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回向亭茶話 ~三世を渡る
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夢呼・ステイシー
の家はシーサイドタウンでも割と有名な和洋菓子店である。
有名であるということは、それなりに中々の繁盛をしており、ゆえに――休みづらい。
「パパうそつき!」
砂だらけになって帰ってきたまだ夢呼。そんな彼の――十を過ぎていない子供特有の甲高い声が家中に響いた。
土曜の昼のことだ。
つい今しがたまで寝子ヶ浜海岸で友人たちと転げまわって笑っていた子供が、今は既に半べその状態である。
「ずっと前から明日はやすむってゆってた! なんでだめなの!?」
今日の午後から、一泊二日で、泊りがけで日本一有名な遊園地にいくんだ! と自慢して回っていた夢呼にとって、「明日の朝までの急な発注が入って、午後から休むのは無理になった」という父の言葉は晴天の霹靂であった。
「夢呼! わがまま言わないの!」
約束を破られた上に、怒られた。
大人って汚い!
いたたまれなくなった夢呼少年は、涙を浮かべながら、「もういい!」とだけ叫んで家を飛び出した。
キャットロードをとぼとぼと歩く夢呼。
子分のみんなにはお土産にポップコーンの甘い奴を買ってくるっていってたのに、できなくなってしまった。
おととい喧嘩してしまったかおりちゃんへ、週明けにぬいぐるみを渡して仲直りする計画もおじゃんだ。
「もう学校いけないよ」
しょんぼりとしながら、歩く夢呼は、いつしか見たことのない小路へ入っていた。
ニャア。
ふと気づくと、足元に猫がすりよってくる。
「にゃーんこー。にゃーごー」
しゃがみこんで手を伸ばすと、猫は飛びのくこともなく、おとなしく撫でられている。
わし、とつかんできた幼児にも、なんらの文句も言わず、抱き上げられるのみで。
「ねこ、いいこだなー。おれとはちがうんだなー」
きっとパパやママはわがまま言っている自分に呆れているに違いない。
その場にへたりこんで、夢呼は猫を撫で続ける。何分かがたったころ、もういいだろう、とばかりに猫が夢呼の手の中から身をよじって逃げ出した。
「逃げちゃった……」
動こうとすることなく、またしょぼくれる夢呼。見知らぬ店の入り口横で、幼児はもう歩く気力もない、とばかりに背中を壁にあずけ、ぐずぐずと泣き始めた。
その小路は誰も通らず、店からも誰も出てこなかったから、夢呼もうじうじし続けることができ――そしてそのまま、寝入ってしまっていた。
「……やれやれ、どっから紛れ込んだんだか」
しばし後のこと。
店の扉を開けた禿頭の店主が、苦笑しながら寝入った幼児を抱き上げたのだった。
次に夢呼が目を覚ますと、そこは車の中だった。
「あら、起きたの?」
きょとん、とした夢呼。気づけば母の腕の中で、車はどこかへ向かって走っている。
「どこにいくの?」
夜道を走っていることを悟り、夢呼は母へ問いかける。
「今日は遊園地にはいけないけど、ホテルに向かってるのよ――パパ、あれから頑張ってお仕事終わらせてくれたんだから」
母の言葉は容易に脳裏にしみこまず、運転席の父を見上げた。
父の大きな、だが繊細な手が夢呼の頭を撫でてくる。
「パパ嘘つきになりたくなかったから、頑張ったんだぞ。今日のパレードは無理だけど、明日は朝から遊ぼうな」
「……うん!」
ようやく、夢呼の顔に笑みが戻った。同時に、目が覚めた腹の虫が盛大になり始める。
「あらあら」
笑った母が、夢呼に、はい、とスコーンを渡してくれた。
「今日はもう遅いから、これくらいでね。明日はいっぱい美味しいもの食べましょ」
スコーンは少し冷えてはいたけれど――午後に夢呼の胸を覆っていたもやもやは既に吹き飛んでいたから、父お手製のそれは、とても、とても美味しく感じたものだった。
それからも夢呼はすくすくと育ち、やがて小学校の卒業式の日。
学校に行くのは楽しくて、運動会では一番にはなれなかったけれど、思いっきり動き回って友人たちとはしゃぎまわった。修学旅行は、近県の山登りを楽しんだ。
――思い残すことはない、充実した学校生活の、最後の日
「ハンカチはもった?」
母のいつもの心配声にも、「大丈夫!」とだけ返す少年は、その晴れの日へ向かうべく玄関の扉を開き……喫茶店の中へと、戻ってきたのだった。
「随分楽しかったようだな」
無精髭の坊さんが、冗談のような前掛けをかけて珈琲を入れていた。
漂う香気が、夢と現の狭間にあるかのような頭をすっきりとさせてくれる。
「――そういえば、そうでした」
小学校時代、もし十分に健康な、せめて今程度に動ける自分であったなら、どんな少年として育ったのだろう。その世界を垣間見せてくれたのだと、今更ながらに理解する。
今は、どうにか学校にフツウに通うことができている。ともすればそれは当たり前の日々になっていて。かつての、小学校時代の理想は、今ではこんなに当たり前のことなのだ。
そして、その当たり前のことが実はすごく幸せなんだなってこと。それを、いつのまにか忘れてた気がする。
「いいものを見せてもらった、かな」
母や父は随分と自分に甘く、余り日常的に怒るということもなかったような気がする。そもそもあんなに元気に遊びまわって、困らせることもなかったのだ。むしろ引っ込み思案で、あんな風に子分を引き回すこともなければ、名前のことをからかわれても何も言い返せないことが多かったような気もする。
「どちらがいいのかは、色々と考えるところもあるけど――面白かったよ」
自分の本来の人生と、歩んでみたかった人生。どちらも、それなりにいいこともあれば悪いこともあった。
「集合写真にちゃんと写っているところまで見られれば、よかったんだけどね」
丸い枠で合成されている写真じゃなくってさ。
そう言って、夢呼は店主から差し出された珈琲に、手を伸ばすのだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
蒼李月
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
神話・伝説
定員
15人
参加キャラクター数
12人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年05月30日
参加申し込みの期限
2016年06月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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