【かるた】わんだふる・ゑきさいてぃんぐ・かるた大会｜リアクション

【かるた】わんだふる・ゑきさいてぃんぐ・かるた大会

「百人一首を使ってのかるた大会……学力向上にもなり、一石二鳥ですね」
　ひと仕事終えた深縹露草は、感慨深げに試合の合間の会場をながめている。
「その知識と思い出が、皆様の助けとなりますよう―――」

　小春日に　すみよく詠まれ　とり競い　源平決し　さきゆく春へ

　即興で一首詠んでみる露草。周りの生徒の反応は―――
「うーむ、微妙……？」
「いえ、……あの、悪くないと、思います……」
　札を片付ける手をとめて、もじもじしながら言ったのは、大会の手伝いをしている勅使河原悠だった。

　試合で使った札に、欠けたものがないか確認するなど、裏方の仕事も忙しい。手先を使う作業は苦にならない悠だったが、不安な業務もある。
「もし、うるさい人がいたら、注意しないといけない、よね……？注意したりするのは、ちょっと怖い……。ううん、スタッフなんだし、勇気出さなきゃ……」
　心配で頭がいっぱいになっていたため、悠はすぐ近くに永田孝文先生が来たことに気付かなかった。
「勅使河原。今日は選手としては出ないんだな」
「あっ……お、お疲れ様です……！」
　急に声をかけられた悠は、驚いて答えを返す。
「どうだね。こうやって手伝うだけでも、中々勉強になるだろう」
「はい、大会があるから興味も湧いて、ある程度は覚えました……」
「はは、そうかい。今年は例年以上に盛り上がってるから、手伝ってもらえると助かるよ」
　永田先生はそう言って微笑んだが、悠は少々自信なさげだ。
「でも、私……あんまりお役には立ててない気が……」
「そんなことはないさ。裏方がいるからこそ、大会はこうやって成り立つんだ」
「あ、ありがとうございます……永田先生と話してたら、……少し、元気が出てきた気がします……」
　少し元気をもらった悠は、再び設営作業へと戻っていった。もう少し、頑張ろう―――