【かるた】わんだふる・ゑきさいてぃんぐ・かるた大会｜リアクション

【かるた】わんだふる・ゑきさいてぃんぐ・かるた大会

「お二方、かるたです」
「よーし、頑張るアル！」
　かるた大会もすでに10試合目に入ろうとしていた。出番になった麺三銃士チームの、薄野五月と畑中華菜子が試合場所に向かう。
「真魚さんに華菜子さんと、幼馴染で参加するのはわくわくしますねー」
　ほんわかと歩いている五月に、瞬城真魚が尋ねた。
「あのさ……なんで私がリーダーなの？」
「んー、どうしてでしたっけ」
　真魚は思わず嘆息した。言いだしっぺは蕎麦屋の娘・五月、ノリノリで賛成したのはラーメン屋の娘・華菜子。なのに、乗り気でなかったのにいつの間にかリーダーにされていたのがうどん屋の娘・真魚というわけだ。
「私、坊主めくりはやったことあるアルヨ！だからきっと大丈夫！頑張るアル！」
　やる気だけは人一倍ある華菜子だが、経験値がこれでは不安だ。五月も割とおっとりした質である。それでも、せっかくなら勝ちたいと思って、真魚は当日までに密かにルールや戦術をよく調べ、作戦を練ってきた。このあたり、律儀な性格である。

　主審の永田孝文先生は、赤禿美雨の服装に目を留めた。
「赤禿。マナー上、頭のフードは外しなさい」
「先生、これフードじゃないよ。忍者装束！」
　美雨が着ていたのは、一見フード付きのパーカーっぽいが、実はレインボーマーブル迷彩の自作忍者装束である。本気モードの現れだ。
「……」
　先の試合で、演劇部や読み手の仮装を大目に見ていた永田先生は、何も言えなくなった。

「美雨ちゃん、八十八旗君、頑張ろうねっ」
　同じく第10試合で登場する「真紅のコケシは金色パイナップルの夢を見るか？」チームの春山小枝が仲間に声かけする。
「毎日百人一首のCD聞いてたもんね、睡眠学習ならばっちり～」
　果たして、効果のほどはいかに。
「両手に華、といったところかな？」
　八十八旗信彦にとって、今日はレディにかっこいいところを見せる大事な場面だ。
「手の速さには定評があるから、ドーンと任せてくれよ」
「八十八旗君、それ意味が違うよ……」
　美雨が、信彦に突っ込みを入れた。