【かるた】わんだふる・ゑきさいてぃんぐ・かるた大会｜リアクション

【かるた】わんだふる・ゑきさいてぃんぐ・かるた大会

「やったー！ “わたの”、ってこれだよね」
　陣地の向かい側で、ぱしっ、と音がした。小枝が手を伸ばし、六文字目まで聞かずに抑えてしまっている。

　―――こぎ出でて見れば　ひさかたの　雲居にまがふ　沖つ白波

「えっ、もう一枚あったんだっけ。……わわ、合ってて良かったぁ……」
「そんなのアリ……？」
　再び目が点になっている真魚と信彦を尻目に、札を取れた小枝は無邪気に喜んでいた。

　両軍合わせて突っ込みは真魚一人という状況の下、なんだかんだで試合は熱戦が続き、最終盤までもつれていく。

「どうしようアル……私あんまり取れてないアル……」
　狙い札を特化しすぎた華菜子は、あまり枚数を取れていない。不安そうな華菜子を、五月が励ました。
「まだ４枚ありますよ」
　五月は堅実に、着々と札を積み重ねていた。場にある札は、両軍２枚ずつだ。

　奥山に　紅葉ふみわけ　なく鹿の　声きくときぞ　秋はかなしき

「これアル！」
　ついに出た、猿丸大夫の歌。華菜子は思い切りよく自陣の札を払った。これで麺三銃士チームの陣の札は１枚。

　わたのはら　八十島かけて　こぎ出でぬと　人には告げよ　あまの釣り舟

　はじめの“わ”だけを聞いて、真魚は鋭い払いで相手陣の札を弾き飛ばす。さっきのリベンジだ。
「やった！」
　麺三銃士チームが、2枚差で接戦をものにした。幼馴染同士の3人は、ハイタッチして喜びを分かち合う。