験のこと……?」
「それは自分で見つけないと」
まるでそのことを話しにきただけのように、まもなくして、「じゃあ帰るね」と佳蓮は立ち上がった。泊まっていったらという真瞭の提案には「明日、早いから」とだけ簡単に返した。
佳蓮を駅まで送って、静かに真瞭は息をついた。
――未体験のことに挑戦、か。
何気なく見上げた彼女の視線が、通りの壁に貼られたポスターに止まった。
それは、クラブ『プロムナード』の体験入店案内であった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月05日
参加申し込みの期限
2016年06月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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