文房具戦争、勃発！？｜リアクション

文房具戦争、勃発！？

●●●キノコチーム、暗躍！●●●
　キノコチームは夏朝と由貴奈・梢の戦いの様子を伺っていた。
　修は高いビルの屋上から双眼鏡で、清一郎と桜、真央はほど近くの物陰から観察をする。

　キノコチームが寝子島高校に到着した時にはすでに攻防が繰り広げられていた。
　修はインカムを使っての戦域把握をしようとしたが、それは叶わず、代わりに携帯で連絡を取っていた。

　タケノコチームとキノコチームの人数が同じだろうと推測を立てた修は4人足りない事に気が付いている。
　寝子島高校での戦闘を無視して進んでも良いのだが、情報を収集するメリットは大きい。
　攻める、そして守るための判断をするために修は見守ることにした。

　とはいえ、見ているだけで何もしないというのはあり得ない。
　真央は辺りには響かないように自分のろっこんを使うために両手を丸くしながら叫ぶ。

「にゃにゃにゃがおー！　斥候代わりなのだ、行け、がおー！」

　真央のろっこん【にゃにゃにゃがおー！】は三毛猫を召喚し、お願いを聞いてもらうというものだ。
　進化能力でなんとなく猫の気持ちがわかるようになったので三毛猫に周囲を探索してもらう算段だ。
　事前の打ち合わせで真央は伏兵的な役割となったため、全周囲に警戒をしなければならない。

「やるなぁ。でも、なんか隠し玉がありそうやな」
「手を抜いている…感じではないですよね」

　前衛的な役割を担った清一郎と桜はグラウンドの戦闘を観察している。
　由貴奈・梢がうまく攻守を分け、夏朝に着実にダメージを与えていく姿を見て、清一郎は感嘆する。
　夏朝も引けを取らず、力より技、といったように猫のようなものたちを操る。
　桜は全力での戦闘だと感じるが一進一退の様子を見ていると、何か別の目的があるようにも見える。

　どちらかが勝利をするか、一段落が付いた、隙を見せるタイミングでの攻撃を目論んでいる。
　伏兵のような動きだが、戦場で決めた役割通りに動けるほうが珍しい。

　着実に相手の情報を蓄積するキノコチームだが、急激に動きを加速する。
　トウフチームがタケノコチームに吸収されたという共通感覚がそうさせたのだ。
　修は真央、清一郎、桜に携帯電話から指示を出す。

『言わなくてもわかると思うが状況が変わった。グラウンドを制圧後、まっすぐにフラグを目指す』
『分かったのだ～！』
『おう。それじゃあ桜ちゃん、俺が守ってやるからな』
『は、はい。私も頑張りますね…っ』

　修は吐く息で呼吸を調整し、自らも後衛として参戦するためにビルの屋上から降りようとした時。
　からりとした声音で背後から話しかけられる。

「あら。どこにいくのかしら」

　にこやかに、朗らかに微笑み、それでいて情熱的な視線を注がれる。
　その麗しい女性は風を凪ぐように自然な動作で色鉛筆をふわりと構えた。