【かるた】わんだふる・ゑきさいてぃんぐ・かるた大会｜リアクション

【かるた】わんだふる・ゑきさいてぃんぐ・かるた大会

　第１試合の読み手の役目を終えた永田先生は、次の読み手を呼び寄せた。
「次、頼んだよ」
　永田先生の声とともに現れた次の読み手の姿に、会場が少しどよめいた。
「待たせたな……この場は私が歌わせていただく」
　現れた旅鴉月詠の衣装は、穢れのない眩しい白の衣に、美しい緋色の袴。そう、所謂神に仕える「巫女服」だ。

　日々野結衣香は、月詠の出で立ちに驚きながらも、ペンとメモ帳を手に近づいていった。今は新聞部員として取材中。選手として参加できなかった分、頑張って取材をしていい記事を書くつもりだ。
　インタビューの対象は選手だけではない。取材先は多岐に渡っている方が詳細な記事をかけると思って、スタッフにも話を聞きに回る。
「とても、目立つ衣装ですね。どんな意図で？」
　声をかけられた月詠は、クールに返す。
「服装については、気にするな」
「読み手としての意気込みは？」
　結衣香の方もペースを乱されることなく、ほんわかした感じで質問を重ねていく。
「スタッフが全くでしゃばらないというのは違うと思うんだ。出しゃばるのは言葉でななくて衣装だが」
「でも、選手も衣装に見とれてしまいそうですね」
「ここにきて外的要因に集中を乱されるなら、まだまださ」
　月詠の答えはごく淡々としていた。
「今日の見所は何でしょうか？」
「読み手は交代制だから、私も合間に衣装を着替えてくる。千早やアイヌの衣装も用意してあるよ」
「それは楽しみです！ご協力ありがとうございます」

　いよいよ第２試合開始の時刻となったので、結衣香の取材は一旦終わる。